「幼稚園と保育園の違い」についてご存知でしょうか? 現在は、従来の「専業主婦家庭の子は幼稚園、共働きの子どもは保育園」というイメージからは状況が変わってきています。幼稚園と保育園の違いや認定こども園について、詳しくご紹介します。
幼稚園と保育園の違いを表で比較!
幼稚園 保育園 管轄 文部科学省 厚生労働省 対象年齢 3~5歳(2歳児受け入れ園もあり) 0~5歳 教育時間 9~14時ごろ(それ以降は預かり保育) ※標準保育時間は4時間 7時30分~18時30分ごろまで(それ以降は延長保育) ※標準保育時間は8時間 長期休み 有り(春休み、夏休み、冬休み) 基本的には無し 教育内容 国の方針に基づいて同等の教育が行われている 給食の有無 任意(お弁当の園が多い) 義務 保育料 公立は自治体が決める(平均2万円) 私立は経営者が決める(平均4万円) 年齢や世帯年収によって違う 入園申し込み時期 9月~11月頃 12月頃 先生の資格 幼稚園教諭免許 保育士資格 根拠法令 学校教育法 児童福祉法
幼稚園と保育園の詳しい説明に先立ち、まずは幼稚園と保育園の違いを表で簡単にまとめてみました。子供を預かってくれる時間、長期休みの有無などが幼稚園と保育園の大きな違いと言えます。幼稚園と保育園にかかる費用の違いについても気になると思いますが、こちらは対象年齢や料金の算出方法が違うため、単純な比較は難しいです。おおざっぱに言うと、保育園の方が保育時間が長い分、保育料は高いと考えていいでしょう。保育料についての詳細は幼稚園、保育園それぞれについての解説記事を用意していますので、そちらをご覧ください。
幼稚園とはどんな施設なの?
文部科学省が管轄するのが幼稚園
管轄 文部科学省 対象年齢 3~5歳(2歳児受け入れ園もあり) 教育時間 9~14時ごろ(それ以降は預かり保育で対応) 長期休み 有り(春休み、夏休み、冬休み) 先生の資格 幼稚園教諭免許 幼稚園は、小学校や中学校と同じく文部科学省が管轄する教育機関です。幼稚園は未就学児の子供にあった教育を受けてもらうために整備された施設で、幼稚園教諭免許を持つ教員が子どもたちを指導します。幼稚園での教育は幼稚園教育要領という指針で定められており、公立も私立も幼児教育での目標は共通です。この幼稚園教育要領に従って3~5歳までの未就学児の教育が行われています。
幼稚園の教育時間外は預かり保育で対応
幼稚園は専業主婦家庭の子供が通う場所というイメージが強いですが、それは9~14時頃までと教育時間が短いためです。保育園の延長保育のようなサービスとして、幼稚園には「預かり保育」というサービスがあります。しかし、幼稚園によっては預かり保育は16時半までなど、フルタイムで働くパパママだとお迎えが難しい場合もあります。ただし最近では、夫婦共働きの家庭が増えてきたため、18時や19時までの預かり保育を行う園も登場しはじめました。
共働き世帯の子供が保育園に通えない待機児童が深刻な問題になる中、自治体は積極的に保育園を増やしてきましたが、自治体の予算や保育園を開所できる場所にも限界があります。そこで、最近では幼稚園の預かり保育時間を延長し、待機児童解消につなげられないかと自治体もいろいろな工夫をするようになりました。今後幼稚園の預かり保育は、共働きのパパママにも使いやすいサービスになっていくでしょう。
幼稚園には夏休み、冬休みなどの長期休みがある
幼稚園には春休み、夏休み・冬休みの長期休みがあります。休み期間は小学校とほぼ同じと考えてください。共働きの家庭の子供が幼稚園に通うのが難しい理由として、この長期休み問題があげられます。おじいちゃんおばあちゃんが同居している、もしくは近くに住んでいる家庭でない限り、共働き世帯の子供が幼稚園に通うハードルは高いといえるでしょう。
これまでは幼稚園の長期休み問題や預かり保育時間の短さから共働き世帯の子供は保育園入園を選ぶことが多く、定員割れする幼稚園も出ていました。幼稚園の定員割れ問題に対処するため、長期休みの期間中も子供を預かってくれ、預かり保育も保育園と同じくらいの時間帯で受け入れる幼稚園が都心を中心に増えはじめています。
幼稚園の見学会は6月~9月に、説明会は9月~10月に開かれるのが一般的
幼稚園に入園を希望する場合は、入園前年度の春頃から準備を開始しましょう。入園説明会や願書配布は9月~10月に行われますが、それ以前の6月~9月に開催される幼稚園の見学会に参加し、子供にあった幼稚園を探すことをおすすめします。幼稚園によっては有料でプレ保育を行っていることもあり、ほかの園児と一緒に園の教育を体験できるので可能なら参加した方がいいでしょう。幼稚園の入園準備については下記記事に詳しくまとめていますので、そちらをご覧ください。
幼稚園が共働き世帯に配慮しはじめた?
