長男を出産したあとの1カ月、産褥アマさんと一緒に生活し、家事全般と産まれたばかりの息子の面倒をお願いしました。東南アジアの働く女性が、たった2〜3カ月の産休で社会復帰するための秘密を実際に体験し、身も心も復職への準備万端となりました。そこで今回は、産褥アマさんとの実際の生活の様子をご紹介します。

マレーシアやシンガポールなど東南アジアの一部の国では、「産褥アマさん」を雇って産後の体を休め、赤ちゃんとの新しい生活に慣れるためのお手伝いをしてもらうのは一般的な風習です。

第一子である息子を産んだばかりの私にとって、だっこやおむつ交換、2〜3時間ごとの授乳や寝かしつけ、何もかもが初めてのことばかり。退院後の疲れた体であらゆることをいっぺんに始めるのではなく、少しずつ身につけていけるのはとてもありがたかったです。

人によっては里帰り出産をすればこのような生活も可能でしょうが、私の場合は両親がまだ現役で働いているため100%頼るわけにはいきません。夫と産まれたばかりの子どもが一緒に暮らせないのも避けたかったので、マレーシアで産んで産褥アマさんを頼るという選択をしました。

■産褥アマさんとは

産褥期(分娩後、女性の体が妊娠前の状態に戻っていくための時期。6〜8週間かかるといわれます)のお母さんの体力回復と、赤ちゃんのケアに務める専門職です。

1月下旬に息子が産まれ、退院日に産褥アマさんに来てもらい、夫、私、子ども、産褥アマさんの4人での新生活が始まりました。

産褥アマさんと過ごしたある1日の流れをご紹介します。

■産褥アマさんと過ごす1日

7:30 起床
出産前と変わらず、だいたいこの時間に起きます。
産褥アマさんはそれよりも先に起きていて、産褥食のひとつであるハーブティや朝食の支度、昼食と夕食の下ごしらえをします。

こちらは、ハーブティに使う材料。

3食昼寝付き!産褥アマさんと過ごした産後1カ月【海外で、産む】
(画像=『DRESS』より引用)

8:00 朝食
夫とふたりで朝食を取ります。
息子がぐずると、産褥アマさんが「私が面倒見るから、あなたたちは食べなさい」を言ってくれるので、自分のペースで食事を取ることができます。お昼も夜も同様です。

パンケーキや麺など、いろいろな料理を作ってもらいました。

3食昼寝付き!産褥アマさんと過ごした産後1カ月【海外で、産む】
(画像=『DRESS』より引用)

9:00 息子の沐浴
息子の沐浴も産褥アマさんの仕事です。てっきり夕方だと思っていましたが、こちらでは朝にお風呂に入れるのが定番のようで、それに従います。最初の3週間は完全にお任せで私は見学のみ。最後の1週間のうちにやり方を教わりました。
マレーシアの中華系の人たちにはこの「YU YEE OIL」が定番のようで、沐浴後のマッサージの際はベビーローションにこれを混ぜて使っていました。主成分はペパーミントで、とても爽快感のある香りがします。

3食昼寝付き!産褥アマさんと過ごした産後1カ月【海外で、産む】
(画像=『DRESS』より引用)

なお、産褥アマさんから「あなたのシャワーは日が出ている時間帯に」と言われたので、息子の沐浴のあとにシャワーを浴びていました。日が出ていない時間帯にシャワーを浴びると体が冷えるから、というのが理由だそうです。根拠はわかりませんが、とにかく体を冷やすのはNGのようです。

中華系の伝統的な産褥ルールに従う場合はシャワー自体がNGだそうですが、私が雇った産褥アマさんは外国人にはそこまで厳しくしない方針らしく、私は毎日シャワーを浴びていました。

12:00 昼食
栄養たっぷりの産褥食です。
体力回復に効いて母乳の出をよくするための料理だそうで、生姜をたくさん使った料理が多かったです。

3食昼寝付き!産褥アマさんと過ごした産後1カ月【海外で、産む】
(画像=『DRESS』より引用)

17:00 息子の体拭き
暖かいタオルで体を拭き、着替えさせます。
沐浴と同じく最初の3週間は完全にお任せで、最後の1週間にやり方を教わりました。

19:30 夕食
昼と同じく、産褥食です。
産褥アマさんの仕事は「私と赤ちゃんの世話」が基本ですが、「私の食事と同じメニューでよければ」という前提で夫の分も作ってもらいました。

3食昼寝付き!産褥アマさんと過ごした産後1カ月【海外で、産む】
(画像=『DRESS』より引用)

21:00 息子を産褥アマさんに預ける
ここから朝まで、息子のミルクやおむつ交換、泣いたりぐずったときのあやしは産褥アマさんにお任せです。息子のミルクは粉ミルクで対応してもらいました。母乳にこだわる人は、事前に搾乳したものを産褥アマさんに託すようです。
子ども部屋で産褥アマさんに寝泊まりしてもらい、私たち夫婦は自分たちの寝室へ。ベッドに入ったら朝までぐっすり眠ることができます。たまに夜中に息子の泣き声が聞こえましたが、そこであやすのも、ミルクをあげるのも産褥アマさんの仕事。私たちは気にせず寝ていました。ここで罪悪感を感じてしまう人は、産褥アマさんを雇うのには向いていないかもしれません。

ほぼ毎日、こういう流れで進んでいました。

このほか、授乳やおむつ交換、だっこなどは都度あります。息子が泣いて私がだっこしても泣きやまないときは産褥アマさんに助けてもらいました。

昼寝もたまにしました。

産褥アマさんの食事やシャワーは特に時間は決まっておらず、彼女の好きなタイミングでやってもらいました。息子の夜泣きで夜間あまり眠れなかったときは、日中の空き時間にお昼寝をしてもらいました。

■産褥アマさんを雇うメリット

1.夜に、まとまった睡眠が取れる
新生児は胃が小さいので、授乳の頻度も昼夜問わず2〜3時間です。頼れる人がいない場合は夜も細切れでしか眠れません。産褥アマさんが帰ったあとに自分も経験して痛感しましたが、「まとまった時間眠れない」というのはかなりのストレスで本当にしんどいです。
最初の1カ月だけとはいえ夜ぐっすり眠れるのは、体力を回復させるために、非常にありがたかったです。

2.子育ての慣らし運転ができる
おむつ交換や沐浴、ミルクの作り方など、すべてをゼロからいっぺんに手探りでやるのではなく、産褥アマさんに習いながら徐々に身につけることができたので、いらぬ不安を感じることがありませんでした。ほかにも、息子のベビーカーの慣らし、外出する際の持ち物や注意点、1カ月検診の付き添いなど、あれこれ助けてもらいました。

3.家事をしなくていい
掃除や洗濯、料理などをすべてお任せで、本当に楽でした。

■まとめ

東南アジアの働く女性が、たった2〜3カ月の産休で復職できる秘密がまさにこれでした。自分も体験したからでしょうか。息子の1カ月検診で私も診察してもらった際に、医師から「回復が早い」と太鼓判を押されました。

産褥アマさんを探すのに苦労しましたが、雇ってよかったと実感しました。

日本でも産後の過ごし方の選択肢のひとつとして、一般的になるといいなぁと思います。

もしくは、マレーシアやシンガポールなどの国で出産し、産褥アマさんをやとって産休・育休を過ごすのも、新しいライフスタイルとしてアリかもしれません。ビザの問題をクリアする必要がありますが……。


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