「ふるさと納税」は、実質2000円の負担で自治体からお得な返礼品をもらえる制度です。自治体によっては、「金券」や「商品券」も返礼品として受け取れます。
返礼品としての金券や商品券は、制度の見直しによって数が減りました。しかしお得な金券や商品券を返礼品とする自治体はまだあり、中には還元率が30%を超えるものもあります。本記事では還元率が高い金券・商品券ランキングを作成しました。チェックしてみましょう。
ふるさと納税でもらえる「金券」「商品券」とは
ふるさと納税の返礼品は地元の特産品などが一般的ですが、中には「金券」や「商品券」を受け取れるところもあります。現地のお店の商品・サービスの代金に使える金券や商品券が主流で、例えば次のようなものがあります。
・地域のお買い物などで使える商品券:群馬県みなかみ町など
・地域の飲食代に使える食事券:岐阜県関市など
特産品の場合は自治体が用意したものを受け取りますが、金券や商品券なら買い物などで利用できるので好きなものを選べます。ほしい返礼品がない場合は、金券や商品券を選んでみてはいかがでしょうか。
ふるさと納税の返礼品に金券や商品券があるのはなぜ?
「ふるさと納税の返礼品に金券が禁止された」というニュースを聞いたことがある人は多いでしょう。確かに禁止されたものもありますが、基準を満たすものは現在でも返礼品として存在します。
2019年6月1日に「ふるさと納税に係る指定制度」が始まり、自治体がふるさと納税に参加するためには、総務大臣の指定を受けなければならなくなりました。
指定を受けられるのは、以下の基準を満たす自治体です。返礼品に関しては、「返礼割合(寄附額に対する返礼品の調達費用の割合)が3割以下の地場産品」に限られました。
①寄附金の募集を適正に実施する地方団体
②(①の地方団体で)返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす地方団体
・返礼品の返礼割合を3割以下とすること
・返礼品を地場産品とすること
「地場産品」は物品に限らず、「その自治体で提供される役務(サービス)と交換できるもの(旅行券など)」や「物品と交換できるもの(商品券など)」も含まれます。
つまり返礼割合が3割以下を満たすなら、金券や商品券も返礼品として受け取れるのです。
ふるさと納税の「金券」と「旅行券」の違い
「金券」と「旅行券」の違いは、「選択肢の広さ」でしょう。前者は幅広い使い道がありますが、後者は自治体が使い道をある程度定めています。
「金券」は使えるお店などは限定されていることが多いものの、交換する商品・サービスはある程度自由に選べます。「商品券」も同様です。一方で「旅行券」は、自治体が定めた観光コースやプランにしか利用できないことが多いでしょう。
希望する使い道に合致するなら「旅行券」を、そうでないなら「金券」や「商品券」を選ぶとよいでしょう。
「金券」「商品券」の還元率の計算方法
ふるさと納税の寄附額に対して、どのくらいの金額の「金券」や「商品券」を受け取れるかを表したものが「還元率」です。例えば還元率が30%の場合は、1万円の寄附で3000円相当の「金券」や「商品券」を受け取れます。
おおよその還元率は、以下の計算式で算出できます。
還元率=「金券」や「商品券」の額面÷寄附金額×100(%)
「ふるさと納税に係る指定制度」で返礼割合が3割以下に限定されました。しかし返礼割合は「自治体の調達額」に基づくため、自治体が一般的な価格より安く調達できた場合などは、実質的な還元率が30%を超えることがあります。
還元率が高い「金券」や「商品券」は、地元の事業者が「多くの人に利用してもらいたい」という想いから、市場より安い価格で自治体に提供しているケースもあるでしょう。
ふるさと納税で「金券」「商品券」を選ぶ際の注意点
年収や家族構成によって寄附上限金額が決まっている
翌年に控除を受けるためには、今年の12月31日までに寄附する必要あり
寄附しただけでは税金は控除されない
ふるさと納税で返礼された金券は換金・転売していいの?
