新潟県の佐渡島にある集落、宿根木。廻船業で栄え、かつては「佐渡の富の三分の一を集めた」とまでいわれた港町です。船大工が船釘や船板を再利用して築いた建物が並ぶ独特な町並みが、今でも大切に残されています。今回はそんな宿根木の見どころを歩いて回ってみましょう。
宿根木へのアクセス
佐渡島の最南端に位置する宿根木。島の中心である両津港からのアクセスはお世辞にも良いとはいえないため、基本的にはレンタカーをお勧めします。両津港周辺でレンタカーを借りれば、1時間ほどで到着します。宿根木の入り口には観光客向け無料駐車場も完備しているので、駐車場所には困らないはずです。
バスを使いたいのであれば「両津港佐渡汽船」など両津港周辺のバス停から南線に乗車してください。「佐渡歴史伝説館」あるいは「真野新町」で降りたら、小木線に乗り換えます。終点の「小木」で降りたら次は宿根木線に乗り、「宿根木」で下車すれば宿根木はすぐそこです。
ただしバスの場合、できる限り早く着きたいと思っても、8時40分に「両津港佐渡汽船」からバスに乗って11時37分に「宿根木」に到着するのが最短です。新潟交通佐渡株式会社の時刻表を確認の上、無理のない計画を立ててください。
上の写真は、宿根木入り口の駐車場から見える「船つなぎ石」。地元ではシロボウズとも呼ばれます。1776年ごろ作られ、今でも7本が現存しています。1802年の小木地震の際の海岸隆起により、千石船が入れなくなり使われなくなりました。
- 参考HP:新潟交通佐渡株式会社
宿根木への入り口
宿根木への入口がこちらです。
上記の入り口と、入り口の右にある小路からも宿根木に入ることができます。この小道は「世捨小路」という不思議な名前がついています。宿根木の奥にある寺や神社に向かう時はこの小路を使い、また亡くなった霊が寺から出て行く時にもこの小路を通るといわれます。
さて、入り口と世捨小路どちらかから宿根木に入って、進んで行きましょう。
宿根木の町並みと見どころ
迷路のように入り組んだ宿根木ですが、上から見るとこのようになっています。それではさっそく、宿根木の見どころを紹介します。
清九郎
こちらは、かつて廻船を2隻所有していた船主の家で、一般公開されています。
内部は、柿渋、漆が塗られたつやのある床や壁。
高いところにある窓は、ひもを使って下から開け閉めしていました。
外には、岩をくり抜いて作られた天然の冷蔵庫が。
この清九郎ふくめ、宿根木では石置木羽葺屋根(いしおきこばぶきやね)と呼ばれる屋根の家が多いです。薄切りにした木の板を並べて重ねた上に、石が置かれているだけという造りですが(現在はボルトで固定)、意外と丈夫であり地震にも強いといいます。
旧宿根木郵便局
1921年に建てられました。持ち主の石川権兵衛は明治中頃に廻船業を転業し、薬局や郵便事業を営んでいました。外観のみ見学可能です。
伊三郎
1891年に家屋の建設に着手されましたが、建築中に船乗りの親子2代が海難に遭い、一時は未完成で使われていました。外観のみ見学可能です。
石塚という姓を、軒下飾りにしています。
三角家
まるで船の先端のような三角形の建物。川の中州を埋め立ててできた敷地に隣町から主屋を移築し、土地に合わせて切り詰めて作られました。10年ほど前までお住まいになっていた方がいましたが、建物を寄付して引っ越しされたため、近所の方が交代で番をしています。
中には、ここに住んでいた方の人柄や仕事に関する展示があります。
洗い場
川にそって何か所かある洗い場。洗うものに合わせて上流〜下流で洗うものが決まっていました。
白山神社
集落内を流れる川の上流にあります。1277年の創建といわれます。鳥居は1774年に建てられたもので、佐渡市指定有形文化財となっています。
称光寺
宿根木の最も奥にある時宗の寺院です。1349年の創建とされています。本堂は1923年に起きた火災のあと、再建されたもの。山門は1713年に建てられたとされ、寺の中では最古の建造物です。