闘病中は悪いイメージを持たないようにした
闘病中、一番難しいと感じたのは自分の感情をコントロールすることでした。
「ヒト家族の不安やストレスは猫さんに伝わります。だから、病気が判明してからは泣かない、悪いイメージを持たない、掃除をするを徹底しました」
りあんくんの食事量や体調を細かくメモすることも日課になりました。
「愛情給餌(=強制給餌の意)もし、東洋医学や漢方も取り入れてケアしていました」
また、りあんくんが辛そうなときには仕事を休み、できる限り一緒に過ごすよう意識しました。
「直属の上司が『長い目で見たら仕事なんかよりも命のほうが大事です。そばにいてあげてください』と言って下さいました。この方のおかげで長い時間、りあんくんと過ごすことができました」
こうした周りのサポートも受けつつ、谷沢さんは1年半、病気と闘う愛猫を懸命に支え続けたのです。
「泣かない」の誓いが守れなかった最期の時
別れの日は突然やってきます。その日、りあんくんはキッチンマットの上で倒れ、失禁。そこで、レンタルしていた酸素室に入ってもらおうとしましたが、りあんくんは抵抗します。横から酸素を入れ、キャリーケースの中で落ち着いてもらうことにしました。
これまでトイレの失敗は一度もしたことがなかったため、この先寝たきりになる可能性があることを覚悟。しかし、それから6~7時間、りあんくんの意識はもうろうとし続け、やがて最期の時が。
絶対に愛猫の前では泣かないと谷沢さんは心に決めていましたが、別れの時だけは涙が抑えられませんでした。「伝えられたのは『ありがとう。もう頑張らなくてもいいよ』でした。その後、お世話になった獣医師さんに電話で連絡したら、『よく頑張ったほうじゃねえか?』とおっしゃってくださいました」
二人三脚で病と闘った日々。そこには、決して忘れたくない大切な思い出がたくさん。「愛すべきあの子が辛くないよう、苦しくないように何がしてあげられるか。そればかり考えていました。頑張り屋さんだった彼との闘病生活は葛藤の毎日であり、とても美しい時間でした。」