最近では長期休み中の預かり保育を行ったり、パパママの参加が望ましい行事は平日でなく土曜日に開催してくれたり、平日の活動にパパママが参加しなくてもいいように配慮してくれる幼稚園も出てきました。その結果、共働き世帯であっても子供を幼稚園に通わせることを考えるパパママが少しずつ増えてきています。独自のプログラムを行うなど魅力的な幼稚園も多いので、気になる幼稚園が長時間の預かり保育を行っていたり、夏休みや冬休みの長期休みに保育を行っていたりするならば、入園を考えてみてもいいでしょう。なお、幼稚園は入園前に見学できる園が多くあるので、見学時にパパママの目でしっかり施設をチェックして、疑問点などは忘れずに確認するようにしましょう。
保育園(保育所)とはどんな施設なの?
保育園は厚生労働省管轄の児童福祉施設
保育園の概要 管轄 厚生労働省 対象年齢 0~5歳 保育時間 7時30分~18時30分ごろまで(それ以降は延長保育で対応) 長期休み 無し 先生の資格 保育士資格 保育園は、保育を必要とする子供のために児童福祉法で規定された厚生労働省管轄の児童福祉施設です。保育園では、国家資格である保育士資格を持つ保育士が中心となって子供たちのお世話をします。なお、保育園は「保育所」と呼ばれることもありますが、保育園は通称で保育所が児童福祉法など法律で定められた正式名称です。
認可保育園に入所を希望する場合、各家庭の「保育を必要とする」度合いを自治体がチェックし、その結果によって入所できる優先順位が違ってくきます。この「保育を必要とする」度合いは保育指数という点数で計算され、保育指数をいかに獲得し、我が子を希望の認可保育園に入園させるかの競争を「保活」といいます。保活は現在パパママの深刻な悩みとなっていますね。
今の保育園は幼稚園と同じ水準の教育も行っている
かつては、「保育園は託児目的に通わせ、幼稚園は幼児教育を目的に通わせるもの」とみなされがちでしたが、2018年に厚生労働省の「保育所保育指針」が改定され、保育園も「幼児教育施設」という位置づけになり幼稚園と同等の教育を保育園でも行うようにという方針が定められました。現在では、保育園でも幼稚園と同様の教育が行われています。「保育所保育指針」は、保育園でどのような教育、保育が行うかを定めた文書です。下記記事で詳細を紹介していますので、気になるパパママはチェックしてみてくださいね。
共働き家庭の多くが保育園を希望
共働き世帯の子供の多くが保育園に通うのは、保育時間が長いこと、長期休みがないことが大きな理由でしょう。企業では9~17時前後が勤務時間となることが多いでしょう。通勤時間も考えると8~18時頃まで子供を預かってくれる保育園は、働くパパママの強い味方となっています。そのため、夫婦共働き世帯を支援する施設として都市部での保育園の整備が急速に進んでいます。
保育園には認可、認可外(無認可)の違いがある
保育園は認可・認可外の2種類に分けることができます。認可外保育園は無認可保育園と呼ばれることもありますね。認可保育園は児童福祉法で規定された設備、人員などを満たした保育園で、運営費のほぼすべてが国からの補助金で賄われています。認可保育園の入園の可否は、自治体が各家庭の「保育を必要とする」状況をチェックして行います。毎年2~3月にかけて「保育園に落ちた」などがニュースになるのは認可保育園の話です。
一方の認可外(無認可)保育園は、入園者は各保育園が決定できますが、運営費の一部しか補助金を受けていなかったり、補助金無しで運営したりする園もあります。認可外保育園と聞くとサービスが悪いというイメージを持つかもしれませんが、都心部では児童福祉法が定める園庭などの施設・設備の確保が難しい地域もあり、子供が通いやすい便利な場所の保育園は認可外ということも珍しくありません。また、独自の教育プログラムを提供する、自社社員を受け入れるなどの理由から、あえて認可外で運営し続ける保育園もあります。
