恋人が誰にでも優しい態度を示していると、モヤっとしてしまうという人も多いでしょう。しかし、田所友里さん(仮名・31歳)は、自分だけに優しい恋人との未来を不安に思っています。

「私に対してはすごく優しくて、いつも気遣ってくれます。会うたびに大事にされていると思えるんですが、他の人に対する言葉が少しキツくて、このまま付き合い続けていいのかなって考えちゃいます」

 二度と結婚で失敗したくない。バツイチの友里さんはそんな気持ちを抱いているからこそ、彼がモラハラ予備軍ではないかと考えてしまいます。

モラハラ夫と離婚後に優しい彼と出会って

 友里さんが離婚したのは、今から2年前のことでした。5年間生活を共にしてきた元夫はモラハラ気質で、気に入らないことがあると友里さんを無視。ドアを強く締めたり、物を投げたりし、機嫌が悪いことをアピールすることもありました。

「つねに元夫の顔色を見ながら暮らす日々に疲れ、揉めましたが両親や友人の協力もあり、別れることができました。一緒に過ごした日々がツラかったから、この先、恋愛するなら、こんな思いをしなくてもいい人がいいなって思っていました」

 そんなとき、知り合ったのが2歳上の彼。共に犬好きだった2人は意気投合します。彼は友里さんがバツイチであることも理解した上で、将来を考えようと言ってくれました。

 勇気を出して、元夫からぞんざいな扱いをされてきたことを打ち明けたときには「それは苦しかったね。僕ならそんなことしない」と優しい言葉もかけてくれました。

「その言葉通り、何度会ってもデート中には私の気持ちを最優先してくれています。正直、人からこんなにも大切にされるのは初めてです」

彼女にだけ優しくて他人にはキツい、彼の二面性

しかし、交際して1年半ほど経つと、些細なことで他人に対して辛辣(らつ)な言葉を向ける彼を目にすることが多くなり、モヤモヤするようになりました。

 例えば、外出先でレジに並んでいる人を見たとき。空いているセルフレジには行かず、通常のレジに並ぶ人たちを見て彼は「どうして空いているところに行かないのか意味が分からない。そんなに行列が好きなのかな」と笑いながら批判するのです。

 友里さんがセルフレジを難しく感じる人もいそうだと指摘すると、「いやいや、簡単でしょ」と反論してきました。

「でも、私自身がセルフレジを使わないっていう選択をすると、そういう人もいるよねとまったく批判してこず、待ってるから並んでおいでと笑顔で言ってくれる。私以外の人にだけ厳しいんです」

 一緒に食事をするときには、友里さんへの扱いを見て店員さんを非難することもありました。