IPOに当選する証券会社の組み合わせは?取扱実績、抽選方法などの選定基準を解説!
(画像=SB/stock.adobe.com)

IPOはかなり人気があるため、多くの場合抽選で購入できるかどうかが決まります。話題の企業や有名な企業が上場する際には初値が高くなることが予想されるため、ぜひトライしてみたいですね。

当選の確率を少しでも上げるために、複数の証券会社でIPOに申し込むのも一つの手です。とはいえ証券会社は数多くあり、どの証券会社をどういった組み合わせで選べばいいか迷ってしまうでしょう。

そこで本記事ではIPOにおすすめの証券会社の紹介とともに、その組み合わせについても考えていきます。

IPOとは

IPOとは、Initial Public Offeringの略で、日本では一般的に(新規)株式公開のことを指します。

株式公開(IPO)

株式会社がオーナーなど少数の株主により所有され、自由な株式譲渡が制限されている状態(未公開会社)から、金融商品取引所市場への上場によって不特定の多くの株主により所有され、株式市場において自由に売買が可能となる状態(公開会社)となることを株式公開といいます。

引用:日本取引所グループ 用語集

IPO投資とは、新規公開株が上場される前に「株を買う権利」を手に入れ、上場直後に売ることで利益を狙う投資方法のことです。

IPO投資に適した証券会社の選び方

IPO株(新規公開株)は、まだ公開されていない株式なので、普通の株式のように買うことはできません。また、公開される株数はそれぞれのIPO銘柄ごとに決められているため、欲しい人なら誰でも買えるわけでもありません。

IPO株を手に入れるためには、各証券会社で行われる抽選に当選する必要があります。取り扱うIPO株の種類や取り扱い株数などは証券会社によって異なるため、IPO投資では証券会社選びが重要になります。

そこで本記事では、自分に合った証券会社の選び方をご紹介します。

主幹事件数で選ぶ

証券会社選びでまず覚えておきたいのがIPOにおける「主幹事会社」です。主幹事会社とは、以下のような証券会社を指します。

主幹事会社

有価証券の募集や売り出し、新規公開の際、引受・販売等を行う幹事会社のうち、引受数量が多く、全体的な作業の運営やスケジュール管理など中心的役割を果たす会社のこと。

新規公開(IPO)では、公開時の引受・販売に加え、公開までの各種事務手続きや審査、株価設定、株式上場後の資金調達の助言や指導なども行う。

引用:野村証券 証券用語解説集

IPO銘柄の主幹事証券会社は、ほかの幹事会社よりも多くの株式が割り当てられます。主幹事となっている証券会社からIPOを申し込めば、当選する確率を上げることが期待できるでしょう。

主幹事証券会社はIPOの際、公開までの事務手続きや審査、株価の設定のほか、上場後もさまざまなアドバイスを行います。

非上場企業としてはやはり主幹事としての実績数が多いほうが安心なので、これまで主幹事を引き受けた回数が多い証券会社は、今後も主幹事になることが多いといえるでしょう。

したがって、これまでに主幹事件数が多い証券会社に口座を持つことで、今後もそれらの証券会社が主幹事になることが予想され、結果としてIPOに当選する確率を上げることが期待できるのです。

2020年のIPOで主幹事になった証券会社は、野村證券が22社で1番多かったのに続き、みずほ証券21社(2位)、SMBC日興証券15社(3位)、大和証券13社(5位)と、大手の総合証券が多くなっています。

また、SBI証券はネット証券ですが14社(4位)で、総合証券と遜色のない取引数がありました。

順位 証券会社 主幹事件数
1 野村證券 22社
2 みずほ証券 21社
3 SMBC日興証券 15社
4 SBI証券 14社
5 大和証券 13社

(出典:日本取引所グループの資料をもとに編集部にて集計

証券会社のなかには、国内株式銘柄の取り扱い数が多くても、「主幹事になったことのない」または「そもそもIPO株を取り扱っていない」という会社もあります。

IPO投資を考えるなら、まずはIPOの主幹事件数が多い証券会社を利用することを考えましょう。

取扱銘柄数で選ぶ

証券会社がIPO銘柄を取り扱うには、必ずしも主幹事になる必要はありません。

もちろん主幹事になれば、関係しているIPO銘柄の株式が多く割り当てられます。しかし「主幹事件数が多くてもIPOの取扱銘柄数はそれほど多くない」「主幹事の件数こそ少ないものの取扱銘柄数が多い」など証券会社によってさまざまです。

