新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発出中、テレワークが推奨されたこともあり、在宅勤務をする人が一気に増えました。
「…だから夫が家にいるけど、全く家事をしない!言わなきゃわかんないの?」
「思っていたより家事をしてくれていて、満足!」
と、働く主婦層たちからは夫の家事・育児への取り組みについて意見もさまざま。
しゅふJOB総研では、2019年11月に行った調査を、改めて実施しました。
コロナ前・後で「夫に求める家事・育児」に変化があったのか、見てみましょう。
今回は【コロナ禍と夫の家事育児】をテーマに、しゅふJOB総合研究所が行ったアンケートデータを参照、主婦から寄せられたコメントをご紹介していきます。
コロナ禍で在宅時間が増えている中、 夫の家事・育児に「満足」17.4%
•コロナ禍で在宅勤務が増えている中、夫は家事・育児に十分取り組んでいると思いますか?(単一回答:既婚女性のみ)
家事・育児を十分に行っていて満足……18.2%
家事・育児を少しは行っていて不満はない……31.6%
家事・育児を少しは行っていたが不満……29.6%
家事・育児を全く行っておらず不満……20.6%
「コロナ禍で在宅勤務が増えている中、夫は家事・育児に十分取り組んでいると思いますか?」という問いに対して、上記の回答結果となりました。
夫の家事に対して「満足・不満はない」という回答と、「不満」という回答がおおよそ半々です。各項目についてコメントが寄せられています。後半でご紹介しているので、併せてごらんください。
では、夫はどのような家事をしているのでしょうか?
夫が積極的に取り組んでいる家事・育児1位「買い物」41.1%
•コロナ禍で在宅時間が増えている中、家事・育児で夫が”積極的に取り組んでいる”と思うことは何ですか?(複数回答:既婚女性のみ)
「コロナ禍で在宅時間が増えている中、家事・育児で夫が”積極的に取り組んでいる”と思うことは何ですか?」という問いに対して、最も回答が多かったのは「買い物」41.1%。
感染防止で”密”を避けるために、1組1名のみ入店可にしているスーパーもあります。まとめ買いをすることを考えると、荷物がたくさん持てる夫が買い物に行った、ということかもしれません。
では、妻が「もっとここをやってほしい!」と考えている家事・育児も見てみましょう。
夫がもっと積極的に取り組んだ方が良い家事・育児1位「掃除や片づけ」42.5%
•コロナ禍で在宅時間が増えている中、家事・育児で夫が”もっと積極的に取り組んだ方がいい”と思うことは何ですか?(複数回答:既婚女性のみ)
「コロナ禍で在宅時間が増えている中、家事・育児で夫が”もっと積極的に取り組んだ方がいい”と思うことは何ですか?」という問いに対して、最も回答が多かったのは「掃除・片付け」42.5%でした。
妻から見た夫が「取り組んでいる家事」と「取り組んだ方がいい家事」を比較してみましょう。
夫が積極的に「取り組んだこと」と「取り組んだ方が良いこと」との比較
「取り組んだこと」の比率から、「取り組んだ方が良いこと」の比率を引いた値で差分を出してみると、充足しているのは「買い物」「ゴミ出し」。反対に、不足しているものは「名もなき家事全般」「料理」です。
『名もなき家事』とは、コピーライター梅田悟司さんが、日常的におこなわれているが名前がついていない家事70項目を取り上げたもの。
たとえば、
タッパー神経衰弱……タッパーのフタと容器を正しく組み合わせる家事。
手料理スルー……スーパーの総菜だけでは申し訳ないので手料理を一品作ったのに、その料理だけが余っているのを切ない気持ちで見届けながら自分で食べきる家事
家事渋滞……完璧な家事計画を立てたのに、ペースを乱されることが起き全てのやる気を一瞬で奪われる家事
など。こう見るとちょっぴり楽しそうに見えるかもしれないのですが、
”ごみ捨て”で考えてみると、
「家じゅうのごみ箱をあつめて1つの袋にまとめて縛る」からやるのと
「縛ってあるゴミ袋をゴミ捨て場までもっていく」のとでは大違いですよね。
ドキッとした方、いらっしゃいませんか?
