事務のお仕事をしていると「長く事務の仕事で働きたい」と思う人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、システムがどんどん変わっていくのが最近のオフィスの傾向。
昔はWordやExcelができればよかったのに、都心部の会社を中心に、新しいシステムを覚えることが増えてきているようです。
また、RPAと呼ばれるルーティンが得意なロボットも現れています。
手書きの文字を自動で読み込むコンピュータ技術なども発達し、単純な事務のお仕事はだんだん減ってきました。
「私はこのまま事務のお仕事をしていけるのかしら…?」と不安になる人も少なくないのです。
そこで今回は、事務職の中でも、とくに”長く働ける”といわれている「経理」のお仕事に注目してみましょう!
経理のお仕事とは?将来的になくならないの?経理の仕事に就く上で、有利になる資格って?の3点から、紐解いていきます!
「経理」の仕事=会社に不可欠&信頼に関わる仕事
まず、経理はそもそもどんなお仕事か見ていきましょう。
•オフィスワークの中での経理の位置づけは?
まず、事務ワークの中で、経理がどんな立ち位置にあるか知りましょう。
仕事をする上で欠かせない、事務のお仕事。
土日祝日休み、時間外勤務(残業)なし、天候に左右されない、など良い条件が多く、主婦や育児中のママにも人気があります。
ひとくちに事務と言ってもいろいろな仕事がありますが、代表的なものは、以下の4つです。
一般事務
電話対応や書類作成、ファイリングやデータ入力などがお仕事。
特別な専門知識は必要ないが、社会人マナーは必須。
PCのスキルに特化している仕事の場合、OA事務などといわれることもあります。
営業事務
営業のサポート業務です。
営業資料の作成、アポ取り、受発注にかかわる業務のほか、商品の在庫管理や発送なども担当する場合があります。
営業が使用した金銭についての経費精算や、小口の管理をすることも。
会社によっては、コールセンター業務などがここに含まれることもあります。
経理事務
日々の入出金業務(仕訳)や、帳簿管理などがお仕事。
経験が増えると、月次決算・年次決算業務や、税務申告、予算管理、資金調達及び運用なども担当します。
これらで作成したデータは公的な機関へ提出したり、株主総会でも使用されたりします。
企業にとって最も重要な部分のデータ作成を担うこともあります。
総務事務
人事業務(採用など)、給与計算、労務に関するお仕事、ファシリティの管理や、備品管理を担います。
労務では、社員やその家族の異動に関する税金・年金関連の申請書類の作成をすることも。
また、税金の計算や、補助金、交通費の計算などをおこなうこともあります。
コンプライアンスの設定、契約書の作成など、法務業務も同部署で行うことがあります。
ただ、法律に関わる仕事も発生するため、社労士・労務管理士事務所などのアウトソーシングに頼るところも増えてきています。
一般事務、営業事務は、専門的な知識をさほど必要としません。
経理、総務、人事、法務にかかわる事務は、専門的な知識や資格が必要になります。
•経理はどの会社でも必要&外注されにくい
人材の採用・税金の申告などは、毎年決まった時期にまとめて発生するお仕事。
毎日・毎月発生するものではないため、部署自体が独立していないこともよくあります。
「総務経理」「人事総務」「人事経理」など、一緒になっていることも多いようです。
人数が少ない会社であれば、このようなバックオフィスを社内に持たないことも。
その場合、社労士事務所や、税理士事務所に丸ごとアウトソーシングで依頼するケースが多くあります。
ただし、経理は日常的に発生する業務。アウトソーシングしづらい、ということもあります。
企業にとって絶対的に社内に必要となるのは、経理事務といえるでしょう。
•経理業務=会社の信頼・資金調達にかかわる
ところで、なぜ会社にとってそんなに経理が重要になるのでしょうか?