一部地域では認可外(無認可)保育園にも自治体が独自に補助金を出していることがあります。東京都の場合だと、都から補助金を受けている認可外保育園は「認証保育園」と呼ばれています。都から補助金を受けているものの、園児の募集は園が独自で行い、認可保育園のように自治体による選考が行われることはありません。ですので、認証保育園への入園申し込みは認可外と同様、保育園に直接行います。
2019年1月10日のニュースで、東京都が夜間や休日も開所する認証保育園の人件費補助を行うとの発表がありました。夜間や休日の保育についてはこれまで認可外保育園が担ってきましたが、都に認められた認証保育園も選択肢に加われば、働くパパママにおって大きな助けになるでしょう。
認可保育園への保活は子供が生まれて間もなくスタート?
幼稚園に比べ、保育園の場合は希望する園へ入園するのは難しいケースが多いです。特に認可保育園への入園は、大都市圏では「保活」と呼ばれるほど激戦になることがあります。認証、認可外に比べて保育料が安く、施設も整った認可保育園への保活は、まず自宅周辺の子供を通わせたい保育園を探すことからスタートします。
幼稚園と同様認可保育園も見学することができるので、子供にあった認可保育園を探しましょう。激戦区ではなるべく多くの認可保育園を見学することをおすすめします。認可保育園の入園申し込みは毎年10~11月頃に翌年4月入園の案内資料が自治体から配布されます。入園募集を行っている認可保育園を選び、12月頃に自治体に入園申し込みを行います。入園の可否の発表は翌年1月~2月頃に発表されることが多いでしょう。
認可保育園への入園が期待できない場合は認証や認可外保育園も含めて保育園探しを行うことをおすすめします。保活や保育指数については下記記事に詳しくまとめていますので、あわせて確認してみてください。
認定こども園とはどんな施設なの?
認定こども園は、親が働いている・いないにかかわらず小学校入学前の子供に対し、教育と保育を一体的に行う内閣府管轄の施設です。認定こども園が誕生した背景としては、少子化による幼稚園の定員割れ問題と、保育園の待機児童問題があります。この2つの問題を解決するために、幼稚園と保育園両方の機能を持つ認定こども園が設立されたのです。認定こども園も、2018年の「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の改定により、幼稚園と同等の教育が行われています。また、認定こども園では地域の子育て家庭を支援するため、育児相談などのサービスを行っているのも特徴です。
保育園・幼稚園・認定こども園のメリットとデメリットは?
保育園
メリット
0歳児から預けられるので、ママが早く社会復帰できる 預けられる時間が長い 給食が出るので毎日お弁当を作る負担がない 夏休みや春休みも預かってもらえる
デメリット
毎週、お昼寝用の布団やシーツ、着替えなど準備が大変 登園時間がバラバラなので、同じクラスのママと話す機会が少ない
幼稚園
メリット
クラス制を取っている園が多く、学校生活に準じた集団生活に慣れることができる 早い時間に帰宅できるので、習い事に通いやすい 登園時間や降園時間が一定なのでほかのパパママと顔を合わせる機会が多く、ママ友ができやすい
デメリット
制服や体操服などを揃えるのにお金がかかる バザーやPTAなど、保護者が参加する行事が多い 行事が平日に行われることも多い 延長保育の費用が高い 幼稚園・保育園の入園準備、コップ袋のサイズや作り方は? ネットオーダーもできるの? 幼稚園・保育園の入園準備、コップ袋のサイズや作り方は? ネットオーダーもできるの? 保育園・幼稚園の入園準備に必要なコップ袋、どのようなものを準備すればいいのか迷いますね。サイズや布地の選び方、現役園児ママの体験談や手縫いで作れるコップ袋の作り方、手芸専門店のネットオーダーやコップと袋のセット商品を紹介します。
認定こども園
メリット
専業主婦家庭、共働き家庭のどちらでも通わせやすい 親の状況の変化(仕事を辞めたり、産休・育休を取ったりなど)しても、転園・退園する必要がない 育児相談などの子育て支援サービスも受けられる
デメリット
認定こども園の数が少ない 平日にバザーや保護者会などの行事が行われることがある
保育園と幼稚園と認定こども園、どれがいいの?
