“デブ”を守るために断った依頼も
――断った依頼はありますか?
マイコー:そうですね。添い寝やヌードモデルなど、少しでも性的なことが起こりうるような案件はお断りしました。初期にはレンタル後にデブから「(利用者の方の行動が)少し怖かった」と言われたこともあるので、そのあたりは徹底しています。デブを守らなければいけないという使命感があるんです。
案件には私がすべて目を通し、借りる方には目的を聞いています。私が問題がないと判断し、デブ側も承諾して初めて依頼を受けます。そこから、利用者とデブでLINEを通してのやりとりから始めてもらいます。
LINEはオープンチャットを利用してもらっているので、個人情報が漏れる心配もありません。スケジュールなどもお互いに話し合って決めてもらっていますが、その内容もすべて私がチェックしています。
“デブ”がポジティブに認識される世の中を目指して
――最近ではバラエティ番組の“容姿いじり”などが問題視されるようになりましたが、当事者に対しての接し方などで気をつける点はありますか?
マイコー:いじられて嬉しい人や、不快に思う人など、人によって受け取り方は異なります。いじる、いじらない関係なく、相手との関係性や前後の会話の流れで判断したうえで、愛のある接し方をすべきだと思います。
「デブは痩せるべきだ」と言う人もいますが、私にとって“デブ”は、「かっこいい」「かわいい」「力強い」といった褒めの意味でしか聞こえないんですよね。「~であるべき」と先入観を持つのではなく、どんな体型であれ一つの個性だと認識されてほしいです。そのなかでも特に批判されやすいデブのイメージが、明るい方向に向いていけば嬉しいです。
――サービスを通してどのような世の中にしたいですか。
マイコー:日本で体重100kgを超えられることはなかなか難しく、一種のセンスだと思っています。せっかくいい個性を持っているのに、世間体を気にして体型を隠した服装を着たりするのはもったいないことです。
今までデブが活躍できる場といえば、土俵の上かリングの上くらいでしたが、その幅を広げたいです。私は一人一人の個性を大事にしたいですし、デブが過ごしやすい環境をつくりたいと思っています。デブカリというサービスを通して、少しでもプロのデブがみなさんのライフスタイルのなかで活躍することを願っています。
<取材・文/Honoka Yan> Honoka Yan 23歳。モデル/ダンサー/ライター/記者。タブーについて発信する日本のクィアマガジン「purple millennium」編集長。LGBTQ当事者。Instagram :@honokayan
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