「キング・オブ・メディア」は、メディア王ローガン・ロイの跡継ぎ養成ハウツー本仕立てになっており、冷酷非情な自己チュー野郎を育て上げるために、人間としての品位(罪の意識や償い願望の芽)を無惨に摘み取る方法を描きます。同族会社は三代で潰れると言いますが、創業者ローガンは金と力(=影響力)の亡者=毒親で、人格を否定する言動で二代目4兄妹を蹂躙(じゅうりん)する事など朝飯前、愛情という名の心理的虐待を続行します。それが証拠に、シーズン1初回で、ローマンが使用人の子供(10歳くらい?)を100万ドルの小切手でいたぶるシーンがあります。とてつもなく、残酷なシーンに胸が痛みましたが、父親から受けた心理的虐待をそっくりそのまま、たまたまその場に居合わせた罪もない子供に継承します。

「この仕事を始めた5年前からユングの『権力が幅を利かせる所に愛はない』の名言を心して演じている」と告白し、ドラマの核心に触れたのもストロングでした。早速、心理学者カール・ユングの名言集を検索してみたところ、全文は「愛の支配するところ、権力欲は存在しない。権力が幅を利かせるところに愛はない。両者はお互いの影なのだ」でした。さ、す、が!言い得て妙とはこの事ですね。

「キング・オブ・メディア」で風刺の対象となった、特権階級の目に余る超自己チュー的言動や、見るに堪えない醜態、許しがたい破廉恥なパワハラなどは、トムやグレッグのような庶民が見て初めて気がつく、尋常ではない世界です。しかし、クリエイターのジェシー・アームストロングは、特権を振りかざして濫用する1%の1%の生き様を風刺する為に書いた訳ではなく、「魚の目に水見えずだ」と指摘します。富や特権が余り身近すぎて目に入らず、ロイ一族に必要不可欠なものへの有り難みが薄れている様を巧みに表現する言葉です。な、る、ほ、ど。

J・スミス=キャメロン(ジェリー役)の「クロアチアでもトスカーナでも超高級ホテルでも、どこにいてもこの連中は惨めそのもの!贅沢に慣れっこになって、周囲に気が付かないのか目に入らないのか. . .何でも手に入る金持ちなのに、どこにいてもあがいて、もがいて、惨めそのものなのよね」コメントが失笑を買いました。今夏のHBOのヒット作「The White Lotus」を観た時もつくづく思ったのですが、VIP客にはマウイの絶景など全く眼中になく、あれほど美しい環境に身を置いても、至福を味わっている様子が全くありません。自分が今幸せか?と自問した事がないのか、至福感など生きる目的ではないのか、どちらなのでしょうか?




提供・tvgroove



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