こういった証券会社は、それぞれのIPO株の割り当てこそ多くはありませんが、幅広いIPO銘柄に投資できるというメリットがあります。

なかでもおすすめなのがSBI証券です。SBI証券のIPO取扱銘柄数は、2020年で85銘柄と、2位みずほ証券63銘柄、3位SMBC日興証券の53銘柄を大きく上回っています。

No 証券会社 IPO取扱銘柄数
1 SBI証券 85銘柄
2 みずほ証券 63銘柄
3 SMBC日興証券 53銘柄

(出典:日本取引所グループの資料をもとに編集部にて集計

IPO株ならどれでもいいわけではなく、自分で選んでIPO投資を行いたい人は、取扱銘柄数が多い証券会社に口座を開設しておくことで、希望のIPO銘柄に申し込める可能性も高まります。

抽選方法で選ぶ

IPO投資の際、証券会社に割り当てられた配分単位数よりも申込者数のほうが多いときは、基本的に抽選により当選者が決まります。ただし、この抽選方法は証券会社によって大きく異なるのが特徴です。

IPO投資を考えるのであれば、証券会社の抽選方法にも注目しておく必要があります。完全平等抽選を採用している証券会社では、応募したすべての投資家に1票ずつ抽選権が与えらます。

証券口座の資産が多くても少なくても抽選権は1票なので、当選するかどうかは完全に運まかせです。完全平等抽選では資金の多少に関わらず、誰にでも平等にチャンスがあります。

完全抽選方法でおすすめの証券会社はマネックス証券です。

マネックス証券ではコンピュータによって無作為に抽選が行われるため、人間の意図が入り込まず、完全に公平に抽選が行われています。

完全平等抽選のほかには、預かり資産に応じて抽選票数が変わったり、IPOの抽選に外れた回数に応じて次回以降の当選確率が上がったりする抽選方法を採用するなど、さまざまな証券会社があります。

口座数で選ぶ

IPO投資はほとんどが抽選になるので、証券会社に割り当てられる株式数(当選する人数)だけでなく、抽選に参加する人数も重要になります。

なぜならいくら当選する数が多くても、ライバルが多ければそれだけ当選確率は低くなるからです。また、抽選人数の目安として見ておきたいのが、証券口座の数です。

証券口座数が少ない会社は、それだけIPO投資に参加する人数も少なくなり、相対的に当選確率も上がることが期待できます。

投資を始めようと証券会社での口座開設を考えるとき、手数料やサポートなどいろいろな要素を総合して、証券会社を選ぶことでしょう。

もちろんトータルで使い勝手のいい証券会社にはそれだけ口座を開設する人が多くなりますが、IPO投資に限っていえば口座数が少ないことはプラスに働きます。

この点を考慮すると、マネックス証券や岡三オンライン証券、DMM.com証券、LINE証券、GMOクリック証券などがおすすめです。

申込金なしで選ぶ

完全平等抽選では1人1票が割り当てられますが、複数の証券会社から申し込めばそれだけ票数が多くなり、当選確率も上がります。ただし、ここで問題になるのが申込金です。

IPO株の抽選に参加するには、基本的にきちんと資金を準備しておきましょう。

なぜならせっかく当選しても、お金が足りなければ株式を買うことができないからです。このため、証券会社では証券口座に買付余力がないと抽選に参加できないところもあります。

例えば、あるIPO株の募集価格が1850〜2000円の場合、最低購入株数は1単元100株なので、申し込みには20万円(2000円×100株)の資金が必要になります。

複数の証券会社から申し込みたい場合、単純に考えても「20万円×証券会社の数の申込金」が必要です。5社に申し込みする場合は、20万円×5社=100万円のお金を用意しなければなりません。

