「応募しても、また不採用通知…年齢が理由なら、そう書いておいてよ!」
「またダメだった…若い人のほうがいいんでしょ。。」
パート採用のみならず、就職・転職活動で多く聞こえてくる声です。
求人情報に年齢制限が記載されていればいいのに。どうせ決まってるならハッキリ書いてくれたら時間を無駄にしなかった!と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
実は、求人広告には「禁止されている表現」があります。年齢もその一つです。
求人広告の記載内容に禁止されている表現が含まれていると、法令違反になってしまう場合もあるのです。
今回は、求人情報に書けない4つのことについてご紹介します。後半には年齢以外の不採用になりやすいポイントもまとめました。併せてご覧ください。
求人広告に記載NG!4つの表現
基本的にはどの求人でも、下記の4つを記載せずに公開することが前提になっています。
1.年齢差別の表現
2.性差別の表現
3.差別・優遇の表現
4.実態と異なる記載
それぞれ具体的に見てみましょう。
•記載ができないこと1.年齢差別表現
雇用対策法の改正により「年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならない」とされ、年齢制限の禁止が気無化されました。いわゆる中高年の再就職を妨げることをしないように、という理由から2007年から加えられ、年齢にとらわれず、人物本位、能力本位の募集・採用が推奨されています。
そのため、年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決定することはできません。
一部、年齢制限が認められるケースもあります。
①定年を上限に募集する場合
「60歳未満の方を募集(定年60歳のため)」という記載は可能です。
ただし、以下の場合は記載できません。
・契約期間が決まっている場合(契約期間6か月、など)
・上限年齢と定年年齢が一致していない場合(60歳未満を募集、定年65歳のため。など)
・下限年齢をつけている場合(40歳以上60歳未満の方、定年60歳のため など)
・業務習熟に一定期間が必要であることを理由に上限を下げる場合(業務習熟に2年間必要なため、58歳未満を募集 定年60歳 など)
②特定の年齢層の就業が禁止・制限されている職種の場合
危険有害業務や、警備業務、コンビニなど店舗の夜勤など、18歳以上など決められた年齢以上でないと募集ができない場合の記載は可能です。
③キャリア形成を目的に若者を募集する場合
キャリア形成の観点から、新卒など若者を期間の定めのない労度契約の対象として募集・採用する場合、上限年齢を定めることができます。
ただし、対象者の職業経験は不問とし、新卒以外の場合でも新卒と同様の訓練・育成体制、配置・処遇をもって育成すること、という用件を満たす必要があります。
④ノウハウ・技能継承の観点から特定職種や年齢層で募集する場合
社員の年齢が偏っている企業の場合、技術やノウハウを受け継ぎやすくするために特定の年齢層を募集することが可能です。
ただし、期間の定めのない労働契約で、30歳~49歳までを対象とします。
⑤芸術・芸能分野における表現の真実性の要請がある場合
子役のため〇歳以下を募集 と表記することは可能です。
⑥60歳以上の雇用を促進する施策の対象となる人に限定して募集する場合
「60歳以上の方を募集」と表記することは可能です。ただし、「45歳~65歳を募集」など上限が決まっているものは不可です。
⑦就職氷河期世代世代の募集
令和5年3月31日までの期間限定の措置ですが、就職氷河期世代(35歳以上~55歳未満)の募集や採用が可能になっています。
これは、期限を決めない労働契約であり、職業に就いた経験があることを条件にしない仕事に限られます。また、不安定な就労をされている方、仕事をしていない方が対象になります。
参考:
厚生労働省:募集・採用における年齢制限禁止について
厚生労働省:就職氷河期世代の積極的な採用を考えている事業主の皆様へ
みなさんがもし「〇歳までを募集」と書かれている求人を見た場合、①~⑦いずれかに該当しているはずです。
•記載ができないこと2.性差別の表現
男女雇用機会均等法により、性別を理由に募集・採用をすることは禁止されています。例外として、適用外職種の場合は性別の制限ができます。
①芸術・芸能分野における表現の真実性などの要請がある場合
演劇の女性役を募集する、など
②守衛・警備員のうち、防犯上から男性を募集・採用する場合
警備員として男性を募集 など
③宗教上、風紀上、スポーツにおける協議特性上の必要性から募集・採用する場合
女湯の防犯パトロールとして、女性スタッフを募集する
また、海外の勤務で風習の違いから男女のどちらかでないと勤務ができないようなケースも適用外です。
•記載ができないこと3.特定の人を差別・優遇する表現
労働基準法にのっとり、特定の人に対して差別的な意図で記載された表現や、特定の人を傷つける表現は「差別表現」にあたります。パート採用で見られるものは下記が挙げられます。
①地域
〇〇市にお住まいの方、〇〇駅まで自転車で10分以内で通える方 などの表記はNGです。出身地、居住地の特定はしてはいけません。
②心身の障害や身体的特徴
ブランドタッチができる方 はNGです。タッチタイピング、と表記します。
③性格
明るく元気に働ける人、心身ともに健康な方、などはNGです。また、コミュニケーションの能力が高い人、もNGです。
「明るく挨拶し接客ができる」や、「コミュニケーションを取りながら提案ができる」など、性格ではなく仕事に付随する能力に関することを記載します。
•記載ができないこと4.実態と異なる好条件を記載する
虚偽の内容を記載しない、と決められています。あえて好条件を記載して、仕事探しをしている人をだます行為はしてはいけません。また、求人情報に記載しなければならない事項もあります。
・業務内容
・契約期間
・就業場所
・就業時間、休憩時間
・休日、時間外労働の有無
・賃金(賞与などについて別途規定)
・保険加入
この記載しなければならない事項は、書面の交付によって明示しなければならないものです。
また、最低賃金法により、最低賃金以下の給与で働かせることも法律違反です。
時給は気を付けている会社が多いですが、研修中は-100円、など研修時の時給が下げられている場合もあります。研修時給でも最低賃金を下回ることはできません。
・給与は最低賃金を下回っていないか?
