「本業の収入が減ってしまった……もう一つ仕事をしようかな?」

「いまの仕事でこの先食べていけるだろか…いきなりキャリアチェンジをするのはリスクがあるから、まずは副業で新しいお仕事ができないかな」

と考えている人も多いのではないでしょうか?コロナ禍をきっかけに副業・兼業(ダブルワーク)を希望する人が増えてきました。

その背景をうけて、令和2年9月に厚生労働省が出している「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改訂されました。

今回は、ガイドラインの内容もふくめて、副業・兼業をするとき注意したい保険・労災・労働時間についてご紹介します!

副業・兼業するときの注意点

副業・兼業をするとき、どんなことに注意したらいいでしょうか?

Q1.副業・兼業は、いつ・どこで始めてもOKなの?

会社によっては”副業禁止、ダブルワーク不可”としている会社もありますよね。

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によると、

副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由である

と記載されています。

ただし、各企業がそれを制限することが許される場合もあります。例えば、


・労務提供上の支障がある場合

・業務上の秘密が漏洩する場合

・競業により自社の利益が害される場合

・自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合


は制限されることもあるとされています。

副業OK!としている場合でも、同業他社(競業)での就業は不可、休憩時間を含む就業時間中の副業・兼業は不可、など業界・業種や、仕事をする時間について規定を決めている場合もあります。

これから副業・兼業をしたいと考えている人は、まずはいまの勤め先の就業規則を確認するようにしましょう。

また、労働契約法には「労働者および使用者は、労働契約を順守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない」とされています(信義誠実の原則)。

副業を認めている会社であっても、多くの場合、労働者は秘密保持義務、競業避止義務を負うことになります。

また、働いている会社やお店の名誉・信用を毀損しない、など誠実に行動することが求められます。

副業・兼業については会社に相談・自己申告をして十分にコミュニケーションをとってスタートするようにしましょう!

副業・兼業する前に!<保険・労災・労働時間>について確認しよう
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

Q2.副業・兼業で別の仕事をするなら、何時間働いてもOK?

「会社では月〇時間までの就労…と決まっているけど、別の仕事だから何時間働いても問題ないよね?」と思っている方、いませんか?

働き方によっては、労働時間が通算される場合/通算されない場合があるので確認しておきましょう!


•労働時間が通算されない働き方

下記2点のいずれかに当てはまる場合は、就業時間は通算になりません

•1.労基法が適用されない働き方の場合

例えば、フリーランス、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事などで仕事を持っている場合です。

•2.労基法は適用されるが、労働時間規制が適用されない場合

この場合は、農業・畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高度プロフェッショナル制度の場合です。

•労働時間が通算される働き方

上記の「労基法が適用されない働き方」「労基法は適用されるが労働時間規制が適用されない働き方」以外の場合は、労働時間が通算されます。

労基法には「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と記載されています。

この場合の”事業場を異にする”とは、事業主が異なる場合も含みます。

つまり、別の仕事だったとしても労働時間は通算されるんですね。(※休憩や祝日、年次有給休暇については、労働時間は通算されません。)

個人の実労働時間で、時間外労働のうち、時間外労働+休日労働の合計=1か月に100時間未満、複数月の平均が80時間以内について、雇っている人を規制しますよ、とされています。

※通算されることによって、労働時間を超過すると割増賃金が発生することがあります。

※36 協定でそれぞれの事業場における延長時間を定めている場合は通算されません。


どちらの場合でも、働く人が過労などにならないように、事業主はできるだけ就業時間を把握して就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましい、とされています。

また、働く側としても、健康に害がでないように、各業務の量や進捗状況、それに費やす時間や、健康状態を自分でコントロールしておく必要があります。

副業・兼業する前に!<保険・労災・労働時間>について確認しよう
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

Q3.副業・兼業する場合、会社にどこまで伝えればOK?

副業・兼業する場合、まずは会社に申告することになります。

確認されることの多い事項は下記3つ。

・ 副業・兼業先の事業内容

・ 副業・兼業として行う業務の内容

・ 労働時間通算の対象となるかどうか

競業など制限対象にならないか、業務の内容は漏洩につながるようなものにならないか、過労などで本来の仕事に影響がでないか、などを申告します。

労働時間通算の対象となる場合には、労働契約の締結日・期間、所定労働日・労働時間・始業/終業時刻、見込み勤務時間、実労働時間の報告方法などが追加で確認されることがあります。

また、収入についても気を付けておきましょう。

副業・兼業によって、20 万円を超える副収入がある場合は、年末調整ではなく確定申告が必要になります。

また、雑所得が38万円以上、雑所得が33万円以上の場合も確定申告が必要に。

主婦が「副業・兼業」をする理由って?

コロナ禍の影響もありパートで働く主婦たちも副業・兼業を考える人が増えてきています。

どのような理由で副業・兼業をしようと考えているのでしょうか?

