「有給休暇って正直使いにくい……」
「有休がとりやすい職場ってないの?」
このように思っている方は多いのではないでしょうか。
2019年から、有給休暇の取得が義務化されました。一定の要件を満たせばパートやアルバイトでも適用される制度なので、確認しておきましょう!
有給休暇取得の義務化って?
有給休暇は、正社員のみでなく、長期間にわたって働くすべての人に付与される休暇です。
まずは有給休暇をとるときのルールを確認しておきましょう!
•有給休暇にかかわる3つのルール
有給休暇の付与には、3つのルールがあります。
1.年次有給休暇を取得するタイミング
具体的に「〇月〇日有休を希望したい」として指定した場合には、原則、有給休暇がとれます。
ただし、事業が正常に運営できない(同じ月日に有給取得をしたい希望者が重なってしまって全員に休暇を付与できない場合など)やむを得ない場合には、日程変更を相談することもあります。
2.年次有給休暇の繰り越し
有給休暇にも期限がある、というのはご存じでしたか?有給休暇の時効は2年です。
前年度に使いきれなかった有給休暇の残日数は、翌年に追加されます。
3.不利益取り扱いの禁止
有給休暇をとったからといって、賃金を減額したり、不利益な扱いをしないこと、というルールです。
たとえば、賞与の金額を下げたり、精勤手当が減ったり、有休を取得した日を欠勤扱いにしたり、働く人が有給休暇をとることで不利益になることはNGです。
ポイントを整理すると、下記の3点です。
・基本的には希望した日付で有給休暇は取得できる。
・有効期限は2年間。付与された年に使いきれなかった有給は、翌年に繰り越しができる。
・会社は、働く人が有休を使ったからといって、不利益にならないようにしなければならない。
では、有休取得の義務化について知っていきましょう。
•有給休暇取得の義務化って?
2019年3月までは、有休取得の日数については特に指定がありませんでした。
2019年4月から有休が年間10日以上付与される労働者に対して、年5日の年休を取得することが、使用者(会社など)に義務づけられました。
雇用している人は、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日、年次有給休暇を取得させなければなりません。
たとえば
2020年 4月 1日 …入社
2020年10月1日 …有給休暇付与(基準日)
2021年 9月30日 …基準日から1年後。この日までに5日有休をとらなければいけない
ということです。
この年5日の休みは、休みたい希望日など働いている人の意見を聞かなければなりません。
かつ、できるだけ働いている人の希望にそった時季に有給がとれるように尊重されなければならない、とされています。
逆に、既に年5日以上有休を取得している人はそれ以上使う必要はなく、雇用している人も使いなさい!と指導はできません。
•パート・アルバイトでも義務化の対象になるの?
条件に該当していれば、パート・アルバイトでも対象になります!
パートタイム・アルバイトなど、働く日数が少ない人は、所定労働日数に応じて付与されます(付与日数についてさらに詳細に別の段落で加筆しています)。
付与の対象になるのは、所定労働時間が週30時間未満、かつ、週4日以下または年間で216日以下の人が対象になります。
下図の太枠で囲った部分に該当する人は、年5日の年次有給休暇の確実な取得(義務化)の対象です。
ただし、前年使い切らなかった有休日数+新しく付与された日数を合計したら10日以上になる、という場合では、年5日取得の義務対象にはなりません。
1年間に付与される日数が10日以上であれば対象なので、お気をつけください。
また、休暇に関する事項は、就業規則に記載しなければいけないことになっています。就業規則も確認してみてくださいね。
•育休から復帰した場合でも義務化の対象に
たとえば、育休から復帰した労働者はどうなるのでしょうか。
1年の間に育児休業から復帰した場合でも、年10日以上有休が付与されているならば、年5日の取得が必須です。
ただし、復帰したタイミングにもよります。残りの期間で5日の有休をとることが不可能な場合は、その限りではないとされています。
•契約社員→社員、パート→社員に転換した場合は?
