ご近所に、家から持って行った容器に好きなお惣菜を詰めて持ち帰れるお惣菜屋さんがあったら便利ですよね。しかも、プラゴミも減らせて、ちょっと気分もよくなりそう!

今回はそんな持ち帰り容器持参でテイクアウトできるお店『芝惣菜所』に訪れました。2021年の夏にオープンし、密やかに人気を集めています。

「芝公園は東京の下町みたい」。昔ながらの街にオープンした『芝惣菜所』

持ち帰り容器をお忘れなく!“街の寄り場”のようなお店。芝公園『芝惣菜所』
(画像=どこか懐かしさを感じさせる暖簾でお出迎え、『PARIS mag』より引用)

『芝惣菜所』は、惣菜のテイクアウトから、ワイン、クラフトビール、お菓子、コーヒー、そして自家製パンと、なんでも揃っていてイートインもできちゃう、何とも不思議なお店です。

持ち帰り容器をお忘れなく!“街の寄り場”のようなお店。芝公園『芝惣菜所』
(画像=『PARIS mag』より引用)

このお店のオーナーは、イタリアンの名店『樋渡(ひわたし)』のシェフ原耕平さん。「芝公園は、東京の港区なのにどこか下町っぽさがある」と原さんは話します。昔の人が家から容器を持って豆腐を買いに来ていたように、ご近所の方が持ち帰り容器持参で気軽に買いに来られる、そんな“街の寄り場”を作りたいという想いでお店を構えました。

持ち帰り容器をお忘れなく!“街の寄り場”のようなお店。芝公園『芝惣菜所』
(画像=『PARIS mag』より引用)

売っている惣菜やパンにはイタリアンシェフのこだわりがたっぷり。原さん自身が惚れ込んだというパン屋さんにレシピを教えてもらったパンの販売も。『芝惣菜所』で楽しめるペアリングやおすすめシーンと共にご紹介します!

カレーパンサンドとみかん風味のクラフトビール

持ち帰り容器をお忘れなく!“街の寄り場”のようなお店。芝公園『芝惣菜所』
(画像=『PARIS mag』より引用)

最初にいただくのは、オリジナルカレーパンに燻製チキンを挟んだ「カレーパンとチキンタルタルサンド」。『芝惣菜所』のカレーパンは、中にカレーのルーが入っているものではなく、生地にカレー粉と『樋渡』で作ってるボロネーゼソースが練り込んであります。ルーが入ってなくても味はしっかりカレー。ピリッとした辛さが後から広がります。

持ち帰り容器をお忘れなく!“街の寄り場”のようなお店。芝公園『芝惣菜所』
(画像=カレーパン単体でも購入可能!、『PARIS mag』より引用)

ペアリングは原さんチョイスのクラフトビール「だいだいエール」。みかんのさっぱりとした香りとスパイスの辛さは相性ばっちりです◎。

もちもちな「チーズチャバッタ」に軽めのワイン

持ち帰り容器をお忘れなく!“街の寄り場”のようなお店。芝公園『芝惣菜所』
(画像=『PARIS mag』より引用)

ワインと共に堪能したいのが「チーズチャバッタ」。生地の中にチーズが溶け込んでいます。テイクアウトした次の日の朝でも、焼いてしまうのはもったいないくらいのモチモチ食感。

軽めの赤にも、お店でいただけるスパークリングワインにも相性抜群なので、おつまみ感覚でもいただけます。中に入っているチーズは濃厚すぎず比較的軽めのため、お子さんにも喜ばれそうです。

実はこちら、根津にあるビストロ『Cise』のレシピを公認で引き継いだもの。『Cise』で食べた時のあまりのおいしさに「教えてください!」と原シェフ自ら声をかけたそうです!

何に出合えるかは、その日のお楽しみ!ランチにおすすめ「本日のパニーニ」

持ち帰り容器をお忘れなく!“街の寄り場”のようなお店。芝公園『芝惣菜所』
(画像=『PARIS mag』より引用)

『芝惣菜所』で人気な「本日のパニーニ」。中身はシェフの気まぐれということで、どんな巡り合わせがあるかは行ってからのお楽しみです!この日は柑橘類を食べて育った長野県の「さんさん豚」を使ったサンドイッチ。パンにお肉の油が程よく染み込み、かといって重たすぎない、ランチにおすすめの一品です。

「本日のパニーニ」の中身は、『樋渡』で残ってしまった食材なのだとか。パニーニのために食材を仕入れているのではなく、『樋渡』で残った、いわゆる“あまりもの”を使っているといいます。しかし、“あまりもの”といっても、本格イタリアンが使う贅沢な食材。