ただし、野村證券や岡三オンライン証券、松井証券などでは事前入金なしで抽選申し込みが可能です。資金を用意しなくても簡単に抽選機会を増やすことができます。

投資用の資金があまりないときには、事前の申込金が不要な証券会社に口座を開設しておくといいでしょう。

NISA対応で選ぶ

IPO投資は非常に人気が高く、ほとんどの場合で抽選になります。

抽選の倍率も高く、何回も申し込んでいるのにまったく当選しないという人も多いのではないでしょうか。

IPOが人気の理由は、高い確率で利益を見込めるからです。IPO株の場合、公募価格よりも初値が上回ることが多いため、抽選に当選して初値で売却するだけで利益を得やすいのが魅力といえるでしょう。

これは、上場しさらに会社が成長する期待値もあるのですが、一方でIPO銘柄でも上場時に株が買われず売れ残ってしまうことがあります。

このように、IPO投資は初値で売却するだけで利益が期待できる投資方法ですが、その利益を効率よく得るために活用を考えたいのがNISAです。

NISAとは?

通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。

NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。

引用:金融庁 NISAとは?

例えば、募集価格2000円で申し込んだIPO株を初値の3000円で売却した場合、利益は(3000円−2000円)×100株=10万円になります。

本来の証券口座(課税口座)であれば、この利益10万円に20.315%(復興特別所得税を含む)の税金がかかり、実際に受け取れるのは約8万円です。

しかし、NISA口座で取引すると、売却して得た利益が非課税になるため、10万円そのまま受け取ることができます。

このように、証券会社によってはIPO株をNISA口座で取引できる会社もあるので、その点も証券会社選びの参考にしましょう。

IPO投資におすすめの証券会社

SBI証券は取扱銘柄数と主幹事数がトップクラスで、マネックス証券は口座数の少なさ(ライバルが少ない)ことと、完全平等抽選が特徴となっています。

この2つの証券会社の口座を持つことで、お互いの強みをカバーし合うことが可能となっています。

ここではこの2社に加え、取扱銘柄数の多さと口座数の少なさを合わせ持った岡三オンライン証券を加えた3つの証券会社について詳しく解説します。

SBI証券

SBI証券はネット証券最大手で、手数料の安さと取扱商品の数が常に業界トップクラスの非常に人気のある証券会社です。

国内株式の現物取引が1日100万円以下なら無料で行える(アクティブプラン)ほか、投資信託の申込手数料が0円など、あらゆる分野の取引が業界最安値のレベルで行えます。

また米国株や中国株だけでなく、韓国、ロシア、ベトナムなど計9ヵ国の外国株の取り扱いがある点も魅力的です。

さらには、単元未満株、金・銀・プラチナなど、多くの金融商品を取り扱っており、NISAやiDeCoなどで取引できる商品数も豊富です。

SBI証券で取り扱ってない商品を探すのが難しいほど、商品とサービスが充実しています。もちろんIPO銘柄の取り扱いも多く、どのレベルの投資家にもおすすめできる証券会社といえるでしょう。

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
SBI証券 85社 60%:平等抽選
30%:IPOチャレンジポイント
14社 必要 639万

※SBIネオモバイル証券、SBIネオトレード証券の口座数を含む

・SBI証券のIPO実績

SBI証券のIPOの特徴は、なんといっても取扱銘柄数の圧倒的な多さです。

2020年にSBI証券が取り扱ったIPO株は85社で、IPO株全体(94社)に対する関与率は、91.4%となです。この数値は、大手のみずほ証券の約67%、SMBC日興証券の約56%と比べても相当に高いことがわかります。

また、主幹事数も14社と、大手の総合証券とまったく遜色がなく、もちろんネット証券のなかではダントツの多さです。

SBI証券のIPOの抽選方法は基本的には抽選となります。しかし「IPOチャレンジポイント」という独自のポイント制度を採用しているため、ポイントをたくさん貯めることができれば誰でも当選確率を上げられるのが大きな特徴です。

