新型コロナ第4波のなか、私たちの日常生活はより一層の我慢を強いられています。家庭では子どもへの虐待、DVが増加しているという報告もあります。

「つわりが苦しいなら堕ろしていいよ」夫の暴言に、悪気は全くなかった
(画像=『女子SPA!』より引用)

昨今、テレビなどでも取り上げられるようになった「発達障害」ですが、このコロナ自粛の中で夫の「自閉症スペクトラム(以下、ASD)」によって妻が苦しみ、うつ状態に陥ってしまう「カサンドラ症候群」が増えているというのです。

「カサンドラ症候群」とは、パートナーとの意思疎通ができず、他人からも理解してもらえないことで体調を崩し、身体に顕著な症状が現れた状態のことをいいます。これらのケースは夫がASDだった場合に多くみられます。正式な病名ではないため、顕在化することが難しいのです。

 カサンドラに症候群の妻たちは、どんな悩みを抱えているのでしょう。30年以上に渡って発達障害の研究、治療を続けているどんぐり発達クリニックの精神科医、宮尾 益知(みやお ますとも)先生の『発達障害と人間関係 カサンドラ症候群にならないために』から紹介します(以下、同書の内容より抜粋・再構成)。

夫と意思疎通ができずに苦しむ「カサンドラ症候群」

 発達障害の一つである「ASD」は脳機能の変異が原因とされていて、「社会的コミュニケーションの障害」が主な特徴です。そのため、家族間であっても心が通い合うのが難しいのです。単独行動を好み、相手の立場になって考えることが苦手だったり、ルールを守ったり、集団で遊んだりすることがうまくできない。他人の存在を忘れてしまい、話しかけても聞こえていない(聞いていない)ように見えることもあります。

 反面、自分自身については「こだわり」が強く、同じことが繰り返して起こることを好み、同じ言葉や動作を繰り返し、物事を決まった順序でやらないと気がすまない、自分の好きな話題や活動ばかり繰り返す特性があります。

 また、同時に二つのことができないため、仕事でもマルチタスクが苦手です。新しい環境や突然の予定変更に順応することが苦手で、空想やファンタジーの世界に没入することが多く見られます。

感情の共感を得られず、心身がダメージを受ける

 正式にASDだと診断されていれば対処法はあるのですが、特性に気づかないまま感情の共感を求めすぎると、無力感、孤独感、絶望感によって、偏頭痛、体重の増減、自己評価の低下、パニック障害、抑うつ、無気力などの状態を引き起こしてしまうのです。心当たりがある方は、早めに専門機関での相談や診断を受けることをお勧めします。