パートで働き始めて間もないころ待ちに待った妊娠が判明!妊娠・出産はとても嬉しいこと。
でもその一方で、お仕事をどうしようか、お悩みのかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
『産前産後の働けない間、生活が苦しくなるかも・・』といった経済的な心配もあるかもしれません。
そこで、妊娠・出産を考えているパートで働く主婦の方に、是非知っていただきたいのが『出産手当金』という制度です。
実は、パートや派遣など非正規雇用でも条件さえ満たせば『出産手当金』を受け取ることができるのです。
この記事では『出産手当金』に関して、
●パートでも受給対象となる条件
●給付額と支給時期
●受給するための手続き
など出産でもらえるお金について、わかりやすく解説します。
パートも知っておきたい!産休・育休中の給付金について
パートや派遣、アルバイトなど非正規雇用でも、条件さえ満たせば給付金や社会保険料免除など経済的なサポートを受けることができます。
まずは、産休・育休中にどういう公的なサポートがあるのかご説明します。
•産休や育休を取るにはどうすればいいの?
産休は、正式名称『産前産後休業』といって、産前6週間・産後8週間のお休みを誰でも取得できる制度です。
妊娠がわかったら勤務先に報告し、職場のルールに従って必要種類を準備するようにしましょう。
育休は、希望すれば男女とも取得できる休業制度です。
女性の場合、8週間の産休後から子供が1歳になる誕生日の前日までお休み可能で、保育園に入れないなどの事情があれば最長2年まで育休期間を延長できます。
取得するには次のような条件があります。
①同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
②子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと
出典:厚生労働省 育児・介護休業法のあらまし(平成30年9月作成)より抜粋
育休の取得を希望する場合は、産休同様、妊娠を報告する時点で勤務先の総務や人事の方に確認しておくようにします。
※産休や育休の取得に関してこちらの記事に詳しく書かれていますのでぜひご一読をおすすめします。
産休・育休中受けられる給付には何がある?
出産に関わる給付金は次のとおりです。
•出産手当金
産休中に収入が減る分を補填する目的の制度です。職場の健康保険に加入している本人に対し、賃金のおおむね3分の2相当額が支給されます。
•出産育児一時金
高額な出産費用をまかなう目的の制度です。健康保険に加入する本人またはその家族(被扶養者)が受給でき、給付金額は赤ちゃん1人につき42万円です。
•育児休業給付金(育休手当)
雇用保険に加入する本人が育児休業中に申請し支給される給付金で、金額は休業開始時の賃金日額によって異なります。
同じパート勤務でも、健康保険や雇用保険に加入しているかどうかで受けられるサポートが異なります。
将来的に子どもがほしいと思っている方は、パート選びの際に社会保険加入も検討してみるとよいでしょう。
出産手当金ってどういう制度?
出産手当金という制度を理解するには3つのポイントがあります。
•産前産後の働けない期間を経済的にサポート!
出産手当金は、出産日以前42日(双子以上は98日)、出産翌日以降56日の産休中に会社を休んだ期間を対象として支給される制度です。
出産前後の働けない期間に減ってしまう収入を健康保険が補填することで、女性が経済的な心配をすることなく安心して出産できるように生活サポートすることを目的としています。
•勤務先で加入している健康保険から支給される
対象となるのは、正社員やパートなど雇用形態に関わらず、勤務先の健康保険に加入している女性です。
健康保険の加入期間は問いません。
•産休もしくは育休明けに職場復帰する女性のための制度
産前産後の休暇、育児休業後に職場に復帰することが前提になっているので、原則として退職予定者は受け取ることができません。
ただし、所定の条件を満たせば産休中に退職しても出産手当金が支給される場合がありますので、この記事の後半でご説明します。
パートでも出産手当金を受けられるの?条件は3つ
出産手当金を受給するには3つの条件を満たす必要があります。
•条件①会社の健康保険に加入していること
『出産手当金』は、職場の健康保険に加入している本人が対象となるので、夫の扶養に入っている方や国民健康保険の加入者は支給対象ではありません。
出産手当金と混同しがちな『出産育児一時金』は、被保険者本人だけでなく、夫の健康保険の扶養内に入っている方や国民健康保険の加入者でも支給を受けられます。
•条件②産休中に給与が支払われないか、出産手当金より少ないこと
出産手当金は、”産休中の収入減を補う”という目的なので、産休前と同様の給与が引き続き支払われている場合は支給されません。
ただし、給与が減額されて出産手当金よりも少ない場合は、出産手当金との差額が支払われることになります。
•条件③ 妊娠4ヶ月(85日)以降の出産であること
この条件には、妊娠4ヶ月を過ぎてからの早産、死産、流産、人工中絶も含まれます。
ご自身が出産手当金の支給条件にあてはまるかどうか不安な方は、勤務先の担当の部署か、加入している健康保険組合に問い合わせをしてみましょう。親切に教えてくれるはずですよ!
