「まだ珍しい女性バス運転手。キャリアの選択肢としておすすめの理由」に続き、女性活躍の新たなキャリアとして女性バス運転手の魅力をお伝えしていきます。今回は「第1回女性バス運転手の会」にお伺いしてきました。現役の女性バス運転手と、その職業に興味を持つ女性たちの集いです。想像以上の活気と楽しさに溢れていました。
全国各地から女性バス運転手が集合
「まだ珍しい女性バス運転手。キャリアの選択肢としておすすめの理由」に続き、今回は女性バス運転手のためのイベントの模様をレポートします。よく晴れた気持ちのいい青空のもと、おしゃれな会場に明るい笑顔で参加者が集まってきています。
今回のイベントには全国各地から23名の現役女性バス運転手が集まり、女性バス運転手に興味を持っている女性も10名が参加、テレビや新聞などのメディアも多く入っていました。
司会の方の挨拶から、女性バス運転手の初となる交流の場「第1回女性バス運転手の会」が始まりました。来賓には、国土交通省関東運輸局の方、公益社団法人日本バス協会の方などもお見えになり、国としても業界としても、女性バス運転手への期待が伺えます。
現役女性バス運転手が語るリアルな声
来賓挨拶のあとは、主役である現役女性バス運転手の皆さんが登場。今回は5名の現役女性バス運転手がトークセッションに登壇し、さまざまな質問に答えてくれました。
一口に女性バス運転手と言っても、働く環境やキャリアもいろいろ。今回参加の5名もさまざまな場で働いています。
・羽田空港のターミナル間無料連絡バス
・同じく羽田空港の旅客ターミナルビルから離れた場所の航空機までお客様を輸送するランプバス
・東京都千代田区などを走る小型のコミュニティバス
・千葉県浦安市舞浜の某大人気テーマパークと周辺ホテルを結ぶ送迎バス
・多摩・八王子エリアの街中を走る路線バス
に乗務しており、現役ならではのお話をしてくれました。
例えば……
・羽田空港のターミナル間無料連絡バスは、空港内のみの特定ルートを循環するので、道も広く歩行者や自転車なども圧倒的に少なく、大型バスの運転に馴れる環境として適している
・千代田区内のコミュニティバスは車体が小さく小回りが利く分、運転もしやすく、お客様とのコミュニケーションも多い
・多摩・八王子エリアの路線バスは区間が長いため、往復に2時間かかる路線もある
こんなふうに、普段はなかなか知ることのないお話は興味深いものばかり。
なぜバス運転手になろうと思ったのか
特に面白かったのが、「なぜバス運転手になろうと思ったか?」という質問。現役女性バス運転手同士でも聞く機会が少なく、バス運転手に興味がある女性にとっても非常に気になる質問ですが、皆さんに共通しているのが、やはり「運転が好き」というのと「憧れ」というふたつのキーワード。
トラック運転手から転職された方は、お客様との会話があるとか、仕事の区切りがはっきりしているところが転職の決め手だったそう。
ほかにもクリスマスシーズンに、たまたま信号待ちをしていたら、かわいらしい某テーマパークのバスが停まっていて一目惚れしたとか、リストラに遭って次の仕事を考えていたとき、たまたま乗ったバスが女性バス運転手で、女性でもできる仕事なんだと知って応募したとか、それぞれのエピソードに参加者も興味津々。
登壇した皆さんは何らかの形で大型一種の免許を持っていた人が多く、そこにそれぞれのきっかけで女性バス運転手との出会いがあり、憧れを叶えるんだという気持ちで現在に至っているようです。憧れの職業に就くというのは他の職業でもよくあることだし、自分の「好き」が運転だったことから、彼女たちはこの道を選んだのですね。
女性バス運転手ならではの働き方と喜び
確かに今のところ男性中心であるバス運転手の世界ですが、女性バス運転手をサポートする体制は各社それぞれに進んでいるようです。
男性は泊まり勤務があっても女性は平日の4勤2休のシフトだったり、宿泊勤務がある会社でも、女性専用の宿泊施設を用意してもらったり、ある会社では女性バス運転手の声を大きく取り入れた女性更衣室を作ってもらったそう。
しかも内装はピンクと白を基調に、休憩室にはテレビとソファ、キッチンやシャワーに洗面台も完備して、ホテルと同じような落ち着いたオレンジ色の照明に2段ベッドで仮眠もとれるなど、快適な環境には他の現役女性バス運転手も驚き。
数少ない例ではありますが、それだけ会社としても女性バス運転手を手厚くサポートしていく流れがあることの表れ。会場内も盛り上がっていました。
そして、バス運転手ならではの喜びに話題が移ると、笑顔もいっそう輝きます。全員が同じ意見で揃ったのが、やはり「お客様からのお礼」。「ありがとう」の一言や、がんばってねの一言は本当に嬉しくて、大いにモチベーションにつながるそう。
特に某テーマパークの女性バス運転手は、憧れのかわいいバスで、憧れのキリリとした制服を着て仕事できることが嬉しくて、時折お客様から「旅の記念写真に一緒に写ってほしい」と頼まれるときには、思い出の1ページに加えていただける幸せを感じると語っていました。
これからの課題もみんなで考える
慢性的な運転手不足を抱えるバス運転手業界に、女性バス運転手を増やしていくにはどうしたらよいか? 切実なこの問題に、国土交通省では「働き方改革」の一環として取り組んでおり、運転手の魅力を伝えるポータルサイトを開設したり、各都県の支局担当者が地元の高校を回って運転手の魅力の発信や就職先としてのアピールをしたりしています。
業界としても、高卒の若い世代が就職した場合、第二種免許を取得できる21歳までの3年間は運転手を支える業務を担当してもらい、業界に馴れてもらう施策をとっているそうです。
現役女性バス運転手からは、今回のような興味を持ってもらう場の必要性、生理休暇など女性特有の事情を安心して言える環境づくりなど、実感のこもった声が挙がりました。
トークセッション後の各テーブルでの懇親会はさらに詳しい現場の話で盛り上がり、イベント終了時には皆でSNSアカウントを交換し合って、初となる女性バス運転手の交流会は無事に終了。
女性バス運転手を産後のキャリアに考える
最後に、女性バス運転手に興味を持っていたという女性にお話を伺うことができました。
彼女は京都で7年間バスガイドを務め、当時から女性バス運転手のカッコよさに憧れを持っていたとのこと。現在は結婚して上京してきたけど、子どもを持ちたいのですぐに女性バス運転手にはなれない。
でも、現役女性バス運転手の方のお話が聞けるこのイベントを知って、ぜひ子育て後の仕事として考えたいと思ってイベントに参加したそうです。
そして実際にお話を聞いて、大変なことも楽しいことも含め、バスガイドをしていても知らなかったお話がたくさんあって、よりいっそう女性バス運転手になりたい気持ちが強まった、まずは大型自動車の第一種免許を取ることを決めた、とのこと。
女性バス運転手の未来は、今回のイベントを通じてまたひとつ、身近なものになりました。
女性活躍の新たなキャリアとして、大きな可能性が待っている女性バス運転手。ご興味のある方は、ぜひ一歩、踏み出してみてはいかがでしょうか。
<問い合わせ>
一般社団法人女性バス運転手協会
提供・DRESS(「人生を守る知恵、未来を歩く地図」となる言葉や人物、文化を伝えるウェブメディア)
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