まず、認可保育園の場合は、親が働いているなど保育が必要とする子供のための施設なので、家族の介護・看護など特別な自由がない限り専業主婦だと入所基準をクリアするのは難しいでしょう。認可外保育園や認証保育園、幼稚園には認可保育園のような入所基準がなく、入園者は園の独自の基準で決定するか、抽選によって決定されます。そのため、専業主婦場合は、認可外保育園、認証保育園、幼稚園が選択肢になるでしょう。
共働き家庭の場合は、保育園に通う方がパパママの負担は減るでしょう。保育園では給食が出るので、毎日のお弁当作りをしなくて済むのも働くパパママにとってはとても助かるポイントです。共働きでも幼稚園に通わせたい場合は、お迎え時間に融通が利く仕事なのか、平日でも仕事を休んで幼稚園行事に参加できるか、おじいちゃんおばあちゃんが近くに住んでいてお迎えをお願いできるのか、などをよく検討する必要があります。
認可保育園と認定こども園のどちらにするかは、どちらかが優れているということはなくそれぞれの園に特色があるので、先程のメリット・デメリットも参考にしつつ家庭の状況によって選ぶのがいいでしょう。ただ、認可保育園の場合、仕事を辞めたなど親の状況が変わると入園基準を満たさなくなるので退園しなければいけませんが、認定こども園の場合は親の状況が変わってもそのまま通い続けることは大きなメリットでしょう。
認定こども園には、幼稚園から移行して認定こども園になった「幼稚園型」と、保育園から移行して認定こども園になった「保育所型」があり、「幼稚園型」の認定こども園の場合は「保育所型」の認定こども園よりも平日の行事が多いこともあるため、入園申し込みをする際にはその点を確認しておいた方がいいですね。仕事だからといって毎回欠席していたらママたちの間で溝ができてしまったという声も聞きます。逆に「保育園型」の認定こども園の場合、筆者の子供が通っていた園でのケースですが、働いているパパママが多数を占めていたので、クラスの役員は毎年専業主婦のママが担当してくださることが多かったです。認定こども園に入園を希望する場合は、その園が「幼稚園型」なのか「保育所型」なのか事前に確認し、行事参加や役員決めなども含めいろいろな角度から入園を検討することをおすすめします。
幼稚園、保育園、認定こども園はどれも幼保無償化の対象
2019年10月から未就学児の教育費を国が補助する制度がスタートし、幼稚園、保育園、認定こども園はすべて幼保無償化の対象となりました。子供を通わせる施設によって補助を受けられる金額は違いますが、最大で37,000円の教育費補助が受けられるため、パパママにとってはありがたい制度ですよね。幼保無償化の詳細については下記リンクにまとめていますので、こちらもあわせてご覧ください。
まとめ:共働き=保育園ではなくなってきた
共働き=保育園ではなくなってきた 最近では、共働き世帯に配慮し長期休暇中も幼稚園を開所したり、預かり保育を行う幼稚園が増えてきています。また、国も深刻な待機児童問題を解決するために幼稚園を待機児童の受け皿にしようと、幼稚園の認定こども園移行を積極的に推し進めてきました。今では、昔のような「専業主婦家庭=幼稚園、共働き世帯=保育園」という図式は成り立たなくなってきています。子供をどこに預けるか考える場合は、ぜひ紹介した保育園、幼稚園、認定こども園のメリット・デメリットを参考に、どこが一番子供や家庭に合うのか検討してみてくださいね。
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