「もう今日は仕事がないから帰っていいよ!」

「明日は指導できる社員がいないんだよね…休んでもらえる?」

小規模な企業やお店ほど、こういった話が聞こえてきます。

帰るのはいいけど、お給料が減っちゃうのは困る…!

と思っているパート主婦・アルバイトの方も多いのではないでしょうか。そんな時に頼りになるのが”休業手当”です。

今回は、休業手当についてご紹介します。

そもそも休業手当とは?

急に仕事がないから帰って!と言われても、今月予定していた収入が入らないと困ってしまいますよね。

そういったことがないように定められているのが休業手当です。

休業手当はどのような制度なのでしょうか?

労働基準法 第26条で、下記のように定められています。

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

つまり、雇用主の都合で仕事をしないことになった場合には平均的なお給料の6割以上の手当を支払わないといけない、ということです。

ここでいう労働者には、パートや契約社員などすべての従業員が含まれています。

“使用者の責”については、地震や災害など不可抗力による場合を除いて、たとえば材料が足りなかった・工場の機械が壊れてしまったなどの理由によって休業をせざるを得なかった、などのことをいいます。

今日は暇だから帰って!という場合でも対象になります。

パート・アルバイトでも「休業手当」はもらえる?休業補償・休業手当の違いは?
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

•休業手当の計算方法

では、実際に休業補償対象になった場合の計算をしてみましょう。

1.仕事に行く予定だった日に、丸1日仕事がなくなってしまった

この場合は平均賃金の60%以上の休業補償支払いが必要になります。

※平均賃金=過去3か月の賃金総額をその期間の総日数で割った金額

直近3か月のお給料合計÷その期間の勤務日数×0.6」で支給額で計算ができます。

2.仕事がないからと早退するように言われてしまった

この場合、その日に働いたお給料が平均賃金の60%以上であれば休業手当は不要です。60%未満の場合は、その差額を支払う必要があります。

たとえば、

◆10時~15時で働いたが、15時で帰るように言われた(15~16時は働かなかった。※10~15時勤務(休憩60分)実労働時間は4時間)

この場合、60%以上が支払われていれば休業手当は不要です。

◆10時~12時で働いたが、休憩を取らずに12時で帰るように言われた(12時以降の勤務なし)

この場合、1平均賃金の60%未満であれば、差額の支払いが必要になります。

パート・アルバイトでも「休業手当」はもらえる?休業補償・休業手当の違いは?
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

休業補償と休業手当は違うの?

ここまで「休業手当」についてご説明しましたが「あれ?休業”補償“じゃないの?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

休業手当休業補償は名前がとても似ているので間違えやすいのですが、全く違う制度です。

休業手当は企業都合で仕事ができずお給料が払われなかったことに対して、手当金が企業から支払われるものでしたね。

休業補償とは、仕事中の事故や、仕事が原因の病気などによって業務の遂行ができなくなってしまったことでお給料が払われなくなった(もしくは減ってしまった)場合に、労災保険から支払われるものです。

この休業補償には、自己都合・会社都合・天災・事故など、さまざまな理由から、やむを得ず仕事を休むことになった際に補償がされます。

仕事をする人は誰でも、労働保険(労災保険、条件を満たせば雇用保険)の加入が義務づけられており、正社員だけではなく、パート、アルバイトなども加入が必須です。

そのため、雇用形態を問わず、条件を満たせば補償を受けられます。

※休業補償については、労働基準法 第76条に定められています。

パート・アルバイトでも「休業手当」はもらえる?休業補償・休業手当の違いは?
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

•“休業”ってどういうこと?

では、休業とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。 以下の4つに分類ができます。 ----- ・会社都合による休業 会社側からの申し立てによる休業。自宅待機を命じられたり、操業停止・設備不良なども該当します。 ・労働災害・負傷による休業 勤務中・通勤中の事故などの治療や入院など療養により、業務を行うことができないことによる休業です。 ・出産・介護などによる休業 上記以外の事故・病気による療養、産前産後休暇や出産による育児休暇、介護休暇など ・転変事変(天変地異や死亡事由)による休業 地震や家事、水害、台風の影響など、会社を休まざるを得ない状況に陥った場合


----- どれも、仕事中にケガ・病気になってしまって働けず、収入が得られないときですね。 休業補償は、治療費や生活を守るために必要なお金を支給する制度なのです。
パート・アルバイトでも「休業手当」はもらえる?休業補償・休業手当の違いは?
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

•休業補償を受けられる条件

休業補償は、以下の条件を満たすと支給が受けられます。 > ・仕事中、もしくは通勤中のケガ・病気による療養であること・療養のため、労働ができないこと > > ・労働によるお給料を受け取っていないこと > そのため、通勤中にケガをしてしまったけど自宅で仕事をしてお給料をもらえた…という場合は休業補償にあてはまりません。

•休業補償はいくらもらえるの?

