胸を張って「女優です」とは、ずっと言えなかった
――女優業は声をかけられて、といった縁でしょうか?
西田「そのころ、モデルに声をかけることが多かった時代だと思うんです。わたしはそのなかのひとりで、オーディションにもたまたま受かったんです。でもすごい大根で、『オイオイ、どうするよ』って感じだったと思いますよ(苦笑)」
――「お芝居が面白いな、軸を移そうかな」と思えた瞬間は?
西田「雑誌に肩書が載りますが、“女優”というだけの肩書は怖くて、ずっと“モデル、女優”にしていました。次第にお芝居のお仕事が増えて、モデルのお仕事ができなくなっていってしまって、卒業のような形になりましたが、それでも『自分は女優です、俳優です』とはなかなか言えない時期がずっとありました。すごく下手で、ずっと模索していました」
――下手というのは、周囲と比較して考えてしまうのですか?
西田「そうですね。周りと比較して、『自分は大根だ~』って。実際、『お前は何でできないんだよ』とも言われてましたし。『大丈夫かな』と不安ばかりでした」
映画の現場で物を作る楽しさを知った
――いつ頃から前向きになれたのでしょう。
西田「映画の現場を体験してからでしょうか。『ひみつの花園』とか『ナビィの恋』ですね。物を作る楽しさや面白さを教えてもらい、そのころから『また次もやりたいな』と思えるようになっていきました」
――『ひみつの花園』も『ナビィの恋』も大好きです! 今回の『青葉家のテーブル』の春子も素敵でした。西田さんはナチュラルな役にも色を感じられてとても素敵ですが、そこにはご自身もにじみ出ているのでしょうか?
西田「にじみ出ていたらいいなとは思います。どの役を演じるときにも、その役に近づこうと思っていますが、やっぱり自分の要素というか、経験したことだったり感じたことが知らず知らずのうちにプラスされていると思うので。いいことも悪いことも含めて、いろんなことを経験したほうが、人間としての深みみたいなものは出るだろうと思います」