産後は慣れない育児に、ホルモンバランスの乱れ、加えて極度の睡眠不足が重なり、女性にとってストレスが溜まりやすい時期。そのうえパートナーとの関係性が悪化する「産後クライシス」が発生しやすい時期でもあります。 そんな「産後クライシス」――乗り切るためのコツは、妊娠中の過ごし方にありました。
■「産後」は夫婦にとって試練の時
「産後クライシス」とは、産後2年以内に夫婦間の愛情が著しく冷めてしまう現象のこと。
厚生労働省の調査でも、離婚が原因で母子家庭になるケースでいちばん多いのは、子どもが生後0~2歳の時。
この時期をいかに乗り切るか? は出産を控えた女性にとって、とても切実な問題だ。
「産後クライシス」に陥る最初のきっかけは母親に偏りやすい。
ホルモンバランスの崩れや慣れない育児のストレスに加え、夜間授乳や夜泣きの対応による極度の睡眠不足が続く毎日。だからパートナーの言動や思いやりのない行動、育児に無関心であることに、このうえなくイライラしてしまう。
そして関係性が悪化するにつれ、
「むしろパートナーがいない方が楽なのでは」と思うに至ることが。
■「産後クライシス」を乗り切るには
そんな「産後クライシス」を乗り切る鍵は妊娠中にある。
妊婦検診や体の変化を経て少しづつ「母」の自覚が芽生える女性とは違い、男性というのはある日突然「父」になる。
育児について前もって積極的に知識を得る男性は稀。
産まれた後になって、「自分がどういう役割を担い」「何をどうお世話すればいいのか」と呆然としてしまう人が多数派だ。
だからこそ、お互いある程度の余裕がある出産前に、子どもができた後の生活を細かくシミュレーションをしておきたい。
家事育児の分担、子育ての方針に加えて、自分が育児のストレスをどのように解消するかをあらかじめ考え、パートナーの了解をとっておくことで、産後によけいなエネルギーを使わないですむ。
パートナーと決めた私たちのルール
たとえば筆者の場合、以下のことについてあらかじめパートナーと話し合った。
・食事の準備について
産後1カ月はしない。食事は宅配、お弁当サービス、産前に作り置いて冷凍したもの、東京在住の妹に作ってもらったものをメインにし、そのほか時間がある時は彼に作ってもらう。その後は育児の負担を鑑みて、必要であれば宅配のお弁当サービスを定期的に利用する。
・その他家事について
産後1カ月は外注と東京在住の妹に頼り、手が足りないところは彼に担ってもらう。その後は育児の負担を鑑みて、必要であれば外注サービスを定期的に利用する。
・保育園の送り・お迎えについて
基本は仕事の時間の融通がきく私が担当し、早朝から勤務が必要な日や会食がある時は彼に頼むことに。万が一どちらもダメな場合はシッターサービス、または都内に住む私の妹に頼む。
・母乳かミルクか?
産後2カ月で保育園に預ける予定のため、産後1カ月は完全母乳とするものの、その後は徐々にミルク育児に切り替える。ミルク育児に切り替えた場合、私が仕事で忙しい場合は彼に助けてもらう。
・添い寝かひとり寝か?
自分がひとり寝で育ったこともあり、添い寝はしない方針。
添い寝しない場合のメリットを彼にも理解してもらう。
・寝かしつけの方法(ネントレ)について
賛否両輪ある寝かしつけトレーニングだけれど、私は導入したい意向。彼にもネントレ本の概要を伝え、生後1カ月からを目安にEASYという方法を試すことにする。
・ふたりの時間の持ち方について
月に1回は子どもをシッターに預けてランチ、またはディナーに行くことにする。
・飲み会やイベント参加などのプライベートな夜の予定について
産後2カ月から預かってくれる保育園が22時までやっているので、月に2回を目安に予定を入れ、その時はお迎えをお願いする。
そのほか出産予定日から1カ月を切った後は、産後に予定している家事代行サービスや、ネットスーパーでの買い物に切り替えるほか、保育園の送り迎えや授乳やおむつ替えにかかる時間をシミュレーションし、毎日の生活に取り入れてみる予定だ。
産後の生活のイメージを、出産前に経験しておきたいと思っている。
■備えあれば憂いなし!
もちろん産まれた後に状況や気持ちが変わってしまうことは多々あるだろう。
実際産む前は早期復職の予定だったが、子ども可愛さのあまり、急きょ育休取得期間を延長したなんて話もよく聞く。
それでも産後の生活のイメージをしっかりと持つこと、そしてパートナーとすり合わせておくことは、決して無駄じゃない。事前に話し合って合意をとった土台があれば、後は軌道修正をするだけなのだから。
「子どもができる」ことほど、お互いのライフスタイルが大きく変化することはない。
産まれた後の生活のイメージを妊娠中にパートナーとしっかりと共有し、「産後クライシス」とは無縁でいられたらなと思っている。
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