毎年、年明けに私は必ず頭を抱えます。それは、大河ドラマを観るかどうか。大河ドラマは、とにかくキャストに脚本・スタッフが大変に豪華でドラマ好きにはたまらない陣営。しかし……いかんせん私は歴史……特に日本史が大の苦手で、興味もないのです。
いつも初回は必ず観て……がんばってもう数回観てみたりもするのですが、どうしても続きにワクワクしない。知識がないからなのか、大河ドラマがひとりの歴史人の生涯を描くものでドラマティックな出来事が前段では起こりにくいからなのか。とにかく、毎年ことごとく脱落してしまうのです。
『NHK2022年 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」完全読本』NIKKO MOOK(産経新聞出版)
しかし!2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合、日曜よる8時ほか)は違いました。第3話まで観て、すっかりはまり…日曜日が楽しみになっている状態。そんな歴史嫌いな筆者が『鎌倉殿の13人』を面白いと思う理由をご紹介させてください。
歴史苦手だけど、愛する洋ちゃんが出るなら…と思いきや!
『鎌倉殿の13人』は小栗旬が演じる北条義時を主人公に、鎌倉幕府誕生の過程から初代将軍・源頼朝(大泉洋)の死後に繰り広げられる権力争いまでを描くそう。 鎌倉時代といえば「みんな似たような名前ばっかり!覚える気なくすー」と筆者が早々に日本史から脱落した時代。2022年の大河が「北条義時」と知ったときには「えっ誰?室町時代の人?」とすっとんきょーな反応をするほど(正解は平安末期~鎌倉時代ですね)。筆者がどれだけ歴史にうといかが分かるでしょう。
とはいえ、愛する洋ちゃんが出るし、脚本は三谷(幸喜)さんだし……初回だけでも…と、恐る恐る観はじめました。そしたら、なんと!!面白いではありませんか!
登場人物が多いのに「えっそれ誰だっけ?」とならない
『松村邦洋「鎌倉殿の13人」を語る』(プレジデント社)
さすがに源頼朝の名前だけは覚えていましたが、他の人物名はまったく入ってきません(頼朝が「佐殿(すけどの)」と呼ばれてたとか当然知らないし)。にもかかわらず、「えっそれ誰のこと?」「誰と誰がどういう関係?!」とならないから不思議です。登場人物がとにかく多いのも大河ドラマの特徴ですが、それも気にならない。それは、三谷幸喜ならではの構成が効いているのでしょう。
全体にくだけた現代語のセリフ回しになっていて、豪華な出演陣たちの会話劇を、余計なことを考えず純粋に楽しめるんです!長澤まさみの控えめな語り、そして巧みな演出も、分かりやすさを後押ししています。