それは、会社には「毎年決算報告をして告知しなければいけない」という義務があるからです。
決算書(決算報告書・財務諸表)をつくるためには、毎日発生する入出金を、帳簿につけてきちんと管理する必要があります。
月次・年次決算書をつくるなどして、お金の動きをいつも押さえておかなければなりません。
また、大きな会社になれば、その決算書をもとに監査を受ける義務もあります。
経理の面がおろそかになると、会社の信頼や、資金調達に悪影響が出てしまいかねません。
実際に、公共事業の入札をするにも、しっかりした経理組織が不可欠です。
健全で安心な経営をしている会社だということを証明し、よりよい顧客を獲得するためにも、企業にとって経理は必須であり、かなめでもあるのです。
必ず確認をし、正確にミスなくお仕事を進められる人に向いているお仕事と言えるでしょう。
経理の仕事をする上で、有利になる3つの資格
さて、これから経理に挑戦したい!スキルアップをしたい!という人が有利になる資格はどんなものがあるでしょうか?
経理にかかわる資格では、以下のようなものが代表的です。
◆日商簿記(2級以上)
◆給与計算実務能力検定(2級以上)
◆FASS検定
それぞれどのような検定なのでしょうか。
•日商簿記
経理でとくに重用される日商簿記。
税理士事務所に後工程を任せている企業では、科目の理解・仕訳の知識があればよいので3級レベルでOK、という場合もあります。
ただ、それ以外では多くは財務諸表を見てその会社の経営状態や問題点を判断することができる、2級レベル以上が求められます。
•給与計算実務能力検定
総務を兼任できる資格として重宝されるのが、給与計算実務能力検定です。
職員の給与や税務などを管理する際に役に立つスキルです。
労務のアウトソーシング化が進む中、やはり社内で管理できないだろうかという回帰志向が発生している企業も。
前述のとおり経理と兼務することがあるので、最近ではこの資格を持った人が重宝されているようです。
•FASS検定/
最近注目のFASS検定は、2005年に始まった新しい検定です。
合格、不合格の判定ではなく、TOEICのようにレベルを判定します。
「経理の実務をどれだけ理解できているか?」という資格で、簿記よりも実践的な知識が必要になります。
日商簿記と合わせて持っているとたいへん有利な資格です。
また、現在経理業務をしている方でも、客観的に知識を確認することができるので人気です。
経理の仕事に関わる資格はほかにもいろいろあります。
今現在、直接的に役立つといわれているのは、上記の3つでしょう。
とくに日商簿記については、経理事務を長く続けるにあたって必須ともいわれています。
経理の仕事を始めたい、もしくは長く続けたいのであれば今からでも遅くありません。
ぜひ2級以上の取得を目指しましょう。
•日商簿記について
簿記の資格にも、いくつか種類があります。
「簿記の資格を持っていますか?」と面接などで聞かれた場合、ほとんどが「日商簿記」を指します。
日商簿記は、1級~3級まであります。
3級は初級者レベル、1級になるとかなりの上級者です。
3級は商業学校の学生なども取得する簿記の入り口的な基礎知識です。
そのため、実務レベルの知識が含まれる2級以上が実際に企業で役立つスキルとしてみなされます。
合格率は3級で55%、2級で13%、1級は9%と難関です。
2~3回のアタックで合格した、という人が多いよう。
難易度は高めですが、一生役に立つ資格です。
人気の資格なので受験者人数も例年ほぼ横ばいで、減ることはほとんどありません。
2~3級までは通信教育や独学で取得する人も多く、勉強期間も平均1年間ほどです。
経理の仕事をしている人は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
参考 日本商工会議所
•今後、経理に必要なスキルは?