おいしいサンドイッチを頬張りながら、食品ロス削減にも貢献できる、気持ちのいいランチタイムになりそうです。

「料理人として何かできないか」。コロナの渦で生まれた“アンサー”としてお店

持ち帰り容器をお忘れなく!“街の寄り場”のようなお店。芝公園『芝惣菜所』
(画像=お客さんから適切な量がわかりやすいように、1人前ずつディスプレイ、『PARIS mag』より引用)

原さんが『芝惣菜所』で持ち帰り容器持参や食品ロスの削減を始めた背景には、生産者、お客さん、原さん本人、それぞれが抱えていた悩みや違和感を解消したいという想いがありました。

「コロナ禍によってたくさんの飲食店が休業したり閉店を余儀なくされたりしましたが、生産者はそう簡単に生産量をコントロールすることはできないんです。たとえば、卵農家さんの鶏は毎日のように卵を産みます。出荷できる場所が減ってしまって、すごく苦しかったと思うんですよね。料理人として何かできないかと、考えていた矢先に思いついたのがこのお店をオープンすることでした」。

持ち帰り容器をお忘れなく!“街の寄り場”のようなお店。芝公園『芝惣菜所』
(画像=持ち帰り容器に惣菜を詰めていただいたお弁当。自分でチョイスすることはもちろん、お任せも可能◎、『PARIS mag』より引用)

『樋渡』と食材をシェアすることで食品ロスを削減。それだけでなく、なんと使う卵の量は『樋渡』だけの時よりも約3倍にも増えたそうです。

「お客さんも質のいい食材を比較的安く食べれるし、生産者もいっぱい卸すことができる。素敵な生産者からたくさん買うことが僕の幸せなんです!『芝惣菜所』があることで、三者の幸せを同時に実現させられる。料理人として少しでも貢献できていることが本当にうれしいです」。

持ち帰り容器をお忘れなく!“街の寄り場”のようなお店。芝公園『芝惣菜所』
(画像=お酒や調味料も1つひとつ丁寧に紹介、『PARIS mag』より引用)

世間的にSDGsに注目が集まる前から、料理人は当たり前にゴミを減らす努力をしてきたと原さんは続けます。

「野菜ひとつ使うにも、どうしたら芯まで使い切れるか、調味料のカップを何か再利用できないか、ゴミを減らす努力をすることは、料理人にとっては当たり前にやってきたことなんですよ。だから、テイクアウト需要が高まったときに、『プラスチックごみが増えるのが嫌』というお客さんの気持ちにもとても共感できました。持ち帰り容器持参でも成り立つんだ!ってことがこのお店を通じてわかってもらえれば、こういう形態のお店が普通になる日も近いんじゃないかなって、そんな願いも込めているんです」。

楽しみ方は自由!お客さん思い思いの過ごし方で

持ち帰り容器をお忘れなく!“街の寄り場”のようなお店。芝公園『芝惣菜所』
(画像=『PARIS mag』より引用)

すでにさまざまなことに挑戦している『芝惣菜所』ですが、やりたいことは山ほどあると原さんはおっしゃいます。今回はパンを中心に紹介しましたが、『芝惣菜所』は「何屋さん」と定義づけるのが難しいほど豊富なラインナップです。

「惣菜にはワインが合うし、明日の朝のパンも一緒に買って帰れたら楽だろうし、お昼のサンドイッチを食べたらコーヒーが飲みたくなりますよね。『あったらいいな』と思うものを全部詰め込んだ感じです。お菓子ひとつ、パン一切れからでいいので、コンビニのような感覚で使ってもらえたらと思っています」。

今後はパンの種類も増やしていく予定とのこと。また、原さんのお気に入りが並んだマルシェにも挑戦してみたいそうです。

「たとえば、『タコと大根のマリネ』を食べてみて、その大根がおいしかったから買って帰ろう!みたいな感じで、『芝惣菜所』自体が生産者とお客さんをつなぐ場所になれたらいいですよね」。

原さんの「やりたい」が詰まった『芝惣菜所』。持参したご飯に惣菜を詰めてもらってお弁当にしても良し、夜のお買い物ついでに1杯だけ飲んで帰るのも良し。どんな楽しみ方もウェルカムだからこそ、何度行っても飽きない、まさに“街の寄り場”のような温かなお店でした。


提供・PARIS mag(シンプルで上質なライフスタイルを提案するWEBマガジン)

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