大泉洋がおしゃれでかっこいい

もともとは、劇場の売りは踊り子(女性)のダンスで、芸人たちはその合間を保たせる役割でしかない。どこにいってもメインではなく、ついでのような扱いをされる芸人たちがいつしか自分たちの話芸に観客を集中させていく。そういうサクセスストーリーである。  師匠・深見を演じている大泉洋が、粋な江戸っ子芸人という雰囲気で、おしゃれでかっこいい。深見氏は芸人たるものふだんからおしゃれにしているべきと考えていた人だったそうで、いわゆる伊達(だて)男という感じだろう。大泉は背が高くすらりとしていてスーツが似合う体型なので、帽子やスーツの着こなしがかっこよくて深見がほんとうに洒落(しゃれ)て見えた。 テレビに出ず舞台一筋だった深見氏の資料はほぼ残っていないそうだが、昭和の頑固一徹な芸人を大泉のもつ柔らかさでいいバランスをとって作りあげたのではないだろうか。

天才俳優・柳楽優弥の底力に感心

深見を慕うタケシ役の柳楽優弥は、仕草監修の松村邦洋に習って、独特の仕草を完コピしていた。特殊メイクで年を重ねた姿も演じていて、え? ほんとうに柳楽くん?と目を瞠(みは)る。 柳楽優弥といったら世界も認める天才俳優であり、本人の感性の豊かさで唯一無二の存在感を発揮するというふうに思っていたので、これだけ個性の強いビートたけしの形態模写から入るアプローチは意外に感じたが、天才とはなんでもできるのだなあとつくづく感心。 しかも、まず形から入っても、じょじょに笑いというものに取り憑かれていく人間の熱情が際立っていって、仕草が似ているとかいうことは問題じゃなくなっていく。それこそが柳楽くんの底力なのだと思う。タップダンスもすばらしかった。 配信もいいけれど劇場でも見たい作品だ。 <文/木俣冬> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

木俣 冬
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami


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