出産手当金はいくらもらえるの?支給期間と計算方法
気になる支給額の計算方法やどれぐらいの期間支給されるのかをご説明します。
•出産手当金の支給適用期間はいつからいつまで?
出産手当金は、出産の日以前42日(双子以上の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。
予定日よりも遅れて出産した場合、その遅れた期間についても支給の対象となります。
•出産手当金の算出方法と具体例
出産手当金は、標準報酬月額から算出した日給と産休日数をもとに算出します。
*標準報酬月額を知りたい場合は勤務先の担当部署に確認してみましょう。
1日当たりの出産手当金の算出方法は、
(支給開始日以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日)×2/3
です。
全国健康保険協会(協会けんぽ)のHPから引用した出産手当金の計算式をご覧ください。
出産手当金の計算方法
1日当たりの支給額に産休日数を掛けると出産手当金の総額となります。
具体的な事例で試算してみましょう。
事例1)標準報酬月額15万円で、産前休42日・産後休56日、計98日間の産休を取った場合
15万円÷30×2/3×98日=326,634円
事例2)標準報酬月額15万円で出産予定日が3日遅れたので、産前休42日+3日・産後休56日、計101日間の産休をとった場合
15万円÷30×2/3×101日=336,633円
出産のためパートを退職すると出産手当金は受け取れないの?
さまざまな事情で出産を機に退職を選ぶケースもあることでしょう。
実際、パート勤務の方のほうが正社員より出産を機に辞められることが多いようです。
そこで、是非知っておいていただきたいのが、条件さえ満たせば、出産手当金を受給できるということ。
要件は次のとおりです。
•条件①退職日までに継続して1年以上職場の健康保険に加入していること
退職日以前の1年以内に転職している場合でも、空白期間なく1年間継続して職場の健康保険に加入していれば問題はありません。
以前の会社の退職日と現在の会社の入社日の間にブランクがあったという方は受給資格がない可能性があります。また、空白期間中に国民健康保険に加入していたかたも継続とはみなされないので注意してください。
•条件②退職日に現に出産手当金の支給を受けているか、受ける条件を満たしていること
退職日が出産日または出産予定日の42日前以内(双子以上は98日前以内)であれば出産手当金の対象となり条件を満たしているということになります。
•条件③退職日は出勤していないこと
退職日に出勤してしまうと、資格喪失日(退職日の翌日)以降の出産手当金が受給できなくなります。
仕事の引継ぎなどで退職日に出社するのはよくあることですが、出産手当金を申請する予定なのであれば引継ぎは早めにやっておきましょう。
出産手当金の申請方法と支給時期について
健康保険出産手当金支給申請書に必要事項を記入し職場の担当部署へ提出します。
書類は勤務先の担当部署で貰ってもよいですし、全国健康保険協会(協会けんぽ)のHPから自分でダウンロードできます。
申請書の内容は、
●本人情報記入欄
●医師・助産婦記入欄
●事業主の証明
です。
なお、保険加入期間が12ヶ月に満たない場合や任意継続による出産手当金の申請の場合は添付書類が必要になります。
記入方法は全国健康保険協会HPの“健康保険出産手当金 支給申請書 記入の手引き”を参考にしてみてください。
申請は産前産後など複数回に分けて提出可能ですが、その都度事業主や医療機関に記入してもらわなくてはなりません。
なので1回の手間で済むように出産後にまとめて提出するかたが多いようです。
出産手当金申請書の提出期限は産休開始日の翌日から2年以内となっています。
出産時の慌ただしさで申請を忘れていた方でも条件を満たす場合ぜひは申請手続きをしてくださいね。
申請してから振込まで約2か月前後かかります。緊急な出費に出産手当金をあてにするのはやめておいたほうがよさそうです。
まとめ|出産手当金の制度を知って上手に働こう!
出産前後の働けない期間の収入を補ってくれる『出産手当金』について説明しました。
出産育児一時金と混同しがちですのでもう一度おさらいします。
•出産手当金の支給要件
●会社の健康保険に加入している
●産休中に給料が支払われないもしくは減額されて出産手当金よりも少ない
●妊娠4ヶ月(85日)以降の出産であること
•出産手当金の金額
産休前の賃金のおおむね2/3が、産休中期間中の休んだ日数分支給
出産手当金は申請しないと受け取ることができません。
パートでも条件を満たせば支給を受けられますので、制度の内容を理解し前もって準備するようにしましょう。
職場の健康保険に加入してない方もこれを機会に加入を検討してみてもよいかもしれませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
提供・しゅふJOBナビ
【こちらの記事も読まれています】
>主婦がフリーランスを始めるなら!よくある注意点、お仕事の探し方をご紹介します
>「仕事はランチタイムだけ!」子育て主婦に人気の隙間時間でできるパートとは
>仕事のレベルが上がる<メモ・ノート術>!5つのコツ
>パート通勤の定番!「自転車通勤」で気をつけたい3つのポイント
>50代・女性のパート就活、服装はどうしたらいい?面接のコツもご紹介します!