1月からは「子の看護休暇・介護休暇の時間単位の取得」がスタート、4月からは「同一労働・同一賃金の中小企業適用」など…
働き方改革もあり、さまざまな法律が変わってきています。
今回は、久しぶりにお仕事復帰をする主婦の方や、パートではたらく方々にもかかわる法律の改正についてわかりやすくご紹介します!
子の看護休暇・介護休暇の時間単位の取得
◆子の看護休暇・介護休暇の時間単位の取得
施行日:2021年1月1日~
対象 :すべての企業
育児や介護をしながら働く労働者が取得することができる「子の看護休暇」「介護休暇」。
従来は、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は半日単位で取得ができませんでしたが、1月からはすべての労働者が、時間単位で休暇を取得することができるようになります。
なお、時間単位で取得できる休暇の時間数については、年次有給休暇とおなじく
1日の所定労働時間数に相当する時間数 × 5日(or10日)
となっています。
日によって勤務時間が異なる場合は、年間平均所定労働時間数になります。また、1時間に満たない端数が有る場合(たとえば6時間半勤務など)は、端数を時間単位に切り上げて計算します。
ここで気になるのが、
「勤務時間が4時間未満だったらどうなるの?」
「シフト勤務や、フレックスタイム制でも使えるの?」
というところではないでしょうか。
障害者の法定雇用率引上げ
◆障害者の法定雇用率引き上げ
施行日:2021年3月1日~
対象 :常時雇用する労働者数が43.5人以上の企業
3月から、障害者雇用促進法の改正により、法定雇用率が2.2%から2.3% に引き上げられました。
たった0.1%…ですが、これにより障害者を雇用しなければならない企業数が増えるので、職場の選択肢が増えます。
企業に対して、毎年障害者の雇用状況を報告したり、障碍者雇用を推進する担当者を決めるよう義務付けられています。
この法定雇用率を達成しなかった場合、罰則も設けられています。今後ますます障碍者採用は促進されるでしょう。
同一労働・同一賃金
◆同一労働・同一賃金
施行日:2021年4月1日~
対象 :中小企業(大手企業については施行済)
働き方改革関連法のひとつとしてパートタイム・有期雇用労働法が成立し、同一労働・同一賃金の制度が適用されることとなりました。
同一労働・同一賃金とは、同じ会社で同じ仕事をする正社員(無期雇用フルタイム労働者)と、パート・アルバイト・派遣社員など有期雇用で働く人の待遇や賃金格差をなくしていこうという考え方です。
基本給や賞与など、あらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されるようになりました。
今回の改正のポイントは、
・正規/非正規の不合理な待遇差の禁止
・労働者への待遇に関する説明義務の強化
・行政による事業主への指導・助言 です。
企業は、正社員とパート・アルバイトの仕事内容や責任の程度の違いがあるかどうか、改めて実務分析を行う必要があります。
また、支払っている給与はどんな基準で支払っているのかを具体的に整理する必要があります。
※なお、同一労働・同一賃金について、大企業は2020年4月から施行されています。
高年齢者雇用安定法
◆高年齢者雇用安定法による70歳までの就業機会確保
施行日:2021年4月1日~
対象 :すべての企業
高齢者雇用安定法は、従業員の希望次第で定年退職後に新たに雇用契約を結ぶ制度のこと。
高齢者雇用安定法では「従業員の定年を定める場合は60歳以上とすること」と定められています。
さらに、2021年4月に「継続雇用制度導入」を盛り込んだ高齢者雇用安定法の改正が行われることになっています。
これにより、65歳までの雇用が義務化され、70歳までの就業機会の確保が努力義務としてルール化されます。
15~20年以内に70歳定年制が義務化される可能性も大いにあるでしょう。今後、働きたいシニア層が年齢を理由に退職することが減り、50代・60代が重要な働き手として採用も増ていくのではないでしょうか。
中途採用者比率の公表義務
◆労働施策総合推進法
施行日:2021年4月1日~
対象 :常時雇用する労働者数が301人以上の企業
労働政策総合推進法が改正され、常時雇用する労働者数が301人以上の企業について、中途採用者比率の公表義務ができました。
これにより、社員のうちどのくらいの割合が中途採用社員なのか、が採用ページなどでわかるようになります。
この背景には、企業規模が大きくなるほど新規学卒採用に重きを置いており、企業規模が小さくなるほど中途採用に重点を置いているという現状があります。
中途採用比率を公開することで、今後大手企業での中途採用が活発化することが見込まれます。
2022年に予定されている改正
ここまでは2021年に変わる法律をご紹介しました。
2022年にも、主婦が見逃せない法律の改正があるので、3つ絞ってご紹介します!