・SBI証券の抽選方法

SBI証券におけるIPOの抽選方法の内訳は、以下のようにやや複雑です。

1. 完全抽選:60%
2. 優遇抽選:30%
3. 配分先を選定:10%

ここではそれぞれを詳しくご紹介します。

1.完全抽選:60%「買付余力のある申込株数に応じて完全抽選が行われる」

まず、SBI証券に配分される予定のIPO銘柄の60%については、買付余力のある申込株数に応じて完全抽選が行われます。これは1人1票ではなく、買付余力があれば1人何票でも申し込むことができます。

ただし、申込株数が多くしようとすると、その分買付余力が必要になります。そのため口座残高が多い人、つまり投資資金が多い人に有利な抽選といえます。

2.優遇抽選:30%「申込ポイント数が多い人から順に配分」

次に、SBI証券に配分予定の30%は、上記の60%の配分予定に当選しなかった人のうち、IPOチャレンジポイントの申込ポイント数が多い人から順に配分されます。

IPOチャレンジポイントは、IPOの抽選に外れると1ポイント加算され、落選すればそのポイントは返却されます。つまりSBI証券では、落選すればするほどIPOチャレンジポイントを貯めることが可能です。

貯まったポイントをお目当てのIPO銘柄の抽選で使用すれば、通常よりも当選確率を上げることが期待できるでしょう。

3.配分先を選定:10%「SBI証券が配分先を決める」

残りの10%については、上記の90%分で当選しなかった方を対象に、申込対象者の投資についての知識や経験、資金力といった「適合性の原則」を考慮して、SBI証券が配分先を決めます。

マネックス証券

マネックス証券は、まだインターネット専業の証券会社が一般的でなかった1999年に創業した大手のネット証券会社です。

手数料が安く取り扱う商品も多いため人気の高い証券会社で、なかでも特徴的なのが米国株と中国株の取扱銘柄数の多さです。米国株は4600超、中国株は2000超で、ネット証券のなかではトップクラスです。

また、「単元未満株」の手数料においては、2021年7月から買付手数料を無料としており、少額で株式に投資をしたい人にとってはとても有利になっています。

IPOに関しても取扱銘柄数が多く、抽選が完全に平等に行われていることなどから、投資資金が少ない個人投資家に人気の証券会社となっています。

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
マネックス証券 50社 100%完全平等抽選 0社 必要 191万

・マネックス証券のIPO実績

マネックス証券は、IPOにおいて主幹事にこそなっていませんが、2020年の取扱銘柄数は50社とネット証券ではSBI証券に次いで第2位です。

全証券会社のなかでも、2位のみずほ証券63社、3位のSMBC日興証券53社に次ぐ第4位という実績です。

マネックス証券はIPO投資において非常に人気のある証券会社ですが、その大きな特徴が完全に抽選が平等である点です。

・マネックス証券の抽選方法

マネックス証券がIPO投資で採用しているのは「完全平等抽選」です。

SBI証券では買付余力によって申込数が変わりましたが、マネックス証券ではどんなに資金があっても1つのIPO銘柄に申し込めるのは1人1票のみです。

抽選においては、コンピューターで無作為に抽選を行っており、このプロセスはシステム化されているので、人為的な思惑が関与することはないとされています。

また、NISA口座からでもIPOの抽選に参加できますが、申し込みは口座ごとではなく名寄せされるので、 当選する確率が倍になることはありません。

つまり、資金が多い人・少ない人、申し込んだ回数が多い人・少ない人に関わらず、誰でも平等に当選数チャンスがあります。

岡三オンライン証券

岡三オンライン証券は、岡三証券グループのインターネット専業証券会社です。

IT企業がグループ内に証券会社を立ち上げるスタンスと違い、証券会社がITを活用して設立したネット証券という特徴があります。

分析ツールの使いやすさには定評があり、オリコン顧客満足度調査のネット証券分析ツール部門では、2021年まで3年連続1位を獲得しています。

さらには「みんなの株式」ネット証券ランキング取引ツール部門で8年連続1位を獲得するなど、第三者機関の評価が非常に高くなっています。

また、市況状況や投資判断に役立つ情報など、証券会社ならではの高い質の投資情報を教えてくれるのも強みです。

IPOの取扱銘柄数は非常に多く、また事前入金が不要な点も資金が少ない投資家には嬉しい点です。IPO投資をするならぜひ口座を開設しておきたい証券会社です。

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
岡三オンライン証券 39社 3段階平等抽選 1社 不要 27万

