同じ地域に暮らす住民たちが親睦を深め、互助活動などを行う自治会や町内会。全国のほとんどの地域にありますが任意団体なので、その土地に住んでいるからといっても加入義務はありません。
ですが、自由意志といっても加入している世帯のほうが多いのも事実。そのため、ほかの住民たちから加入をしつこく迫られるケースも多いようです。
いきなり自治会の役員がやってきた
ドラッグストアでパート店員として働く主婦の杉崎淳子さん(仮名・36歳)は、今から5年前に戸建てマイホームを購入。地方都市の隣町にある住宅地に引っ越します。すると、住み始めてから1か月ほど経ったある日、自治会の役員を名乗る初老の男性と50代くらいの女性の2人が自宅を訪ねてきたといいます。
「その日はパートが休みで家に居たのですが『加入手続きがまだですよね?』といきなり申込用紙を渡され、その場で書くようにうながされました。
この時点でずいぶん強引な方たちだなと内心イラッとしましたが、こんな人たちと付き合わなきゃいけないのかと思うと、流されるまま申込用紙を記入する気にはなれませんでした。そこで『主人と相談しますので』と話し、その場をやり過ごすことにしたんです」
古くからの住民と転入組にすき間
彼女が越してきた地域は古くからの住民が多いそうですが、近年になって宅地開発が進み、3割ほどの世帯はほかの土地から移り住んだ人たち。自分たちと同じ転入組の世帯の自治会加入率は半数程度とそれほど多くなかったとか。
夫には家を訪ねた役員たちの一件を伝えたうえで、「正直、加入を躊躇(ちゅうちょ)している」と自分の気持ちを打ち明けます。
「彼は私の意見を尊重してくれ、『加入しない世帯も多いんだし、孤立することにならないなら無理して入る必要もないよ』と言ってくれ、加入を見送ることにしました。
実は、ウチよりも1年早く引っ越してきたお隣の家も自治会に入っていないんですけど、そこの奥さんは『住んでみて気づいたけど、すごく閉鎖的なところがあるよね』と言ってたのですが、ホントその通りだと感じました。
私たちの住宅が造成されたエリアは、昔からの家がある地域とは通りを隔てた隣のブロック。だから、住民同士の交流もそれほど多くなかったんです」