捨てた後のごみ箱に新しいビニール袋をかけたり、汚れているところをきれいに拭いたりするのもごみ捨ての一環とすると、名もなき家事の多さが見えてきます。
夫婦で「家事をやってる」認識自体が、ズレている可能性もあるのです。
では、コロナ禍以前と比較してみましょう。3つの項目を比較していきます。
コロナ禍発生前(2019年11月)との3つの比較
比較1.夫の家事・育児をどう思う?コロナ禍発生前との比較
コロナ禍前の2019年11月に行ったアンケート結果と比較すると「家事・育児を全く行っておらず不満」と回答した人の率が増えています。
では、家事・育児で夫が「積極的に取り組んだ」こと についても比較してみましょう。
2019年11月に最も回答数が多かったのは「ゴミ出し」44.6%。少し順位の変動があったようです。
特に変化がある項目は「ゴミ出し」「家族の送り迎え」「自治会などの地域活動」「子どもの学校行事」。
最も変化が大きかったのは「子どもの学校行事」でした。
そもそもコロナ禍の影響で一斉休校になったり、学校行事がとりやめになった背景が大きいでしょう。
では、家事・育児で夫が「積極的に取り組んだ方が良い」こと についても比較してみましょう。
2019年11月に最も回答数が多かったのは「掃除・片付け」41.6%。コロナ禍中と大きく変化はありません。
特に変化がある項目は「料理」「買い物」「子どもの宿題・勉強」「子どもの学校行事」「自治会など地域活動」「PTA」。
最も変化が大きかったのは「料理」でした。
コロナ禍で自宅で過ごす時間が増え、家族全員ぶんの食事を毎食作る家庭が多くありました。
テレワークの合間に、もしくは仕事終わりに、休みの日に、腕を振るった方が増えたのかもしれません。
上記のアンケートを実施する中で、コメントが寄せられています。
フリーコメントより
フリーコメントより抜粋(年代:就業形態)
<夫の家事・育児について「十分行っていて満足」と回答した人>
・十分すぎるほどやってくれているので、 なにも言うことはない(50代:派遣社員)
・できる範囲でいい。 在宅になったからといって仕事が休みになってる訳ではなく、 家で仕事をしているので(50代:パート/アルバイト)
・思った以上に家事をしてくれて、 かなり嬉しかった(40代:正社員)
・しばらく、 コロナ禍前より家事しなくなったと感じた時期があったが、 指摘しあって今はやってくれている(40代:正社員)
・保育園児の次男の相手をしながら仕事をこなしてくれていた(40代:正社員)
・感謝していますが、 これに慣れてしまい、 たまに出社されると自分がキツい(30代:今は働いていない)
・今まで全て私が行っていたのに、 夫が在宅勤務で私が仕事に外出した時は、 子供の相手と夕飯を作ってくれました。 本当にこの人と結婚して良かったと実感しました(40代:公務員/団体職員)
・今まではちょっとした手伝いだった家事を、 自分の仕事として動いてくれています。 大満足です(40代:派遣社員)
・昼の支度等の家事が増えたことを思ってか、 常に食器洗いをしてくれて、 週末にはお風呂掃除もしてくれます。 頼んだわけではないのに手伝ってくれることは気持ちがとても嬉しいです(50代:今は働いていない)
・コロナ以前から家事に積極的で特に変わらないので問題はない(40代:派遣社員)
<夫の家事・育児について「少しは行っていて不満はない」と回答した人>
・私が体調悪い際に初めて気を使って夕飯を作ってくれました(40代:パート/アルバイト)
・いつもある程度は手伝ってくれるので変化はないけれど、 もう少し手伝ってくれると嬉しいとは思う(50代:派遣社員)
・家にいるからといって、 勤務時間内に当てにするつもりはない(40代:今は働いていない)
・できることを、 やらされ感なくやればいいと思う(50代:パート/アルバイト)
・仕事も大変だと思うのでそこそこで大丈夫です。 あまり家のことを負担にしないで欲しい(40代:パート/アルバイト)
・うちはやるし出来る方、 でも少しずつ足りない。洗物は積極的にしてくれるがキッチンは水浸し、 排水溝ゴミは100%捨ててない(50代:派遣社員)
・食事の後片付けを積極的にやってくれるようになった(50代:派遣社員)
・全くやらなくても、 不満はない 男は仕事が出来ればいい(50代:パート/アルバイト)
・体力的に余裕があるらしく、 自ら動くようになった(40代:派遣社員)
・在宅で夫が家にいる時間が増えた=夫に家事や育児を今までよりもさせようという意識がない(30代:パート/アルバイト)
<夫の家事・育児について「少しは行っていたが不満」と回答した人>
・言われてからするのではなくて、 自分からやってほしい(50代:派遣社員)
・在宅勤務でも主体は女性がやるものだと夫は思っている(40代:派遣社員)
・もっと家事をするべき。 休みの日くらい料理や風呂掃除をしてほしい(50代:パート/アルバイト)
・夫は元々自宅での勤務でしたが、 家事は分担してやってはいませんでしたので、 私が自宅待機になった後は、 更に何もしなくなりました(50代:正社員)
・いろいろしてくれるが、 いちいち文句ばかり。 家にいない方がいい(40代:今は働いていない)
・夫は「手伝ってあげてる」との認識なのが納得いかないが、 機嫌損ねて何も手伝ってくれなくなるのは困るので、 ありがとうと言わなければならないのがモヤモヤする(40代:契約社員)
・子供の学習の相手はするが、 それ以外の家事は殆ど行わない所が不満(40代:今は働いていない)