・岡三オンライン証券のIPO実績

岡三オンライン証券のIPO取扱銘柄数は39社と、大和証券(43社)や野村證券(41社)の大手総合証券と比べても遜色のない取扱数といえるでしょう。

IPO投資では当選してから入金すればよく、口座に買付余力がなくても抽選に参加できます。

また、口座数は2020年末の時点で27万口座と他の大手証券に比べ少ないので、ライバルが少なく当選確率がアップすることが期待できます。

ただし、事前入金は不要ですが、抽選のシステムは取引実績などによって優遇されるので、注意が必要です。

・岡三オンライン証券の抽選方法

岡三オンライン証券のIPO投資における抽選方法は、1人1票で抽選が行われます。

この際、過去の取引実績に応じて抽選ステージをステージS、ステージA、ステージBに分けられます(下記参照)。

ステージの種類 判定基準
ステージS ・ 判定期間中に一度でも信用取引手数料優遇コース「プレミアゼロ※1」が適用
・ 判定期間中に一度でも信用取引手数料優遇コース「プラチナ※2」が適用
・ 判定期間中手数料合計が100万円以上
ステージA 判定期間中の手数料合計が10万円以上100万円未満
ステージB 判定期間中の手数料合計が10万円未満

※1プレミアゼロコース:日本株累計売買金額が10億円以上、投資信託の平均残高が3,000万円以上 または信用建玉の平均残高が5,000万円以上
※2プラチナコース:日本株累計売買金額が5億円以上、または投資信託の平均残高が1,000万円以上

抽選はステージSのみが対象の第一抽選、ステージSとステージAが対象の第二抽選、そして全ステージ対象の第三抽選と3回行われます。

各ステージの配分は、第三抽選が割当株数の10%程度、残りの株数を第一、第二抽選で二分するとされています。

例えば、岡三オンライン証券にあるIPO株が1万株割り当てられた場合、第三抽選では1,000株程度、第一、第二抽選ではそれぞれ4,500株程度が割り当てられることになります。

IPO投資ができる穴場の証券会社

先に挙げたSBI証券とマネックス証券、そして岡三オンライン証券の組み合わせは強いのですが、IPO投資ではできるだけ多くの口座を開設し応募するのもおすすめです。

以下の証券会社もIPO投資ができる証券会社なので、ぜひご検討ください。

野村證券

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
野村證券 41社 オンライン取引では
完全平等抽選
22社 不要 533万

※残あり顧客口座数

野村證券はいわずと知れた最大手の総合証券会社です。

IPO投資では主幹事になることが多く、2020年の主幹事件数22社は全証券会社のなかで第1位でした。

野村證券が受け持ったIPO株は、抽選によらず個人に販売される分とインターネットで抽選する分に割り当てられ、抽選による販売は多くないものの、1人1票の完全抽選で行われます。

口座残高の多い少ないに関係なく、また事前入金も不要とあって、投資資金の少ない個人投資家にとっては口座を開設するメリットは大きいでしょう。

SMBC日興証券

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
SMBC日興証券 52社 10%:完全平等抽選
5%:ステージ別抽選
16社 必要 308万

SMBC日興証券は大手の総合証券会社ですが、IPO投資に力を入れており、2020年の取扱銘柄数、主幹事件数はともに全証券会社のなかで第3位でした。

SMBC日興証券に配分されたIPO株は、15%がオンラインで取引されます。

そのうち3分の2にあたる10%は1人1票の完全平等抽選で行われ、残りは「預かり資産」または「信用取引建玉金額」で決まるステージ判定条件によって当選確率が変わります。

5000万円以上の預かり資産、または信用取引建玉金額の最大ランク「プラチナ」ステージでは、当選確率が最大25倍に上昇します。

松井証券

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
松井証券 18社 70%:完全平等抽選 0社 不要 130万