◆収入を増やしたい

新型コロナウイルス感染拡大下でも多く見られた、シフト削減も影響のひとつでしょう。

1つの仕事だけでは必要な収入が得られない、という場合、ダブルワークをする人が増えています。

また、もっとシフトを増やしたいけれどこれ以上増やせないと言われた、等でより収入を増やしたいがその希望がかなわない、という場合もあります。

◆自分が活躍できる場を広げたい、様々な分野の人とつながりができる

副業・兼業をすることで、新しい仕事や新しい人間関係が生まれます。

いまやっている仕事に慣れてマンネリ化してしまい、新しい環境で違う仕事がしてみたくなったという人も多く副業・兼業を選びます。

また、休日や夜間など、スキマ時間をもっと有効活用したい!という人もいます。

◆現在の仕事で必要な能力を活用・向上させたい

仕事をもう一つすることで、今の仕事に必要な能力をより向上させたい、という理由で副業を始める人もいます。

雇用形態についても、パート・アルバイト、会社役員、起業による自営業など、さまざまです。

副業・兼業する前に!<保険・労災・労働時間>について確認しよう
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

副業・兼業をするメリット&デメリット

2つ以上の職場で仕事をするとなると「収入は増えるかもしれない!けど、忙しそう…」というイメージもあるのではないでしょうか?

副業・兼業にはほかにも、さまざまなメリット・デメリットがあります。

•メリット

・離職しなくても他の仕事ができる!

今就いている仕事から離職しなくても、別の仕事に就くことができます。今の仕事や社内だけでは得られない知識やスキル、経験を得ることができます。

また、会社の方針に従うキャリア形成だけではなく、自分で主体的にキャリアを作っていくことができます。

・収入の不安なく、自分のやりたいことにチャレンジできる!

本業で得られる収入はそのままに、自分がやりたいことに挑戦することができます。

また、副業・兼業ではリモートワークでできる仕事も多くあるため、オンラインを活用して地方の活性化に貢献できたり、応援したい土地の活性化の力になることもできます。

・夢に挑戦する準備ができる

本業を続けつながらも、よりリスクが小さい形で将来の起業や転職に向けた準備ができます。

ひとつの企業にとらわれずに自分の能力・スキルを幅広く発揮することにもつながります。

もちろんですが、収入が増える、というメリットもありますね。

副業・兼業する前に!<保険・労災・労働時間>について確認しよう
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

•デメリット

・仕事をする時間が長くなり、健康管理が大切に

メインの仕事に加えて、もう一つ仕事をするのですから、全体的に仕事をしているが長くなります。

体調を崩す可能性も出てくるので、自分で仕事をする時間や健康管理も必要になってきます。

手前味噌ではありますが、筆者は週5日正社員+週2日業務委託で働いていたことがありました。体調を崩したら必ずどちらか、最悪どちらもの職場に迷惑をかけることになります。

病院や銀行に行く時間もどうにか工面するような状態だったので、時間・健康の管理について考えてからお仕事を増やすことをおすすめします。

・コンプライアンス順守を念頭に

コンプライアンス(法令や規則をよく守ること)が重要です。

勤務時間内は仕事に専念する義務があったり、秘密保持義務、競業避止義務を意識することが必要になります。

就業規則にその義務についてや、違反した場合の罰則が記載されていることがほとんどです。確認をしてみてください。

・雇用保険、社会保険の加入条件は要確認

1週間の所定労働時間が短いお仕事をいくつかかけもつ場合、雇用保険等に加入できないことがあります。

例えば、雇用保険・社会保険は週20時間以上の勤務をしている場合加入ができますが(※1)

週10時間のお仕事×週12時間のお仕事など、短時間の仕事を組み合わせている場合、保険に加入ができないことがあります。

※1.例外もあります。

ただし、副業・兼業をみとめている企業はまだまだ多くはありません。

下図は平成26年度の企業における副業・兼業制度についてのグラフです。

副業・兼業を推進していないが容認はしている…14.7% 副業・兼業を認めていない…86.3%

という状況でした。

副業・兼業する前に!<保険・労災・労働時間>について確認しよう
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

コロナ禍の影響もあり、テレワークの整備が整い、副業・兼業に着手している企業も増えてきていますが、探せばいくらでもある、という潤沢な状況ではありません。

希望にあう副業・兼業があったら、機会を逃さないよう早めに検討をすることをおすすめします。

注意!「高額費用が必要な在宅ワーク」

最後に、副業・兼業として主婦から人気を集めている在宅ワークの中にも、注意していただきたいものがあります。

それは、お金がかかる仕事。

業務をしてお金をもらうはずなのに、なぜか「初期費用」「振込費用」「設備費用」…などの費用を支払うことになるお仕事があります。

•高額な費用が請求される在宅ワーク

家でできると人気の在宅ワークにも、中には悪徳業者が運営していたり、悪徳商法が含まれていることも。

例えば

「仕事を始めるために、有料の研修を受けることが必須です」

「専用の機材を買ってください」

「初仕事ということでボーナスを支払うので、口座登録をしてほしい。振込手数料を先に払ってもらいます」

など、お仕事前に何らかの支払いを求められた場合は、すぐに支払わず、家族や信頼できる人に相談しましょう。

まとめ

今回は、令和2年9月に改訂された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の内容を含めて、副業・兼業をするとき注意したい保険・労災・労働時間についてご紹介しました。

副業・兼業をすることで、離職しなくても他の仕事ができること、収入の不安なくやりたいことにチャレンジできること、夢に挑戦する準備がもてることなどメリットがあります。

反対に、仕事をする時間が長くなり健康管理が大切になったり、コンプライアンス順守のための注意が必要だったり、勤務時間によっては保険に入れなかったり、と個人で注意すべきことが多くあります。

また、勤め先で副業が認められていないこともあるので、必ず確認してからスタートするようにしましょう。

コロナ禍の影響で「働き方」も少しずつ変わろうとしています。後悔のない働き方を見つけていきましょう。

提供・しゅふJOBナビ

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