知らないと損をする「年金受給額を増やす制度」があることをご存知でしょうか?お役所では教えてくれない裏ワザ的な制度を4つ紹介します。
国民年金の「任意加入制度」
老齢基礎年金を満額まで増やせる国民年金の「任意加入制度」は、多くの人が対象となるでしょう。
「任意加入制度」とは?
国民年金の加入期間が40年未満の人や年金保険料の未払期間がある人などが国民年金に任意加入できる制度です。
「任意加入制度」の対象者
「任意加入制度」は次の条件をすべて満たす人が対象となります。
1 日本国内に住所がある60歳以上65歳未満の人
2 老齢基礎年金を繰り上げ受給していない人
3 国民年金保険料の納付月数が480ヵ月(40年)未満の人
4 厚生年金保険・共済組合などに加入していない人
5 在留資格が「医療滞在または医療滞在者の付添人」や「観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者」ではない外国人
また、次の人も任意加入の申請ができます。
・年金受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人
・20歳~65歳未満で外国に住む日本人
以上の対象者は、自分で申請を行うことで将来の老齢基礎年金を増やせます。
国民年金の「付加年金」
毎月の国民年金保険料に付加年金保険料を上乗せして納付する「付加年金」でも、老齢基礎年金の受給額を増やせます。
付加年金保険料を納付できる人
・国民年金基金に加入していない国民年金第1号被保険者
・65歳未満の任意加入被保険者
付加年金保険料および付加年金の給付金額
付加年金保険料:400円
付加年金給付額の年額:200円×付加保険料納付月数
たとえば10年間(120ヵ月)付加年金保険料を払い続けた場合、年額2万4,000円受給額が増えます。
厚生年金の「加給年金」
厚生年金にも将来の年金受給額を増やせる「加給年金」がありますが、やはり自分から申請を行う必要があります。
「加給年金」の必要条件
加給年金の必要条件は以下の通りです。
1 厚生年金被保険者期間が20年以上
2 65歳または定額部分支給開始年齢に達した時点(※)で「生計を維持される配偶者や子」がいる
※65歳以降に被保険者期間が20年以上になる場合は退職改定時
以上の条件をすべて満たす人自身が申請・手続きを行うと年金受給額を増やせます。
「加給年金」の対象者および加算年金額
加給年金の対象者(生計を維持される配偶者や子)には年齢制限等の条件があり、加給年金額もそれによって異なります。
対象者 | 加給年金額(年額) |
---|---|
65歳未満の配偶者 | 22万4,700円 |
18歳未満または 1・2級の障害がある20歳未満の子 |
1・2人目 各22万4,700円 3人目以降 各7万4,900円 |
なお、加給年金は配偶者が満65歳になった時点で打ち切られます。
「特別加算」や「振替加算」で年金受給額が増えるケースも
加給年金の対象となる配偶者の年齢に応じた「特別加算」や「振替加算」で年金受給額がさらに増える人もいます。
<特別加算>
昭和9年4月2日~昭和18年4月2日生まれの配偶者が対象となる「特別加算」の金額は年額3万3,200円~16万5,800円です。
<振替加算>
大正15年4月2日~昭和41年4月1日生まれで一定の条件を満たす配偶者は、6加給年金打ち切り後も配偶者自身の年金に年額1万5,055円~22万4,700の振替加算がつきます。
年金受給額を増やせる制度を知らないと損をする
このように、自分から申請すると年金受給額を増やせる各種制度はありますが、知らないと申請もできずに損をします。対象者はぜひ忘れずに申請しましょう。
文・大岩楓
元銀行員ライター。預金・為替業務に長く携わった経験をもとに、節約などの記事を多数執筆。現在はジャンルを広げて教育系の資格を生かした記事まで幅広く執筆。
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