ふるさと納税の返礼品として受け取った金券や商品券は、換金・転売してはいけません。自治体によっては条例で禁止しているところもあり、違反した場合は金券や商品券が無効になることがあります。
例えば草津町では、返礼品である「くさつ温泉感謝券」について次のような条例で売買を禁止しています。
換金・転売を禁止する条例の例
くさつ温泉感謝券の取扱いに関する条例
第二条
くさつ温泉感謝券を、不特定多数のものを対象として、かつ、営利を目的として売買を行う行為は、これを禁止する。
2
前項に反し売買されたくさつ温泉感謝券は、これを無効とする。
ポータルサイトのキャンペーンで「金券」を受け取れるケースがある
「ふるさと納税に係る指定制度」が始まる前は「Amazonギフト券」などの換金性が高い金券などが返礼品として用意されていましたが、現在は基本的に禁止されています。
ただし2021年現在、ふるさと納税ポータルサイトが独自に行うキャンペーンでは「Amazonギフト券」などを受け取れるものもあります。
ふるさと納税で「金券」「旅行券」を申し込む方法
ふるさと納税で「金券」や「旅行券」を申し込む方法を次の3ステップで確認しましょう。
ステップ1:寄附金控除上限額を調べる
ふるさと納税の寄附額には上限があります。寄附額の上限は、年収や家族構成によって変わります。ふるさと納税ポータルサイトのシミュレーションなどを使って、事前に調べておきましょう。
上限を超えた場合は税金の控除額が減り、負担が2000円を超えてしまうため注意しましょう。
ステップ2:寄附をする自治体を決めて申し込む
返礼品として金券や商品券を用意している自治体を探します。ふるさと納税ポータルサイトなら、検索ツールが利用できるため便利です。
申し込みの前に、金券や商品券の利用条件を確認しましょう。利用できる場所や期限などが定められているケースがあるからです。
条件を確認したら、ふるさと納税ポータルサイトから寄附の申し込みましょう。寄附金はクレジットカードやスマホ決済など、ふるさと納税ポータルサイトが指定する方法で決済できます。
ステップ3:「お礼の品」と「寄附金受領証明書」が届く
寄附を申し込んで決済が完了すると、寄附先の自治体から金券や商品券が届きます。定められた条件にしたがって利用しましょう。
自治体からは「寄附金受領証明書」も届きます。税金の控除を受けるための確定申告に用いるため、大切に保管しておいてください。寄附金控除証明書を使わずに税金の控除を受けられる「ワンストップ特例」もありますが、念のため保管しておきましょう。
ふるさと納税の「金券」「商品券」に関するよくある質問
Q:2021年現在、還元率30%以上の商品券はあるの?
あります。2019年6月1日に施行された「ふるさと納税に係る指定制度」によって、自治体は返礼品の調達に寄附金の30%以上の費用をかけられなくなりました。しかし市場価格より安く調達できる場合は、実質的な還元率が30%を超えるケースがあります。
Q:ふるさと納税でもらえる「商品券・金券」の種類は何?
多くは、その自治体のお店や施設などで利用できるものです。地元の飲食店やホテルで利用できるものが多いでしょう。また、地元の特産品を使った都市部の飲食店で利用できる食事券などもあります。
幅広い選択肢から選びたいなら「商品券」を、使い道に合致しているなら「旅行券」を選びましょう。
Q:還元率が高いお得な「商品券・金券」は何?
一概にはいえませんが、自治体があらかじめ使い道を指定した「旅行券」は還元率が高めです。地元の事業者の努力で、自治体に通常より安い価格で提供していることが考えられます。
反対に、幅広い選択肢から選べる「商品券」は還元率が30%以下に収まるケースが多いようです。
Q:ふるさと納税の金券や商品券は転売してもいいの?
ふるさと納税の返礼品で受け取った金券や商品券の転売は、原則禁止されています。条例で禁止されている自治体もあり、違反した場合は金券や商品券が無効になることもあります。
ふるさと納税の趣旨は、あくまで「地域の応援」です。利益を得るための換金や転売はやめましょう。
Q:全国どこでも使えるような金券を用意している自治体はあるの?
基本的にはありません。2019年6月1日に施行された「ふるさと納税に係る指定制度」によって、「Amazonギフト券」など全国で利用できる金券・商品券などを返礼品として用意することは原則禁止されました。
ただし、ふるさと納税ポータルサイトが独自に行うキャンペーンでは、これらの金券を受け取れることがあります。