今後、経理の仕事には
・PC、会計ソフトのスキル
・経理・税務関係の資格
の2つが必要になるといわれています。
資格については先述をご覧ください。
•会計ソフトのスキル
PCの操作ができて、決算書を読める能力があれば、将来的にも経理の仕事を長く続けることが可能でしょう。
いくつかの会計ソフトの使用経験があれば、なお有利です。
特に、派遣求人や、正社員転職では、面接時に「どんな会計ソフトを使っていましたか?」と聞かれることがほとんど。
就業先と同じソフトであれば即戦力が期待できますし、構造が似ているソフトであれば面接官も安心でしょう。
新しいソフトの場合でも、操作方法さえ覚えれば、科目の知識などは活かすこともできます。
•PCのスキル
また、今すぐにでも学べるスキルとしては、Excel(エクセル)です。
Excelを使った資料作成。帳簿入力、情報分析など、Excelを使った業務は必ずあるもの。
基本のショートカットキー(コピー、ペースト、検索、置換など)や関数(sum、average、count、countif、vlook up、rank、today)などは押さえておきましょう。
ピボットやマクロが使えると、なお、重宝されます。
経理のお仕事、将来的にAIに取られてしまう?
企業にとって、経理のお仕事は不可欠。
とはいえ、将来的に真っ先にAIにとって代わられるのは、経理の仕事だともいわれています。
果たして、本当にそうなってしまうのでしょうか?
•電子データ化により単純作業は無くなっていく
「POSシステム」の導入をすれば、商品の売り上げがすべて電子管理されるようになります。
そうすると、商品の売買による帳簿つけの仕事は不要になります。
すでに、会計ソフトの普及により、入出金データを入力するだけで決算書が自動で作れるようになりました。
ここまで来ると、「経理の仕事は今後不要になるのではないか?」や「PCの操作に長けた若い人にどんどん追い抜かされるのでは?」という不安が出てきます。
確かに今後、伝票作成や仕分け、記入などの単純な入力業務は、AIがおこなうようになるのかもしれません。
実際に、会計士の資格があっても全くパソコンが使えないという年配の方が、採用を見送られた…というような話もあります。
しかし、経理にはデジタルではどうしようもない処理をおこなわなければならないときが必ず発生します。
その時には、経理の知識・実務経験を身に着けた人の手が必要になります。
まずは勉強から→仕事に就いて実務経験を磨くのがおすすめ
•一般事務から経理になるには、まずは簿記の勉強から
会社で事務の仕事を長く続けたいのであれば、まずは経理関係の資格を取りましょう。
そして、実際に経理の仕事に携わるのがおすすめです。
最近は会計ソフトで実務をおこなっているところがほとんどです。
自宅で使えるソフトもありますが、実際にソフトに触り、実務を覚えながら操作に慣れると効率的です。
現在の「会社法」が驚くほど変わらない限り、経理という仕事はなくなることはありません。
経験・スキルを要するお仕事ですし、体力を問われないので、年齢を気にせず働けるのも経理の魅力。
経理部の性質上、信頼のおける部署であるということは、人の入れ替わりが激しいようでは困ります。
そのため、一般事務よりも比較的、長く腰を落ち着けて働くことが可能なのです。
•はじめての経理への応募、正確性・几帳面さがわかるアピールを
いざ簿記の資格を取って応募しよう!と思ったときに必要な、履歴書・職務経歴書。
過去のお仕事経験で、経理のお仕事に活かせそうなことは、伝えたいですよね。
経理は数字を扱う、正確性を問われるお仕事。
数字と、どのくらい正確性をもって仕事を進められるかはアピールにつながります。
「請求書・見積書の発行を毎月100枚1人で対応していました。ミスが発生しないよう、必ずWチェックを行いました。」
など、数字・正確性を伝えられるとベストです。
過去のお仕事で活かせることはありましたか?
今のお仕事でこれから努力をしたらアピールできそうなことはあるでしょうか。
•経理知識は日常でも活きる!勉強して損はない
また、経理の知識は日常でも役に立ちます。
学校のPTA、マンションの自治会などでも決算書はかならず目にしますね。
経理の知識があれば、その会の運営がどうなっているか決算書でわかるようになります。
実際に役員が回ってきた場合でも、その能力が重宝されますよ。
公私ともに役立つ経理の知識。
未経験からでもチャレンジしてみてはいかがでしょう?
提供・しゅふJOBナビ
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