松井証券に割り当てられたIPO銘柄は、配分予定量の70%が抽選によって配分されます。

抽選方法は1人1票の完全平等抽選で、誰にでも公平にチャンスがあります。

また、抽選に参加する段階では事前入金の必要はないので、少ない資金でIPO投資を始めたい個人投資家にとってはメリットが多いでしょう。

NISA口座対応で、株式の売買手数料も50万円までは無料なので、IPO投資で出た利益を無駄なく受け取れる点も魅力的です。

大和証券

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
大和証券 43社 10%:完全平等抽選 15社 必要 303万

※残あり顧客口座数

大和証券は大手の総合証券会社でIPOの取り扱いも非常に多い会社です。

2020年の実績では主幹事を15社担当し、取扱銘柄数も43社と多く、IPO投資をするなら口座を持っておきたい証券会社の一つです。

大和証券に割り当てられたIPO銘柄の10%がオンライントレードで抽選されます。抽選は1人1票で、1人で申し込めるのは1単元のみなので、資金の差によって当選確率が変わることがありません。

楽天証券

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
楽天証券 38社 1単元1票での抽選 0社 必要 508万 ×

楽天証券はインターネット専業のネット証券ではSBI証券に匹敵する大手の証券会社です。

IPO投資にも力を入れており、2020年は主幹事件数こそ0社でしたが、取扱銘柄数は38社に上りました。

抽選方法は1単元1票で平等抽選されますが、1人あたり何単元でも申し込めるので、資金が多い人ほど当選する確率は高くなります。

手数料が安く取扱商品が多いので人気の証券会社ですが、IPO投資ではNISAに対応していないので注意が必要です。

auカブコム証券

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
auカブコム証券 19社 完全平等抽選 2社
必要 122万

※三菱UFJモルガン・スタンレー証券の主幹事件数

auカブコム証券は、大手総合証券会社である三菱UFJモルガン・スタンレー証券と同じ三菱UFJフィナンシャル・グループで、ネット金融サービスを担う証券会社です。

2020年は三菱UFJモルガン・スタンレー証券が取り扱ったIPO銘柄19社をすべて取り扱いました。

auカブコム証券では、申し込み単元数の制限はありませんので、1人で複数単元株を申し込むことができます。

ただし、IPO銘柄の販売数より申込者数が多い場合、1人が複数単元株を申し込んでいても、当選するのは1単元のみとなっています。

完全平等抽選ですが、申し込み段階で複数単元申し込める点が初めから1人1単元と制限をかけている野村証券や松井証券との違いになっています。

GMOクリック証券

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
GMOクリック証券 1社 100%:完全平等抽選 0社 必要 46万

GMOクリック証券はGMOインターネットグループの証券会社です。

IPO株の取り扱い数自体は少なく、実際2020年も同じGMOグループの「GMOフィナンシャルゲート株式会社」1社のみの取り扱いでした。

IPO投資が目的の場合、本来であればこうした取扱銘柄数の少ない証券会社はメリットが少ないのですが、GMOクリック証券に限っていえば口座開設のメリットはあります。

まず、今後もGMOクリック証券が取り扱うIPO銘柄は、グループ関連の会社が予想されることです。

GMOグループの会社はネット関連の事業を展開していることが多く、さまざまなサービスが電子化されている現在においては、今後の成長が期待できます。

先ほどご紹介したGMOフィナンシャルゲート株式会社も、クレジットカードや電子マネーによる対面型決済を行う決済端末の提供と決済処理サービスを提供しています。

また、取扱銘柄数は毎年少ないものの、グループ関連のIPO株が割り当てられるということで配分銘柄数が多くなることも期待できるでしょう。

そもそもGMOクリック証券の口座をIPO投資目的で開設している人も少ないと思われるので、ライバルが少ないというのもプラスに働く可能性があります。

特定のIPO銘柄を狙っている人には向かないかもしれませんが、とにかくIPO銘柄に当選したいという人であれば、穴場の証券会社として口座を開設してみてもいいでしょう。

岩井コスモ証券

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
岩井コスモ証券 39社 10%:平等抽選 0社 必要 42万 ×