・色々やってくれてるけど、 微妙にずれている。 洗濯はしてくれるけど、 私も仕事中なのに食事の支度には非協力的(40代:正社員)
・在宅時間が増えているのだから、 普段できない家事を積極的にやってほしいのに、 気が利かずやってくれない(40代:パート/アルバイト)
・やった家事をいちいち報告するのが嫌だ。大したことやってないから見れば分かるのに(30代:パート/アルバイト)
<夫の家事・育児について「全く行っておらず不満」と回答した人>
・主人は運送業のため、 コロナでますます忙しくなった。 もとからワンオペだが、 更にひどくなった(30代:今は働いていない)
・夫は、 ほとんど在宅勤務で私は、相変わらず出勤してるのに家事は、まるでやる気なし(50代:派遣社員)
・我が家の主人は家事放棄組なので、 毎日居られると、 協力的な夫との差を実感する(50代:パート/アルバイト)
・在宅勤務になっても、 全く家事をしない夫。 通勤時間が無くなった分、 ゴロゴロしながらスマホで遊んでいます。 日中夫が占拠している部屋は、 毎日私が掃除しています(30代:パート/アルバイト)
・何もしないので、 むしろ仕事に行ってほしい(40代:パート/アルバイト)
・コロナ自粛になる前も今も、 家事は一切やらなくて腹立たしい。 妻の苦労に気づかないことに驚く(30代:派遣社員)
・今までは帰宅が遅い為、 家事ができないのだと思っていたが、 たんにやりたくないだけだったのがわかって腹が立ちます(40代:契約社員)
・仕方がないとは思いつつも、在宅で仕事してるのに雨が降っても洗濯物は取り込んでくれない、 私が作ったお弁当を食べた後にゲームして後片付けすらしない状況に腹が立ちます(40代:派遣社員)
・在宅ワークになったら食事、トイレ以外は作業部屋から出てこず、子どもも静かにしようと気を使う始末。主婦は365日在宅ワークですがわかってる?と言いたい(40代:パート/アルバイト)
・コロナ以前より、何もしない。むしろいるだけ、こちらの家事が増えている。気付いていない(50代:その他の働き方)
プロはどう見る?
ここで、しゅふJOB総研(※) 所長の、川上 敬太郎氏のコメントをご紹介します。
■川上 敬太郎氏のコメント■
コロナ禍による緊急事態宣言発令中、 在宅勤務する人が一気に増えました。 在宅勤務は今後も普及が望まれる働き方ですが、 コロナ禍の影響を受けた中での在宅勤務では生活環境の整備がより重要であることがわかりました(※)。 緊急事態宣言発令中、 働く主婦層に「コロナ禍で在宅時間が増えている中、 夫は家事・育児に十分取り組んでいると思いますか」と尋ねたところ、 不満を感じている人とそうでない人とがほぼ半々という結果でした。 コロナ禍発生前の2019年11月調査と比較して大きくは変わりませんが「家事・育児を全く行っておらず不満」と回答した人の比率が6ポイント以上増えているのが気になります。
調査ではさらに、 「夫が“積極的に取り組んでいる”と思うこと」と「夫が“もっと積極的に取り組んだ方が良い”と思うこと」とのギャップ、 またそれぞれについて、 コロナ禍発生前との変化について比較を行いました。 夫が積極的に取り組んだことと取り組んだ方が良いこととのギャップからは、 「買い物」や「ゴミ出し」などの充足感が高く、 「名もなき家事全般」や「料理」などは不足感が強いことがわかりました。 コロナ禍発生前と後との変化においては、 取り組んだこととして最も増加した項目は「特になし」。 一方、 最も減少した項目は「子どもの学校行事」でした。 休校となっていた学校が多かったことが影響していると考えられます。 また、 取り組んだ方が良いこととして最も増加した項目は「料理」で、 反対に最も減少した項目は、 取り組んだことと同じく「子どもの学校行事」でした。
緊急事態宣言解除後も、 夫婦ともに在宅勤務が続いているご家庭もあります。 また、 withコロナの働き方として、 在宅勤務は今後さらに普及していく可能性があります。 一方で共働き世帯は増加し続けており、 これから夫婦がともに家庭で過ごす時間が長くなることが予想されます。 家事育児は得てして妻に負担が偏る傾向にあります。 共に家庭にいる時間が長くなることを想定して、 夫の中にある“家事育児を手伝う”という感覚を払拭し、 家庭の共同運営者として夫婦が共に家事育児をシェアしあう関係性の構築が望まれます。 その上で、 夫婦の間に、 家事育児に対する認識ギャップがどこにあるのかを把握する参考として当調査結果をご活用いただければ幸いです。
•調査結果まとめ
1.コロナ禍で在宅時間が増えている中、 夫の家事・育児に「満足」17.4%
2.夫が積極的に取り組んでいる家事・育児1位「買い物」41.1%
3.夫がもっと積極的に取り組んだ方が良い家事・育児1位「掃除や片づけ」42.5%
4.夫が積極的に「取り組んだこと」と「取り組んだ方が良いこと」との比較
5.コロナ禍発生前(2019年11月)との3つの比較
6.フリーコメントより
•調査概要
調査手法:インターネットリサーチ(無記名式)
有効回答者数:866名(既婚女性のみ)
調査実施日:2020年5月27日(水)~2020年5月29日(金)まで
調査対象者:ビースタイル スマートキャリア登録者/『しゅふJOB』登録者
提供・しゅふJOBナビ
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