【山形】出身者がリアルに食べたい!庄内のご当地グルメ20選
庄内の海と大地の恵み
【1】天然岩ガキ
カキは通常寒い時期が旬のイメージですが、庄内では夏の岩ガキが人気です。遊佐町(ゆざまち)の吹浦(ふくら)沖で獲れる天然もので、身はぷっくりと大きく濃厚な味。目の前にそびえる鳥海山から流れ込む伏流水によっておいしく育つといわれています。これを楽しみに待つ人はとても多く、まさに夏の風物詩といえるでしょう。
「道の駅 鳥海 ふらっと」では目の前で手早く殻を剥いてくれるので、ぜひその場で味わってみては?
【2】もだし
周囲を山で囲まれた庄内は山の幸の宝庫でもあります。その中で「もだし」は庄内の人たちにとってなくてはならないきのこ。「もだし」とは「ナラタケ」のことですが、首都圏ではなかなかお目にかかることはないのでなじみのない人も多いかもしれませんね。ヌルッとした食感とシャキシャキ感を併せ持つとてもおいしいきのこです。
季節になると道の駅や直売所などで水煮や塩蔵にしたもだしを買うことができ、納豆汁や味噌汁、大根おろしの和え物などに使われます。筆者の実家ではもだしはお雑煮に欠かせない食材です。
収穫が待ちきれない庄内のとっておきフルーツ
【1】庄内砂丘メロン
夏になるとスーパーや直売所の店頭に並ぶのが「庄内砂丘メロン」。砂丘というと鳥取が有名ですが、じつは庄内にも砂丘があるんです。日本3大砂丘のひとつといわれ、35キロという長さで日本海に面しています。
昼夜の寒暖差が大きいことや水はけがいいことから、庄内砂丘ではメロンの栽培が盛んです。甘みが強く香りのよい「庄内砂丘メロン」は、暑い夏に涼しさを運んでくれる味ですよ。
【2】刈屋梨(かりやのなし)
8月下旬位から出回るのが、酒田市の刈屋地区で100年以上もの間栽培されてきた「刈屋梨」。収穫量が多くないため、ほかの地域ではあまり知られていませんが、甘みたっぷりのみずみずしいおいしさに毎年買いに行くファンも多い庄内の特産品です。
【3】庄内柿
庄内で柿といえば庄内柿。「平核無(ひらたねなし)」という渋柿品種で、焼酎などで渋抜きをしたものを食べます。平らな角型でいわゆる甘柿に比べるとマイルドな甘さです。種がなくて食べやすいので、いくつでも食べてしまうのが難点。
庄内ならではの貴重な「在来作物」
山形県には180種類近くの「在来作物」と呼ばれる作物があります。「在来作物」とは「県内のある地域で世代を超えて、栽培者が自家採種によって栽培を続け、生活に利用してきた作物」のこと。
なかなかピンときませんが、分かりやすいものを挙げれば「だだちゃ豆」でしょうか。ちなみに先に紹介した「庄内柿」や「孟宗筍」も「在来作物」なんです。
【1】だだちゃ豆
今や全国区で知られる 「だだちゃ豆」は、鶴岡市白山(しらやま)地区で作られた「藤十郎だだちゃ」がそのルーツ。鶴岡市でしか栽培されておらず、ちょっとクセのある香りと濃厚な甘みはほかの枝豆とは一味ちがいます。
夏になると地元では「だだちゃ豆のみそ汁」を作る家庭もあるそうですよ。なんと、だだちゃ豆をさやごと入れてみそ汁にするんだとか!一説によるとカニ汁にも似た味わいだそうです。
【2】温海(あつみ)かぶ
庄内で有名な漬物のひとつ「赤かぶ漬け」は、在来作物「温海かぶ」を使った甘酢の漬物。「温海かぶ」は鶴岡市の温海地域で焼畑農法によって栽培されています。
赤いかぶなんてちょっと珍しいですよね。外側は濃いピンク色で中は真っ白ですが、甘酢漬けにすると皮の色が中まで浸透して全体が鮮やかなピンク色になるのが不思議!