・勤務時間が6時間を超える場合は最低45分、8時間を超える場合は最低1時間の休憩時間が取れるか?
など、法に反した求人ではないか確認するようにしてください。
年齢制限があった場合、応募はできない?
法令に基づいて年齢制限を行わねばならない場合、しっかりと求人情報に記載されています。
ただし、実際に「35歳以下」など記載されている求人でも、スキルやキャリアによって、年齢を超えていても採用されることもあります。
経験や知識などアピールできることがある場合は、年齢制限を超えていても応募してみることは無駄ではありません。
年齢だけじゃない、不採用になってしまう原因
年齢が理由だけで、募集・採用活動ができないことをご説明しました。
では、年齢以外の理由は、どんなところにあるのでしょうか?
いざパートに出よう!と思った時、なかなか仕事が決まらないというケースは多くあります。
しかし、決まらない原因の多くは、40代という年齢でもなければ資格がないということでもなく、『仕事を離れてからのブランクが長い』ということのようです。
どうしても、仕事を離れている期間が長くなると、仕事のやり方や、使うシステムなどが大きく代わり、覚える事に時間がかかってしまう、という問題があります。
この理由は仕方がないことともいえます。
この場合、未経験歓迎のお仕事を探したり、仕事を覚える意欲・誠実に取り組む姿勢を伝えたりすることで次に繋がりやすくなります。
このブランク期間よりも問題視されるのが、『ビジネスマナーがなっていない』場合。
社会人としての振る舞いができていない、ということは採用するにあたり、不安に思われてしまいます。
事実、50代主婦に注目が集まっている
50代主婦の最大の強みは時間の融通がききやすくなってきているということ。
子育て世代の場合、保育園や幼稚園の送り迎え、行事の準備、学校のPTAや学級委員会に参加…など、子どもが中心で勤務時間・勤務日数・曜日が制限されがちです。
その点、50代は比較的子育てが落ち着いてきた方も増えてきます。
フルタイムで勤務することが可能になったり、短い時間でも週5日出勤ができたりと、安定的な戦力として期待できる傾向があります。
子育て世代もパートの戦力としては欠かせない存在ですが、安定戦力として50代主婦が注目を集めているのです。
まとめ
今回は、求人情報に書いてはいけない4つの表現についてご紹介しました。具体的には、
1.年齢差別の表現
2.性差別の表現
3.差別・優遇の表現
4.実態と異なる記載
この4つです。
求人情報に「〇歳までの人を募集」と書いてあれば、自分が募集対象になるかわかって安心ですよね。
でも、求人に〇歳まで、と記載してはいけないと決まった背景には、年齢にこだわらず、経験やスキル、人柄で採用がされるように、間口を広げる意図があります。
今回ご紹介したとおり、特定の職種や募集については年齢や性別の特定募集が可能なので、もしどうしても気になる方はそれらのお仕事も視野に入れてみても良いかもしれません。
10月2日に、有効求人倍率が発表されました。
パートの有効求人倍率は1.13と下降傾向。求人数は増えていないのに、求職者が増えている状態です。
業界別に見てみると、製造業、宿泊業、飲食サービス業、卸売業、小売業など、ハッキリとコロナ禍の影響を受けた業界で就業者が減っています。
これからお仕事探しをする上で、ますます経験やスキル、勤務条件が自由にならないことが増えてくる可能性もあるでしょう。
不採用を恐れずに、チャンスがあったら勇気をもって応募をしてみてください。
その際、
・給与は最低賃金を下回っていないか?
・勤務時間が6時間を超える場合は最低45分、8時間を超える場合は最低1時間の休憩時間が取れるか?
など、法に反した求人ではないか確認もお忘れなく。
しゅふJOBでは、最低賃金を下回っていないか?など、情報記載についてパトロールを随時行っています。
主婦(夫)が活躍している職場をお探しの方は、よろしければ検索してみてください。
提供・しゅふJOBナビ
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