対象期間中に雇用形態が変わったとしても、引き続き基準日から1年以内に5日取得が必須です。
もともと有給休暇は雇用形態と問わずに、週所定労働日数によって付与されているのでルールは変わりません。
•有休取得の「義務化」…つまり罰則になることも
有給休暇の確実な取得を義務づける、ということは、違反した場合には罰則が科されることがあります。
◆年5日の有休を取得させなかった
労働基準法 第39条 第7項の違反として、第120条に則り「30万円以下の罰金」。
◆使用者(雇用している人)の時季指定をする場合において、就業規則に記載していなかった
労働基準法 第80条 の違反として、第120条に則り「30万円以下の罰金」。
◆労働者(働いている人)の請求する時季に、所定の有休を与えなかった
労働基準法 第39条の違反として、第119条に則り「6か月以下の懲役 または 30万円以下の罰金」。
雇用主は、できるだけ有給休暇を取得できるようにしなければなりません。
ちなみに、有休取得の希望だけ5日以上ぶん出したけど、実際には取得はしなかった、という場合は違反になります。有休をつかうところまで管理が必要です。
また、「年5日の休暇を絶対に取らない!」等、従業員が休暇を希望しない場合はどうなるのでしょうか。この場合、
①雇用主(使用者)が時季指定をする(〇月〇日に休んでください、と指定する)
②指定した日に、従業員が休むことを拒否して自分の判断で出勤・仕事をする →違反になります。
ただし、労働基準監督署の監督指導において法違反かどうか判断されます。
せっかく有給で休みが取れるなら、指定した日付で休むより、自分の好きなタイミングで取得できたほうがいいですね。
有給休暇の取得が義務化した背景は…「働き方改革」
2019年4月に、10年ぶりに労働基準法が改正・施行されました。
この改正は「働き方改革関連法案(正式名称:働き方改革を推進する法律案)」と呼ばれています。
働き方改革を実現するためには、下記の3つの課題がある!とされています。
・長時間労働の是正
・多様で柔軟な働き方の実現
・雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
この是正を進めていくにあたり、労働者が休暇を取得しやすい環境を作ろう、という取り組みがされています。この取り組みは「休み方改革」と呼ばれています。
休み方改革は、ただ休暇をとるように促進するだけではありません。
家族と過ごす時間をふやし、長期休暇・有給休暇を利用した旅行者を見込んだ地域活性化・消費の増加につなげよう!というものです。
この改革には、下記のような施策があります。
・有休取得の義務化
年間10日以上の有給が付与される労働者に対して、年間5日、有給休暇を取得させることを義務化
・残業の上限規制
最大で年間720時間までなど、無制限に残業できないよう上限を設定
・プレミアムフライデー
毎月最終金曜日は15時目安に仕事を終えて余暇を楽しむ取り組み
・プラスワン休暇
土日祝日に有給を組み合わせて、3日以上の連休にすること
・キッズウィーク
地域ごとに学校の夏休みなどの長期休業日を分散化することで、大人と子どもが一緒にまとまった休日を過ごす機会を創出しやすくするための取り組み
プレミアムフライデーは一時期よくニュースでも取り上げられていましたね。
休み方が改善されることにより、正社員・フルタイム労働者の労働時間が短縮されたり、就業日数が減ったりします。
これによって業務の切り分けが増え、パート・アルバイト・派遣の雇用が増える可能性もあるといえるでしょう。
パート・アルバイトの有給休暇日数/お給料はいくらもらえる?
週4日以下の日数で働く人の場合、何日くらい有給休暇が付与されるのでしょうか。
また、有給休暇を取得した日はお給料がいくらくらいもらえるのでしょうか。
まとめ
今回は、有給休暇の義務化について説明しました。
ポイントは、
・年10日以上有休が付与されている場合、年5日は有休を使用しなければならない
・パートやアルバイト、契約社員でも上記にあてはまっている場合は取得が義務付けられる
・有休を使う日付は希望が出せる
・年5日取得をしていない場合、雇用主から休暇を指定されることがある
というところです。
せっかく有給でお休みが取れるなら、指定された日付に休みを取らなくてはいけないより、自分の好きなタイミングで取得できたほうがいいですよね。
手前味噌ではありますが、主婦向けの短時間・少日数の求人を扱うしゅふJOBでは、「有給休暇の取得がしやすい」職場を検索することができます。
「できるだけ自分の希望どおりに有給休暇をとりやすい職場で働きたい!」と思っている方は見てみてくださいね。
提供・しゅふJOBナビ
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