舟に揺られながら、のんびり優雅に桜や花景色を眺める「お堀めぐり」が、滋賀県近江八幡市で楽しめるということをご存じですか?今回は、全国的にも珍しい手漕ぎ和舟でのお堀めぐりについてご紹介します。
近江八幡ってどんなところ?
滋賀県と言えば琵琶湖が有名ですが、その琵琶湖の南東に位置するのが近江八幡市です。新幹線停車駅である米原駅から電車で30分弱で行くことができるこの街は、江戸時代には近江商人発祥の町として大変賑わいました。
その後、町の中心だった場所から少し離れた場所に近江八幡駅が設置されたことにより、現在でも当時のままの姿で町並みが保存されています。
そんな近江八幡は、「商人の町」としてとても機能的に設計されており、特徴的なのは碁盤の目のような街並みと、そこに合理的に張り巡らされた運河なのです。
画期的な政策により栄えた八幡堀
この見事な町を設計した豊臣秀次は、「琵琶湖及び湖東地方の水陸交通を利用するものに対し、すべて八幡の町に入ることを定めた」ために、八幡堀を通して近江八幡には多くの人々が立ち寄り、色々な物資や情報が集まったのだそうです。
八幡堀めぐりとして再整備
時が流れ、商業舟の往来していた運河はやがて農業用として細々と利用されてきましたが、昭和の終わり頃に地域青年会議所と市民の念願をもって整備され、現在の八幡堀めぐりを楽しめるようになりました。ちなみに、近江八幡の水郷は、文化庁により登録された一番最初の重要文化的景観なのですよ!
八幡堀めぐりで用いられる舟には、エンジン船と手漕ぎ舟の二種類がありますが、今回ご紹介するのはギャラリースペース新町浜が運営する手漕ぎ舟。モーター船より断然ロマンチックなのでおすすめです。エンジン音が無い分静かで、景色や雰囲気をしっかり目に焼き付けることができますよ。
また、全国的にも珍しい手漕ぎ和舟は「日本一遅い乗り物」とも言われますが、その操縦は大変難しく、一人前に漕げるようになるには何年もの修行が必要なんだとか。大きな和舟をたった一本の木製オールで操縦する船頭さんのテクニックにも注目してみてくださいね。
八幡堀の手漕ぎ和舟を楽しむ
手漕ぎ舟の乗船に予約は必要?
季節によって営業時間は異なりますが、個人客であれば基本的に予約は不要とのこと。1月・2月は金土日のみの営業です。ホームページによると冬季は要予約となっていますが、筆者が訪れた日は予約不要で受付が可能でした。天候などにもよるそうですので、冬季は事前に電話で確認するのが◎ですね。
直接、受付がある「ギャラリースペース新町浜」へ行き、乗船料大人1,000円・子供500円(小学生以下無料)を支払うとともに乗船時間の申し込みをしましょう。
受付をすると、乗船パスポートがもらえます。このパスポートには、八幡堀周辺の地図が記載されているほか、近江八幡の町を整えた豊臣秀次の史実も詳しく載っていますよ。
いざ、手漕ぎ和舟に乗船!
受付をしたギャラリースペースのすぐ目の前にある乗舟場から、和舟に乗り込みましょう。35分程度のゆったりした舟旅の始まりです。
6人乗りの舟におそるおそる飛び乗ると、座席には座布団が敷かれていてほっこりします。寒い季節にはひざ掛けを借りて、出発です。念のため救命胴衣を装着することもお忘れなく。ちゃんと子供用も用意されていますよ。
舟は、手漕ぎ特有の横揺れをしながらのんびりと進みます。水路の脇には葦(ヨシ)が生えていたり、お花が咲いていたりと飽きることがありません。
船頭さんが近江八幡の歴史、水路の歴史について教えてくれます。はるか昔、江戸時代にここまで完璧な水路を整備した豊臣秀次のアイデアと技術力に感動すること間違いなし。
必見!舟上から見る時代劇のロケ地
舟旅のハイライトは、時代劇で舟のシーンがあれば必ずと言って良いほどロケ地となるという船着き場。実は乗船場からすぐの場所なので、舟に乗らなくても見学は可能な場所なのですが、実際に船上から見る景色は、ひと味も二味も違うのです。
映画『るろうに剣心』や連続テレビ小説『あさが来た』の撮影も行われたというこの場所は、舟からチェックが絶対おすすめですよ!