ちょっと個性的なローカルフード
【1】夕顔
さて、この大きな野菜。何だと思いますか?
じつはこれ、「夕顔」の実なんです。夏になるとスーパーや直売所にはこの「夕顔」が並びます。庄内ではごく当たり前に食べられている野菜ですが、夕顔の実を食べる地域は全国でも限られているそうです。その巨大な姿。知らない人が見たらびっくりするかもしれません。
夕顔自体にはクセがないため、どんな味付けでも合わせやすいのが特徴。見た目は冬瓜にも似ていますが、食感はプルっとした感じもありまったくの別物です。
家庭では青じそと一緒にしょうゆ味で炒め煮にしたり、味噌汁の具に使ったり、あるいは鶏肉との相性もいいですよ。道の駅や直売所などで見かけたら、ぜひ試しに買ってみてくださいね。
【2】南禅寺豆腐
南禅寺といえば京都でも有名なお寺ですよね。その南禅寺がルーツといわれているのが、庄内の夏の味として知られる「南禅寺豆腐」。お椀のような半球状の形をしており、やわらかい口あたりで、食欲がなくなりがちな夏にぴったりの豆腐です。酒田市の「南禅寺屋」が元祖といわれています。
江戸末期に南禅寺屋の祖先がお伊勢参りに出かけ、途中で病に倒れて京都の南禅寺で養生しました。その際に丸くやわらかな豆腐と出合い、作り方を学んで庄内で「南禅寺豆腐」として売りだしたのだとか⁉︎
意外な繋がりから始まったものが、地元の味として受け継がれているのがおもしろいですね。
【3】水ようかん
水ようかんといえば暑い夏に食べるイメージですが、意外や意外!鶴岡市周辺では冬にこたつに入りながら食べるのが定番なのだそう。見た目もちょっと不思議で、ごく普通のプラスチック容器にそのまま流し込まれているのが衝撃的でした。
かなり量があるように見えますが、サッパリとした口当たりで、案外ペロリといけちゃいます。素朴な味で何度も食べたくなるおやつです。
【4】胡麻豆腐
胡麻豆腐といえば、イメージするのは甘味噌ダレやわさび醤油でしょうか?でも庄内で胡麻豆腐といえば「あんかけ」なんです。
しょうゆベースの甘いあんかけは、モチっとした胡麻豆腐とよく絡んで相性はバッチリです。スーパーのお惣菜コーナーでも売っているので、ぜひ一度お試しください。
【5】笹巻き
もち米を笹の葉で巻いたちまきのことを庄内では「笹巻き」と呼びます。春になると食べたくなる伝統食のひとつ。地域によって巻き方や食べ方は少しずつちがいますが、大体は「きな粉+砂糖」や「きな粉+黒蜜」で食べることが多いようです。
おもしろいのは同じ庄内で、味も食感もまったくちがう2種類の笹巻きがあること。ひとつは笹に巻いたもち米を熱湯で茹でたもの。こちらは白くごはんの粒々感が残っており、もっちりとした食感です。かたや鶴岡市南部で作られる灰汁(あく)の上澄みで煮た笹巻きは、中が黄色くプルプルとした仕上がりなのです。
筆者はつい最近まで白い笹巻きしか知らなかったので、黄色い笹巻きを初めて食べたときはかなり衝撃的でした。
おわりに
その土地ならではの食べものとの出合いは、旅の大きな楽しみのひとつですよね。
山形は同じ県内でも地域によって食文化がまったくちがい、お互いのローカルフードをTVを通じて初めて知った、なんていうことも珍しくありません。裏を返せば、それだけ多様な食文化が根付いているということなのかも?
長い間受け継がれてきた味は、その土地の歴史や文化そのもの。本記事で紹介したローカルフードは、季節ごとに地元のスーパーや直売所で手に入れられるものがほとんどなので、ぜひ庄内ならではの味を探してみてくださいね。