わたしたちの周りにはたくさんの仕事論が溢れている。 でも、押し付けられる「べき論」なんて気にしなくていい。振り回されなくていい。だって、仕事の数だけ人がいて、人の数だけ思考や想いがあるから。自分自身が納得できる仕事をして、健やかに生きていこう。
日常って、誰かの仕事のあつまりだなぁ、と思う。
この文章を書いているパソコンも
友達といっしょに味わうコーヒーも
もう春だなって思いながら歩く道路も
どこか違う国に飛んでいく大きな飛行機も
その部品になっている小さなネジも。
全部、誰かの仕事で成り立っていて。
わたしはその中で生きているんだなぁと気づく。
今日も明日も、誰かの仕事の中で生きてる。
仕事の数だけ、ひとの考えとか、想いとかがあるのだと思う。
美味しさで喜ばせたい
女性の美しさを引き出したい
いいデザインを生み出したい
地方の魅力を発信したい。
そういう野望のようなものもあれば、
家族をちゃんと養いたい、安定した暮らしがしたい、そういうものも、きっと。
なによりも最優先に仕事。そういう人がいれば、そうじゃない人もいる。
ライフワークバランスもあれば、ライフワークブレンドもある。生活のためのライスワークもある。
今日も明日もわたしたちは、仕事という名の「人の想い」の中にいる。
人それぞれだから、
仕事をする理由なんて何でもいい。
そこには、正解も不正解もないし、
たぶんなくていい。
ただひとつだけ。
自分自身が自分の仕事に納得しているかどうかは、ちょっと大切かもしれないなと思っていて。
どうして今日、この仕事をしているのか。
その理由なんて何でもいいけれど、でも、その理由がちゃんとしっくりきているのかどうか。
自分自身が、自分に「いいね」って言ってあげられるかどうか。
少し前、わたしは自分の仕事に違和感があった。
普段ライターとして取材をしていて、たとえば、原稿が完成したことを知らせるメールを送る。それをしばらくコピーアンドペーストで送信してしまっていた。
「先日はお時間いただきありがとうございます」
「原稿が完成しました」
「ご確認ください」
仕上がりを告げるだけだから、書き変えるのはほとんど冒頭の宛名くらい。
怠けようと思ったわけじゃない。
無意識にルーティンになっていて。
それである時、気づいた。
取材後のやりとりが機械的になってることに。
わたしの場合、納得のいく仕事は「温度を感じる仕事」。仕事も血の通った人間同士が関わるものだから、やっぱり体温を交わすものにしたいっていつも思っている。
それなのに、コピーアンドペーストで送った無機質なメールから、果たして体温が伝わるのだろうかって。なにも考えずにルーティンで仕事をすることは、わたしの「納得」には当てはまらない。
それからは
「どういう意図で内容を構成したか」
「何をいちばん伝えたくて原稿を書いたか」
をちゃんと書くようにした。
メールをただ一通送るというより、
相手への想いをひとつ、心に届けるような気持ち。
返ってくるメールにも変化が起きた。
相手の方の感想や、原稿を読んでのメッセージが書かれている。
形式的なものじゃなくて、ちゃんと温度が伝わってくる。
文字の羅列から、相手の表情がふわっと浮かぶような感じ。
自分自身で「いいね」を出せると、仕事はより楽しくなる。
本屋さんに行くと、仕事論を説くようなビジネス書がいっぱい並んでる。
デキる女の条件とか、トップセールスウーマンの営業ノウハウ、とか。
でもきっと、仕事をする理由なんて何だっていい。
キャリア思考もいいし、家庭第一もいい。
大切なことは、自分自身がちゃんと納得していることだと思う。
誰だって、納得できないことをやるのは嫌なはず。
仕事を嫌々やることって幸せじゃない。
自分自身が幸せじゃないのに、仕事の先にいる相手を幸せにはできない。
だから、もし今の仕事がつまらなければ、仕事をする理由をひとつ見つけるのはどうだろう。自分自身が納得できるのならば、どんなものでも構わない。
堅苦しいものじゃなくたっていい。たとえば、給料日に美味しいもの食べるため! とか、可愛いワンピースを買う! とか、そういうのだって充分。
ぽんぽんと、自分の心が弾むようなものを。
日常は誰かの仕事のあつまりで、溢れているその仕事の数だけ、人の考えや想いがある。
その考え、想いがそれぞれに「納得のいくもの」であれたら。
仕事が嫌なものじゃなくなるかもしれない。
ちょっと肩の力が抜けるかもしれない。
月曜が憂鬱じゃなくなるかもしれない。
それってとってもヘルシーだ。
日常はものすごく健やかな世界になる。
わたしもその世界をつくるひとりでありたいなぁと、これを書きながら思う。
だから、納得のいく仕事をしよう。
今日もわたしたちは誰かの仕事、
たくさんの想いの中で生きている。
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