兵庫県福崎町は、民俗学研究で有名な柳田國男の出身地。それにちなんで、彼の著書で描かれた昔の伝説に登場する妖怪たちを再び町に出現させることに。子供も泣き出すリアル妖怪と会えるスポットと、面白くて怖い町をご紹介します。
柳田國男って誰?
日本における民俗学の第一人者。というと堅苦しいイメージの人物像ですが、『遠野物語』を書かれた人というとわかりやすいと思います。
全国を調査旅行し、日本の各地に伝わる伝承や妖怪の物語を集めた柳田氏が、岩手県遠野地方に伝わる河童や天狗、不思議な現象などを集めた説話集が『遠野物語』です。
兵庫県神崎郡福崎町は、その柳田國男生誕の地です。その縁で町おこしとして“妖怪”を呼ぶことにしました。それが、町のあちこちにあるリアル妖怪の人形です。
妖怪の姿を見られるメインは辻川山公園
辻川山公園は、妖怪探索の中心となるところです。駐車場が充実しているほか、柳田國男の生家や記念館などもあります。筆者が訪れた2019年4月13日はちょうど桜が真っ盛りで、お花見がてらの地元の方もたくさんいました。
妖怪に出会おう
園内には、妖怪造形コンテストの受賞作でもある妖怪たちが迫力満点で存在しています。こちらは鵺(ぬえ)。口の中にいる生き物たちは、食べられるところなのでしょうか。それとも仲間?
公園の中には小さな池があり、その中には河童が住んでいて時々(15分ごと)に姿を現します。最初にブクブクと泡が出て、真っ赤な河童がニュッと出現。1回沈んでまた出てきますが、登場時間は短いので、写真撮影は手早く!
この池の河童は「ガジロウ」という名前で、柳田國男の著書『故郷七十年』に出てくる河童の兄弟の弟の方です。池の向こう側のほとりを見てください。銅製の何者かがしゃがんでいるのが見えますね。こちらが兄の「ガタロウ」です。
「ガタロウ」は頭のお皿の水が干上がって、動けなくなって固まってしまいました。弟は兄のように干上がってしまっては大変と水の中にいて、時々出てくるんだそうです。兄の「ガタロウ」が手にしているのは、人間から抜き取るという尻子玉。今だにこの尻子玉が何なのかは謎だそうです。
公園を先に進むと、今度は天狗が出てきます。こちらも15分ごとの登場で、高い所にある小さな小屋から逆さまにぶら下がってやってきます。何か食べているようですね。
柳田國男生家と記念館
公園をさらに奥に行ったところに、柳田國男の生家があります。自らの著書の中で「日本一小さい家」と称し、この家が民俗学研究の源になったと述べています。
生家に向かって右奥の方に記念館があり、さらに奥には歴史民俗資料館があります。こちらは明治の郡の役所を移築復元したものだそうです。突然強い風が吹き、桜が一挙に散ったので、雪のように写真の中に収まりました。
レストラン兼ショップの「もちむぎのやかた」
「もちむぎのやかた」は、園内にあるレストラン兼ショップになっています。福崎町はもち麦生産の盛んなところで、こちらではもち麦を使った料理が食べられます。定休日は月曜日です。
もち麦麺は、その名のとおりもちもちとした食感で、お蕎麦とうどんの中間といった感じの麺。だから両方のメニューに順応するんでしょうね。
おみやげは先に紹介した河童兄弟がモチーフになっているものが多いです。カレーの「尻子玉入り」というのが気になります。