滋賀県の石山寺は、瀬田川畔の歴史あるお寺です。国宝の本堂、多宝塔など文化財が多いのも魅力ですが、初夏の新緑、秋の紅葉なども美しいんです。参拝後は、門前に集まるお店で、名物料理や甘味を味わってみてはいかがですか?
石山寺とは
石山寺は、滋賀県大津市にある東寺真言宗の寺院です。天平19年(747年)、聖武天皇の祈願により、奈良・東大寺の別当、良弁が創建したといわれています。本尊は如意輪観世音菩薩で、安産や縁結び、厄除けなどに御利益があるとされ、古くから信仰をあつめてきました。
平安時代には、貴族や女流文学者も参拝する「石山詣」が盛んになりました。紫式部が寺に参拝し、滞在していたときに『源氏物語』を起筆したという伝説があることから、石山寺は「紫式部ゆかりの寺」とも呼ばれています。
びわ湖から流れ出す瀬田川の畔にある石山寺は、境内に多数の文化財を有するだけでなく、紅葉や花の名所としても知られており、現在でも多くの人が参拝、観光目的で訪れています。
境内を散策してみよう
広々とした境内を歩いてみましょう。山中にあるので少々階段が多いですが、貴重な建造物や、お寺の名前の由来となった自然の岩盤など、見どころがたくさんありますよ。
東大門
東大門は、瀬田川に面して建っている、石山寺の正門です。建立は鎌倉時代とされていますが、慶長期に大規模な改修が行われています。東大門は、重要文化財に指定されています。
参道のもみじ
石山寺は、紅葉の名所としても知られています。境内の参道などには多数のもみじが植えられており、秋には多くの人が紅葉狩りに訪れます。
また、春から夏にかけての若葉も、紅葉とはまた違った美しさがあり、参道を歩くとすがすがしい気分にさせてくれます。
くぐり岩
くぐり岩は、本堂へ登る階段のそばにあります。自然の岩にできた短い洞窟をくぐると、願いごとが叶うと言われており、多くの参拝者が身を屈めながら通っています。
硅灰岩
硅灰岩(けいかいせき)は、本堂のそばにある大きな岩盤です。地中から突き出た花崗岩と石灰岩が接触し、熱作用により変質してできたとされていますが、このように大きなものは珍しく、国の天然記念物に指定されています。また、石山寺の名前の由来にもなっています。
本堂
平安時代の建築である本堂は、滋賀県内でもっとも古い木造建築物です。承歴2年(1079年)の大火で焼失しましたが、内陣は永長6年(1096年)に再建され、外陣は慶長7年(1602年)に、豊臣秀吉の側室「淀殿」の寄進により増築されました。石山寺本堂は、国宝にも指定されています。
経蔵と安産の腰掛け石
本堂から少し登ったところにある経蔵(きょうぞう)は、高床式、校倉造りの建造物です。こちらにはかつて「石山寺一切経」、「校倉聖教」などの重要な経典類が収められていました。
経蔵の基礎部分の一部は、露出した硅灰岩の上に建っていますが、この岩に座ると安産になると言われています。現在も実際に座ることができますよ。
多宝塔
多宝塔は、源頼朝の寄進により、建久5年(1194年)に建立されました。建築年代が分かっている多宝塔の中では国内最古と言われており、鎌倉時代の姿を保つ非常に貴重な建造物は、国宝に指定されています。
曲線を描く軒や檜皮葺の屋根、二層のバランスは美しく、石山寺の代表的な景観になっています。本尊として大日如来像が安置され、塔の四天柱には密教の教えに基づいた尊像が描かれています。これらは、ともに重要文化財に指定されています。
月見亭
瀬田川や琵琶湖を望む場所にある月見亭は、後白河上皇の行幸の際に建てられたとされています。「近江百景 石山の秋月」の図にも描かれている月見亭では、毎年中秋の名月の日に「秋月祭」が行われ、多くの人がお月見を楽しみます。