結婚式でお決まりのセレモニーと言えば、やっぱりブーケトス。日本では“キャッチできた独身の女性は次の花嫁になれる”という、幸せのおすそ分けという意味合いが強いイベントですが、昨今ではあまり行われない傾向にあるとか。
これには、前に出ることを恥ずかしいと感じる出席者が多いことや、現代女性が結婚=幸せと捉えてない価値観の変化など、さまざまな理由があるようです。
今回お話を聞かせてくれた宮澤さん(32歳・仮名)も、個人的にブーケトスに関してあまり良い印象がないのだそう。とある披露宴で非常に後味の悪いブーケトスに遭遇したことがあるのが原因だったようで――。
女性たちがテンション高めで挑むブーケトス
「6年前に大学時代の後輩の披露宴に呼ばれた時のことです。披露宴の終盤に、司会者からアナウンスがあり、独身の招待女性たちがブーケトスのために集められていました。私はすでに既婚者だったので参加しなかったのですが、他の顔見知りの女の子たちはこれも余興の一環とばかりに、『絶対取ったる~!』『結婚した~い!』と、軽いノリでキャッキャしながら張り切る様子を見せていました」
他にもブーケトスには、後輩の会社の同僚や幼馴染たちなどが数名のグループで参加。みんなその場を盛り上げるためか、わりとテンション高めで挑むムード。 しかしそんな中、ポツンと一人で高砂(たかさご=新郎新婦席)の前に出てきた大人しそうな女性がいたそうです。あからさまに嫌々出てきたといった雰囲気を醸し出していて、盛り上がっている他の参加者たちとは異彩を放っていたそう。
「席の場所からいって、後輩の親族だろうなと思って。座席の名前をチェックしてみたら、後輩の従姉にあたる女性でした。年齢は私たちと余り変わらないか、少し上くらい。アラサーだったんじゃないかと思います」
「ブーケ取らせてもらいなさい!」
その彼女はブーケトスに加わりたくないのか、何度か席に戻ろうとする素振りを見せていたそうですが、その度に親族たちが「ブーケ取らせてもらいなさい!」と執拗(しつよう)に命じていたとのこと。
新婦がトスしようとブーケを構えると、「◯◯ちゃんに向かって投げて!」「△△(後輩)は先に結婚したんだから、気を使って!」「絶対に取らせてあげて!」と親族席から大声援が。その女性はいたたまれない表情でじっと下を向いていたそうです。
「もう、傍から見ていて『うわぁ~』って気持ちでしたよ。他の参加者たちも、親族たちを見てはしゃぐのをやめてしまって、白けた状態に……。遠巻きな感じになっていました。結果的には完全なる出来レースで、その従姉さんの足元にブーケが落ちたんです。彼女がそれを拾ったら親族席がやんややんや大騒ぎしてましたね」