※対面等取引ではNISA口座利用可能

岩井コスモ証券は取扱銘柄数が多く、2020年も39社と大手の証券会社に引けを取らない実績があります。

岩井コスモ証券に割り当てられるIPO株のうち、ネット取引に配分されるのは10%です。

抽選は抽選対象となる配分の申し込みに番号を割り振り、その番号を対象に行われます。1人1単位という制限はありませんが、申し込み数量は1人10単位までとなっています。

LINE証券

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
LINE証券 0社 完全平等抽選 0社 必要 100万 ×

※ LINE証券自体がNISA口座に非対応

LINE証券がIPO投資サービスを始めたのは2021年6月です。

2020年度の実績はありませんが、IPOサービス自体は数多くの主幹事を引き受けている野村證券との協業となるため、今後取扱銘柄が増えていくことが期待されています。

IPO関連情報や当選結果が「LINE」でタイムリーに通知されるので、IPO投資をより日常的に行いたい人におすすめの証券会社です。

PayPay証券

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
PayPay証券 0社 100%完全平等抽選 0社 必要 15万 ×

※ PayPay証券自体がNISA口座に非対応

PayPay証券はIPO投資に関する実績がほとんどありません。実際これまで取り扱ったIPO銘柄は2018年のソフトバンク株式会社のみです。

しかしPayPay証券のIPO投資には、1人1株からIPO銘柄に申し込めるという大きな特徴があります。

一般的に株式は1単元を100株として取引されており、IPO株も100株を1単位として申し込むところがほとんどです。

しかし、PayPay証券では1株から申し込むことができるので、数千円の資金があればIPO投資にチャレンジすることができます。

また、1人が申し込める株式数は1単元(100株)までなので、投資に回せる資金が少額の人でもチャンスが広がります。

2020年はIPO銘柄の取り扱いはありませんでしたが、サービス案内がウェブサイトに残っていることから、今後IPO銘柄の取り扱いがあるかもしれません。

少額からIPOを経験したい人は口座を開設しておいてもいいでしょう。

SBIネオトレード証券

取扱銘柄数
(2020)
抽選方法 主幹事件数
(2020)
事前入金 口座数
(2020)
NISA対応
SBIネオトレード証券 7社 10%:完全平等抽選
90%:ステージ制抽選
0社 不要 -

SBIネオトレード証券は、2020年10月にSBIグループがライブスター証券を吸収合併し、2021年1月に商号変更したネット証券です。

2020年のIPO取扱銘柄数は7社と少ないものの、SBIグループに入った2021年は12月15日時点で21社と大幅に増えており、今後もグループ会社の強みを活かして取扱銘柄数が増えていくことが期待されています。

まとめ

IPO投資におすすめの証券会社を、取扱実績、抽選方法、NISA対応などの項目から比較してご紹介しました。

IPO投資は当選する確率は高くありませんが、当選すれば高い確率で利益が期待できる、一種の宝くじのようなものです。

抽選に参加しないと当選しないところも宝くじに似ています。資金に余力があれば多くの抽選に参加できますし、もし予想より多く当選しても、辞退すれば損失はありません。

今回ご紹介したIPO投資におすすめの証券会社から、自分に合った口座の組み合わせを選んで、ぜひ挑戦してみましょう。

FAQ

ここでは、IPOに関するよくある質問に回答していきます。

Q.IPOとはなんですか?

A.Initial Public Offeringの略で、(新規)株式公開のことです。

株式会社が設立されて間もない頃は、会社は代表などの少数の株主によって所有されるのが一般的です。

株式公開とは、このように自由に会社の株式の売買ができない状態から、株式市場に上場することで不特定多数の人が自由に売買できる状態をいいます。

IPOされた会社の株式は、上場直後値上がりすることが多いため、新規公開株が上場される前に「株を買う権利」を手に入れ、上場直後に売れば高い確率で利益を得ることができます。これをIPO投資といいます。

Q.当選をしやすくするテクニックはありますか?

