2020年に大ヒットした人気映画『鬼滅の刃』。近年、映画の舞台となった土地を聖地として巡る旅が流行るようになりましたが、この『鬼滅の刃』の場合は、コスプレーヤーから火が付き、主人公竈門炭治郎と同名を持つ福岡の神社や、炭治郎が”斬った岩”と同じ形の岩が残る奈良などが注目を浴びています。その中で今回は、愛知県にある「鬼」関連の伝説地・桃太郎神社をご紹介します。
桃太郎神社のある「犬山」という地名に残る鬼退治の跡
今回ご紹介する「桃太郎神社」があるのは、愛知県犬山市。神社の名称の通り、桃太郎の伝説にゆかりがある神社ですが、犬山市には「桃太郎」の物語に登場する犬・猿・雉にまつわる地名が多く存在しています。
たとえば、猿洞、猿瀧、猿渡、雉が棚、雉ケ峰、桃山、姥の懐など、犬・猿・雉がそろっています。そしてなんと、木曽川の上流には鬼が島の伝説地もあり、ここ犬山は桃太郎の生誕地として昔から注目を浴びているのです。
地図を見ると、『桃太郎』の中に出てくる、鬼の住みか「鬼が島」は川の中州にあります。桃太郎が拠点としていたという桃山から近すぎず、退治のために仲間を募りながら歩いてゆくのにちょうどよい位置関係にあることがわかりますね。
桃太郎伝説の地、桃太郎神社
その桃太郎の名を冠する「桃太郎神社」には、桃太郎が無事に帰ってからの後日談が残っています。
桃太郎は鬼退治の後、祖父母と幸せに暮らして天寿を全うすると、山に入り姿を消したとか。その山が桃の形となったことから「桃山」と呼ばれるようになり、そのふもとに建てられた神社が、桃太郎神社のはじまりということです。
日本で唯一「桃の神」を祀る神社
桃太郎神社のご祭神は、大神実命(おふかんつみのみこと)といいます。日本人の始祖ともいえるイサナキが、火の神を生んだことで亡くなってしまった最愛の妻イサナミを連れ戻すために、姉が止めるのも聞かずに会いに行きました。
しかし死んでただれたイサナミを見て「きたなし」といって逃げ帰ったため、最愛の夫に恥をかかされ怒ったイサナミがイサナキを追うために遣わせたのが「シコメ(醜女、鬼)」です。そして『鬼滅の刃』の物語は、この「火の神」や「鬼と化したイサナミ」をモチーフにしているといわれています。