仕事において、商談や社外の方との初対面の場など、いわゆる「きちんと感」が求められる場ではジャケットを着用する、と決めている方も多いのでは? 年齢を重ねるごとにジャケットを羽織らないで仕事をすることが増えつつも、ジャケットに対する考え方やこだわりは強くなる一方。私のジャケットとの付き合い方について。
■もはやジャケットは働く女性の必須アイテムではない?
私が新入社員だったOL時代、女性は営業職・内勤に関わらず、多くの女性が通勤にジャケットを羽織っていたような記憶がある。
業種や職種、勤務する場所によってももちろん違うが、少なくともカジュアル化の波は職場にはまだ押し寄せておらず、ナチュラルストッキングにパンプス、外に出るときはジャケットを着る、というスタイルで多くの女性がオフィスで働いていた時代だったように思う。
けれど、最近は平日の朝、オフィス街を足早に歩く女性たちのファッションを観察しても、ジャケット、スーツ率は男性のそれに比べてはるかに低い。
まわりの友人に聞いても、「営業職でない限り、ジャケットなんて会社に着てくる女性は少ない」という人が多数。
ジャケットはどこへ行ってしまったのだろう?
■ジャケットの持つ緊張感と端正さが、女性を美しく見せる
かくいう私も、よほど気の張る打ち合わせや、目上の方に会う予定がない限り、仕事上でかっちりとしたジャケットを羽織ることは稀になった。
けれど、最近になり、改めてジャケットを着てみると、気持ちが引き締まるのと同時に、見た目のスタイル、体型も? 引き締まって見えるような気がして、ジャケットの良さを見直している。
緩いカジュアルな服が全盛の昨今だが、やはりジャケットって、女性を美しく見せる効果がすごくあるんじゃないだろうか……と再認識しているのだ。
いつもゆるっとしたブラウスやニット、という恰好の社内の若い女性が、何かの理由でジャケットを着ている日の朝、ドキッとするほど彼女は美しく見える。
ジャケットの持つ「端正さ」はもちろん、彼女の仕事への緊張感が美しさとなって滲み出ているのだなと思う。
仕事に真剣な女性は間違いなくみるみる綺麗になる。エステ通いに夢中になる女性よりも、はるかに輝き、垢抜ける――30年間オフィスでたくさんの女性たちを見てきた私の持論。
■私がジャケットを選ぶとき、実践していること
私は自分の中で、ニット同様、ジャケットを以下の3つのカテゴリーでざっくり分類している。
購入するときもコーデするときも、この3つの分類を常に意識していると、思考が整理され、無駄なくジャケットを揃えることができる。
1.ダークスーツの男性に混じるときは濃紺のジャケットで
ダークスーツの男性が大勢いるビジネスの場では、極力浮かない格好をするように気をつけている。
女性らしさを前面にアピールしようと、逆にカラフルなスーツを着る女性もいるが、私は落ち着かないため、必ず渋い暗い色のジャケットを着る。
ただこれでインナーを白シャツにしてしまうと、就活女学生になってしまうので(笑)そこは一工夫。
レースがあしらわれたニットやシルクのノースリーブを着て、ジャケットの狭いV字のゾーンにこそ、ちらっと女性らしさが出るようにしている。インナーを考えるのもジャケットスタイルの楽しみのひとつ。
気に入って何年も着ているスーツカンパニーの紺のジャケット。スーツカンパニーのジャケットは紳士服メーカーゆえによくできている。身体のラインが緩んでくる40代以降に紺のジャケットは補正効果が高く、仕事以外でも積極的に着ていきたいと思うこともしばしば。
2.ベージュのジャケットは女性らしい華やかさが出る優れもの
紺のテーラードジャケットが男性に混じる戦闘服とするならば、ベージュのジャケットはまた違った場で活躍するジャケット。
優しい明るい色を着て、その場を明るくしたい! と思ったら迷わずベージュのジャケットを。悪目立ちせず、かつ間違いなく華やかさが出る。
ベージュのジャケットは女性の特権。男性でベージュのジャケットをビジネスの場で着る人は稀だからだ。
どんなジャケットをその日羽織るか……?
毎朝のジャケット選びの瞬間に、その日の予定で、「自分が求められている役割を演じよう」という思考が働いているように思う。
ウールの立ち襟のジャケットは1枚で着ても、ボタンを外してインナーを工夫しても着られる優れもの。
ベージュは難しく、なかなか自分の肌や髪の色に合うものがないので、気に入るものに出会ったときには即買うようにしている。これはウール素材で優しい印象。
中にシルクのシャンパンゴールドのインナーを入れると、かなり華やかさが出る。甘いコーデになりすぎないように、ボトムスは必ずパンツを。
3.テーラードジャケットが仕事用のジャケットの王道とするならば、変形のジャケットは"冒険"
かっちりとした定番のテーラードジャケットは、間違いなくビジネスの場に相応しい。でも、かっちりしすぎるきらいがあり、本当に仕事のある日にしか使えない。肩が凝る感じがあるのも否めない。
そこで、積極的にワードローブに仲間入りさせているのが「ノーカラーのジャケット」。
襟がないということが、着こなしの幅を何倍にも広げる。
合わせるボトムスや靴でいくらでもカジュアルダウンできるし、襟元に盛れば、レストランなどでも気後れしない華やかさが出る。
トゥモローランドのジャケット。チョコレート色の光沢のあるサテン地で、裾広がりのデザインが面白い。着方でいろんなイメージに七変化する。
デニムに合わせてもいいし、ロングフレアスカートに合せて女性同士の集まりにも。センタープレスのパンツや膝丈のスカートと合わせれば、もちろん仕事着としてもきちんと感を出すことも可能。ノーカラーのジャケットは本当に使える。
■ジャケットは仕事に対する気持ちを整えてくれる味方
ジャケットなんて肩が凝るだけ。つまらないし、できれば着たくない、買いたくないと思っている女性も多いかもしれない。
だが、これほど女性を間違いなく「端正」に見せる服はない。
体型が容赦なく緩んでくる40代以降、仕立てのいいジャケットは見事に補正効果がある。
オフィスでのカジュアル志向が進む現代において、あえてフォルムの綺麗なジャケットをワードローブの一員としてスタンバイさせることは、自分の仕事への気持ちも整えてくれる効果があると思う。
お気に入りのジャケットを揃え、キリリとしたオンタイムの自分を楽しもう!
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