「サッカー選手には無理だよ」と言われた腸内細菌のビジネス
――起業当初はネガティブな反応もあったそうですね。 鈴木:サッカー選手は引退後、指導者になるとか、サッカーを軸に活動するのが既定路線ではありますからね。 なので「腸内細菌の研究をする、ベンチャーを立ち上げた」みたいな話を聞けば、当然「そういうのは大手企業がやることでサッカー選手ができるようなことじゃないよ」というふうに言われてました。 けど、「できない」「難しい」とか言われることのほうが、チャンスがあると思うんです。学生時代、周りには僕よりサッカーが上手い人がいたし「お前なんてプロになれないよ」って言われてたんですよ。でも結局なれたんですよね。 だいたい「なれない」とか「できない」とかって言うのは、やったことない人なんですよ。やってみないと分からないし。そんなことを言われてサッカー選手になった僕が、子どもたちに伝えたいのは、誰だって可能性があるってことですね。 ――そのような経験があるからこそ、周りのネガティブな意見が気にならなかったのですね。 鈴木:簡単に誰でもできるようなことだったら、参入障壁も低いですからね。難しいと言われるからこそ、自分がやる意味とか、自分だからこそできることっていうのがあるんじゃないかと思います。今から僕が腸内細菌の研究者になるのは時間もかかるし難しいでしょう。でも、専門家を集めればいいだけの話ですよね。
浦和レッズのサポーターの声も起業のきっかけに
――ビジネスに興味を持ったきっかけは、ご自身の経験以外に何かあるのでしょうか。 鈴木:サッカー選手として、サポーターの方々にはいつまでもスタジアムに通ってもらいたい、という想いがあるんですよ。 でも僕があるとき、サポーターの1人に「最近スタジアムに来てくれないじゃないですか」と聞いたら「人間は年を重ねると、行きたくても行けないんだよね。疲れちゃうし」という話をしてくれたんです。いつまでも元気にスタジアムに来てもらうためには、健康第一だと気付きました。体調管理やコンディショニングって、アスリートが一番やっていますよね。 僕の経験とかアスリートのデータを用いて、ファンサポーターの健康に貢献できたら……こんな素晴らしいことないなと思ったんです。アスリートの研究することで、次世代のアスリートに対して貢献できますし、それを自分の次のキャリアのチャレンジとして、やってみようと単純に思ったんですよね。