2021年から新たに展示されている作品

開館10年を契機に開館以来初めてとなる常設展示作品の入れ替えが2021年3月に行われました。人気の現代美術アーティストの塩田千春さん、名和晃平さんの作品、そして2021年12月からはアルゼンチン人アーティストのレアンドロ・エルリッヒさんの作品も公開されます。

塩田千春『水の記憶』

ベルリンを拠点に活動する塩田千春さんは、“生きることとは何か”、“存在とは何か”を探求しつつ、その場所やものに宿る記憶といった不在の中の存在感を、糸で紡ぐ大規模なインスタレーションを中心とした作品を制作しています。2019年の森美術館で行われた個展『魂がふるえる』は、注目を浴びました。

【青森】開館以来初の常設作品入れ替え!十和田市現代美術館へ行こう!1.jpg
(画像=dory、トリップノートより引用)

十和田市現代美術館の常設展示のため、こちらの新作を制作。美術館のある十和田市の名所である十和田湖に着想を得て、水に浮かびながら時間と記憶を運んでいく船を、この場所に繋ぎとめるように赤い糸で編んだ作品です。

赤い糸は、幾重にも重なり絡まりながらもピンっと張った状態となっていて、天井のライトと糸がもたらす影も作品を彩っています。

名和晃平『PixCell-Deer#52』

名和晃平さんの代表作でもある「PixCell」シリーズが寄託作品として、2023年9月までの期間限定で展示されています。インターネットを介して集めた動物の剥製などの表面を透明の球体で覆った彫刻作品です。

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(画像=dory、トリップノートより引用)

作品が球体のレンズ効果によって拡大され歪曲されていますが、現代の情報社会はインターネットを介して見る(「ピクセル」を介して見る)ことしかできず、触覚的にも視覚的にも捉えることができないことを表現しているそうです。

遠くから見ると大小のガラス玉がキラキラと反射し綺麗で、近づくと動物のはく製がベースだと分かる一方で、本来のはく製をはっきりととらえることが難しいと感じます。

見逃せない街に飛び出す作品

美術館の道路向かいにあるアート広場や通りには、街へと飛び出したアート作品が点在しています。屋外の体験型のアート作品なので誰でも触ったり、中に入ったりすることができます。

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(画像=dory 「愛はとこしえ十和田でうたう」草間彌生、トリップノートより引用)

色鮮やかな水玉世界が広がっている草間彌生さんの作品は、カボチャ、少女、キノコ、犬たちの8つの彫刻群で構成されていて、草間彌生のこれまでにない規模をもつ屋外彫刻作品です。彼女の代表作とも言える水玉のかぼちゃは、日本各地にありますが、ほかの場所では写真を撮るために列をなすほど人気です。

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(画像=flickr.com 「ファット・ハウス/ファット・カー」エルヴィン・ヴルム、トリップノートより引用)

ぶくぶくと太った家と車が印象的なオーストラリアのアーティスト、エルヴィン・ヴルムさんの作品。常識的に家や車は太ることなどないはずですが、プクプクとしたその愛らしさは、ユーモラスに人間の価値観や常識に疑問を投げかけている作品だそうです。

この記事を書いたトラベルライターから一言

筆者自身、約10年ぶり2度目の訪問となりました。こじんまりとしながらも、たくさんの現代美術と触れることができます。時期にもよりますがアクセスのよい都市部の美術館や、有名で人気の美術館よりも混雑が少なく、ゆったり楽しめるのでおすすめです。展示では、常設展が新しく入れ替わり魅力がさらにましていました。2021年現在は海外からの来訪者も少ないですので、ゆっくり鑑賞するなら今がチャンスなのではないでしょうか。(dory)


提供・トリップノート

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