A.ライバルを少なくすると、結果として当選しやすくなります。

証券会社におけるIPOの当選確率は、ざっくりというと「その会社に配分されるIPO株数÷抽選の参加者数」です。

つまり、抽選の参加者数が少ない証券会社を選ぶことでライバルが少なくなり、当選確率を上げることができます。

わかりやすいのが証券会社の口座数です。

口座を持っている人が必ずIPOに参加するわけではありませんが、口座を持っている人は参加する権利があるということなので、やはり口座数が少ない証券会社のほうがライバルは少ないといえるでしょう。

もう1つは抽選のタイミングです。証券会社によっては抽選のタイミングが異なるため、時間をずらすことによってライバルが減り、結果として当選確率を上げることにつながります。

Q.IPOは抽選に当選したら必ず購入しないといけない?

A.当選した後、実際に購入するかどうかは選択することができます。

IPO投資は抽選になるため、複数の証券口座から気になるIPO銘柄の多くに抽選を申し込む方もいるはずです。

しかし、実際に当選してみると、自分が期待していたより魅力的な会社ではないことに気がついたり、予想以上に当選して資金が不足することもあるでしょう。

IPO投資では自分で申し込んで抽選に参加するため、当選したら必ず購入しなければいけないと思っている人もいますが、当選後は本当に購入するか辞退するか選ぶことができます。

ただしその場合、証券会社によっては一定期間新たな抽選に参加できないなどのペナルティーを課されることがあるので、事前に証券会社のウェブサイトなどで確認しておきましょう。

Q.購入する際の手数料は?

A.IPO投資では購入時には手数料は不要です。

ただし、売却するときはすでに上場株式になっているので、各証券会社が設定する現物株式の売却手数料がかかります。

各証券会社の国内現物株式の取引手数料を見てみましょう。

証券会社 10万円の場合 50万円の場合 100万円の場合
SBI証券
(アクティブプラン)
0円 0円 0円
松井証券 0円 0円 1,100円
GMOクリック証券
(1日定額プラン)
0円 0円 0円
楽天証券
(1日定額コース)
0円 0円 0円
auカブコム証券
(1日定額手数料コース)
0円 0円 0円
マネックス証券
(取引毎手数料コース)
110円 495円 1,100円
SMBC日興証券 137円 440円 880円
LINE証券 99円 275円 535円

※すべて税込

証券会社によっては、取引の都度手数料がかかるコースと、1日の約定合計金額に応じて手数料がかかるコースの2つから選べる会社もあります。

特にSBI証券、楽天証券、GMOクリック証券、そしてauカブコム証券の1日定額コースは、100万円までは取引手数料が無料となっていますので、コストという点ではIPO投資に向いているといえるでしょう。

Q.証券会社で募集するIPO銘柄に違いはありますか?

A.募集するIPO銘柄は証券会社ごとに大きく異なります。

株式会社が新規に株式を公開するとき、その主幹事の証券会社だけでなく、新規公開株を取り扱う証券会社にもIPOを行う会社に対して責任が生じます。

そのため、IPO投資に力を入れ実績を積んでいる証券会社は、それだけ多くのIPO銘柄を取り扱っています。

具体的には、野村證券、大和証券、SMBC日興証券など、投資に興味がない人でも名前は知っているような大手の総合証券や、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの大手ネット証券などは、毎年IPO銘柄の取扱銘柄数も多いです。

なかでもSBI証券は、2020年のIPO銘柄93社のうち、90%を超える85銘柄の取り扱いがありました。

2位みずほ証券が63銘柄で関与率67%であることを考えると、SBI証券の関与率はダントツで高いことがわかります。

Q.IPOにおすすめの証券会社を教えてください

A.大前提としてIPOの取扱銘柄数が多い証券会社がおすすめです。

取扱銘柄数が多ければそれだけたくさんのIPO銘柄に申し込むことができ、当選確率が上がります。その意味では上で紹介したSBI証券は必ず開設しておきたい口座です。

また、SBI証券より取扱銘柄数は多くありませんが、マネックス証券は配分されたIPO銘柄が100%、1人1票で完全平等抽選されます。

つまり、資金力に関係なく誰でも平等に当選する機会があるので、投資資金に限りがある個人投資家にとってはおすすめの証券会社です。

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