併せてと合わせての違いを明確に説明できる人は多くないと思います。それぞれの意味や類語、そして反対語を見ていきながら併せてと合わせての使い分けができるように説明をしていきたいと思います。また実践的な使い方の例をそれぞれ11選で見ていきましょう。
「併せて」の意味|併せてと合わせての違い
「併せて」の意味|併せてと合わせての違い
「あわせて」と読む場合、「併せて」と「合わせて」があります。最近ではパソコン打ちがメインになりますので、うっかり変換をしてしまった方を使っている、ということは少なくないのではないでしょうか。しかしながらこの2つの言葉はまったく意味が違う言葉になります。
この2つの言葉には漢字の違いもありますし、意味の違いもあります。特にビジネスでは漢字の誤字があるとそれだけで信用を失ったり、あなたの能力が低く評価されてしまうリスクすらあります。そういった間違いを犯さないように、違いをしっかり見ていきましょう。
まず、「併せて」については「2つ(の物事)を同時並行で」という意味があります。簡単な例文を上げると「パスポートの手続きとビザの手続きを併せてお願いできますでしょうか」という場合に使います。この場合は2つの手続きを同時並行で進めてほしい、という意味になります。
「併せて」の読み方|併せてと合わせての違い
「併せて」「合わせて」これは両方とも「あわせて」と読みますが、それぞれ読み方が違っています。ただし両方とも似たような意味合いはあり、「合併(がっぺい)」という熟語もあります。これは「会社の吸収合併」などという形で使われる単語になり、よく使われる単語になります。
「併せて」については「併」を「へい」と読み、意味合いとしては2つのものを両方とも立てながら進める意味合いがあります。つまり先ほど説明した同時並行の意味合いになります。「併せて」の「併」については2つ以上のものが成立しながら進んでいる様をイメージすると、分かりやすいのではないかと思います。
「併せて」の類語・反対語|併せてと合わせての違い
「併せて」の類語
「併せて」の類語としては「同時に」があり、これがしっくり来る類義語と思われます。「パスポートの取得と同時に、ビザの手続きも一緒にしていただくことは可能でしょうか」というように、先ほどの例文も言葉を置き換えてもきちんと同じ意味合いを伝えることが可能になっています。
「併せて」の反対語
「併せて」の反対語は「別」「別々」「別段」「追って」になります。「パスポートの手続きを一旦していただき、完了してから追ってビザの手続きを進めていただけますでしょうか」という話になると、2つの手続きは別々になります。今までの例文とはまったく逆を意味しています。
「併せて」を使う場面(「併せてご確認」など)
「併せて」の使い方は例文で追って説明をしていきますが、「併せて」を使うシーンとしては物理的な物品ではなく何か事象が2つ以上ある場合に使う可能性が出てきます。ビジネスの場ではいちいち個別に連絡をするとお互いに手間になってしまうので、一緒に伝達をしようという配慮になります。
例えば「パスポートの申請完了のご連絡をいただきありがとうございます。ビザの件の進捗も併せてご確認をいただけましたら幸いでございます」という形になり、例文全体が非常にビジネス感をまとった文章になります。類義語を使った文章よりも相手方にすっきりと伝えることができるようになります。
「合わせて」意味|併せてと合わせての違い
「合わせて」の意味|併せてと合わせての違い
次に「合わせて」の使い方を見ていきましょう。「併せて」と「合わせて」の2つがそもそも類義語の組になっていますが、非常に間違いやすい言葉になっていますので、その違いを明確に認識していくことが必要です。
「合わせて」を見ていく時にイメージしてほしい言葉が「合致(がっち)」「合体(がったい)」になります。これは2つの物が完全もしくは不完全に融合する様を意味します。
「合わせて」の読み方|併せてと合わせての違い
「併せて」については、2つ以上の事象を同時並行で行っていくような意味合いがあるのに対して、「合わせて」については物理的な意味合いが強くなります。例えば「ジーンズに無地の白Tシャツを合わせるにはスタイルを保つことが大切だ」というような形で、2つのものを物理的に合わせる場合に使用をします。
また「あなたのスケジュールに合わせて行動します」という場合にも使います。これは他人のスケジュールに「合致をさせて」行動をする、という意味合いになりますので、このような例文も成り立ちます。「併せて」についてはこういった使い方はできないので、物理的なものか事象に対して使うのかで変わってきます。
「合わせて」の類語・反対語は?|併せてと合わせての違い
「合わせて」の類語
「合わせて」の類語としては「重ねて」が挙げられます。「ジーンズに無地の白Tシャツを重ねるにはスタイルを保つことが大切だ」というように、同じ文章の一部を変えても意味はまったく同じように通じます。このように「合わせて」と「重ねて」は類義語であり、これらが類義語と認識することで言葉への理解が深まります。
「合わせて」の反対語
「合わせて」の反対語は「離れる」「分ける」になります。「ジーンズに無地の白Tシャツを合わないので、それぞれ別の日に分けて着ようと思う」というような形で使うと、例文も反対の意味を指すようになります。このように「離れる」「分ける」は「合わせて(合わせる)」の反対語になります。
「合わせて」を使う場面(「重ねて」と違い)
「合わせて」は物理的に「合致させる」「合体させる」意味合いを示したい場合に使う言葉になります。「明日のデートはジーンズに無地の白Tシャツを合わせてみよう」「時計の時間がずれているようなので、時報を聞いて合わせよう」といった形で、使うシーンは日常のシーンを含めて多くなることでしょう。
また、「明日のデートはジーンズに無地の白Tシャツを重ねてみよう」は「重ねて」を使えますが、「時計の時間がずれているようなので、時報を聞いて合わせよう」に「重ねて」は使えません。何故なら類義語であっても「重ねて」の方が、物事の融合性が弱いため完全に合致させる時間等に関しては意味が異なるためになります。