では、いったい休業補償はいくらもらえるのでしょうか。計算してみましょう。 休業補償は1日につき、給付基礎日額の80%が支給されます。 80%のうちわけは、①休業給付が60%+②休業特別支給金が20%です。 たとえば、 Cさん…月収20万円。毎月月末に賃金計算を締め、休業補償対象になる事象が10月に発生。 Cさんを例に計算してみましょう。 計算1.給付基礎日額を計算する 給与基礎日額とは、原則、労働基準法の平均賃金にあたる金額です。 平均賃金は、原則事象が発生した日の直近3か月間に支払われたお給料の総額を、その期間の暦日数で割った、1日当たりの賃金額のことです。 Cさんは10月に事象が発生したので、7月(31日)+8月(31日)+9月(31日)=92日 Cさんは、 20万円×3か月÷92日=だいたい6521.73円です。(1円未満の端数は1円に切り上げ) 給付基礎日額は6522円、とわかりました。 計算2.休業(補償)給付を計算する 休業1~3日目は「待機期間」になり、休業補償は支払われません。 4日目以降について、労災保険から支給される1日あたりの給付金を計算します。 休業補償(80%)のうちわけは、①休業給付が60%+②休業特別支給金が20%。 それぞれ比率が違うのでそれぞれ計算していきます。 ①休業給付(労災保険給付)……6522円×0.6=3913円20銭 ②特別支給金……6552円×0.2=1304円40銭 ※1円未満の端数は切り捨て ①+②=3913円+1304円=5217円 休業補償でもらえるお金は、1日5217円です。
パート・アルバイトでも「休業手当」はもらえる?休業補償・休業手当の違いは?
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

•休業補償はいつまでもらえるの?

金額がわかったところで気になるのは、いつからいつまで支給してもらえるのか、ですよね。

先述のとおり、事象から1~3日目までは待期期間です。

・仕事中、もしくは通勤中のケガ・病気による療養であること・療養のために労働ができないこと

・労働によるお給料を受け取っていないこと

この3点を満たす限り、4日目から支給対象になります。

1年6か月経過して、事象となるケガや病気が治っておらず、傷病等級表の傷病等級に該当する程度の傷害がある場合は傷病年金が支給されます。

•休業補償はどうやって申請する?給付までの段取り

まずは会社に申し出ましょう。

企業担当者が、被災労働者の情報、事故時の状況などを記入して、書類を作成してくれます。

受け取った書類と、診察してもらった医療機関の証明書をあわせて、委任状とともに労働基準監督署へ送付します。

労働基準監督署から支給決定通知が届きます。書面上にいくら支払われるのかが記載されています。

このあと、厚生労働省から給付金が支払われます。

全ての手続きが終わって支給があるまでに、1~2か月程度がかかるので、留意しておきましょう。

パート・アルバイトでも「休業手当」はもらえる?休業補償・休業手当の違いは?
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

•あわせて確認しておきたい、特別定額給付金(1人あたり10万円支給)

新型コロナウイルスの感染拡大により、休校・休業の措置が取られるなか、政府は緊急経済対策として、全国民を対象に「特別定額給付金」として一律10万円を支給する、と発表しました。

感染拡大の防止にとりくみつつ、家計への支援を行うために実施されることになった支援制度です。

まとめ

急に翌日のお休みを言われたり、急に仕事がないから帰っていいよ!と言われるのは、なにかと多忙な主婦にはありがたい気もしますが、収入を考えると困ってしまいますよね。

会社都合のお休み・早退は休業手当の対象になるので覚えておきましょう。

また、仕事中のケガや病気などが原因で仕事ができなくなってしまったときは休業補償の申請ができます。

通院や生活のためのお金が補償されるので、事前に知っておいていざという時に困らないようにしておきましょう。

休業手当も休業補償も、支給額は普段のお給料の平均額で計算されます。

今からお仕事を探される方は、高時給のお仕事を探してみてはいかがでしょうか。

いざという時に心強いですよ。

提供・しゅふJOBナビ

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