•雇用保険法の改正
2022年1月から雇用保険法が改正され、65歳以上の副業者でも雇用保険に加入ができるようになります。
いま、雇用保険の加入条件は「週20時間以上の勤務をしていて、31日以上継続して雇用される人」が雇用保険の被保険者です。
これは、1つの事業所ごとに判断されています。
つまり、Aさんが B社で週10時間+C社で15時間勤務=25時間 働いていても、A社でもB社でも週20時間勤務を超えていないので、雇用保険の被保険者資格はありませんでした。
この法律が改正されることで、
・1事業所における週の所定労働時間が20時間未満
・2つ以上の事業主に雇用される65歳以上
・週の所定労働時間合計が20時間を超えることの3点を満たす
人は、雇用保険に加入することができるようになります。
ただし、これは「労働者からの申し出」によって適用されるもの。基準をすべて満たしているからといって自動的に被保険者となるわけではありません。
雇用保険に加入したい人は職場に申告し、加入したくない人は会社に申告しなければ今まで通り働けます。
ところで、雇用保険に加入することにはどんなメリット・デメリットがあるでしょう?
•改正労働施策総合推進法
2022年4月から、通称「パワハラ防止法」について中小企業が対象になります。(なお、大手企業は2020年6月から施行されています。)
この改正では、パワハラ防止のために雇用管理上必要な措置をとることが求められており、対応しない場合、指導の対象になります。
措置としては
・事業主によるパワハラ防止の社内方針の明確化、周知、啓発
・苦情に対する相談体制の整備
・パワハラ被害を受けた労働者のケア、再発防止 などがあります。
この改正法では、正社員だけでなく、パート・アルバイト、派遣社員、契約社員などすべての労働者が対象です。
•社会保険の適用範囲拡大
社会保険に加入しない範囲(扶養枠内)で働きたい主婦にとって、テストに出ます!!と言いたいくらい大切な改正です。
2022年10月から、短時間労働者の社会保険適用が501人超から101人超の企業に拡大されます(ゆくゆく、2024年10月からは従業員数51人以上の企業に適用されることになっています)。
社会保険の加入対象者は以下4つのすべてに当てはまる人です。
☑ 週の所定労働時間が20時間以上 ☑ 月額賃金が8.8万円以上 ☑ 2か月以上の雇用の見込みがある ☑ 学生ではない
従業員数とは、フルタイム勤務の従業員数+週の労働時間がフルタイム勤務者の3/4以上の従業員数(パート・アルバイトを含む)が対象です。
これによって社会保険加入の対象になる人が増えるので、自分はあてはまるか?を確認しておきましょう。
まとめ
今回は、2021年に変わる法律・2022年に変わる予定になっている法律についてご紹介しました。
65歳までの定年引上げや、障害者雇用の拡大によって、働きたい人が仕事に就ける可能性が高まります。
ただし、企業によっては高齢者の雇用継続や障害者採用を優先することでいままでパート採用がされていた企業での募集が減ってしまうという一面もあるかもしれません。
また、社会保険の拡大適用など、働く主婦にとっても見逃せない法改正がたくさんあります。
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提供・しゅふJOBナビ
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