質問されたことについて、素直に答えるのは時として損をしてしまう場合もあります。相手が本当に知りたい“意図”を読み取って、円滑なコミュニケーションを進めていきましょう。

相手にとって、その質問が本当に聞きたい内容だとは限らないということ

人間関係というのは非常に難しいもの。とくにコミュニケーションの取り方は、人それぞれに違っています。頭の良い人ほど本当に聞きたい内容をそのまま質問するのではなく、気を使い答えやすい質問に変えて聞いてくることもあります。その優しさに気が付かないことで、自分が損をしてしまうことも。

例えば、みなさんは下記の状況になったとき、どう答えていますか?

ある日Aさんが担当しているプロジェクトの進行が少し遅れていました。そんなとき上司はある質問を投げかけました。

上司「このプロジェクトどう?順調?」

自分「はい、順調です」

一瞬なにも問題がない会話だと思いますが、上司が一番知りたかった、「なぜ遅れているのか?」といった問いへの答えがこの中には含まれていません。上司が素直に「遅れているけどどうして?」と率直に答えれば良いのかも知れませんが、このように直接的な質問をしてしまうと「説教されている」「プレッシャーをかけられている」というように思ってしまうかも……と気を使っているのです。

「YES」と「NO」で答えるのはとても単純明確ですが、業務スケジュールに遅れが生じている理由がわかれば、さらにスピードを上げることができるかもしれない。こういった質問に関しては、なぜ上司はこの質問をしたのか? を察することが大切です。

自分「はい、問題ありません。〇日に行った会議で一部にスケジュールの変更がありましたので、〇日に配布された新しいスケジュールに沿って進行しています。」

このように具体的な理由を述べることによって、上司に共有できていなかった事柄が明確になることもあります。また、自分都合で進行が遅れている場合にも、アドバイスをもらえるきっかけとなるかもしれません。上司が気にかけてくれているときは、なるべく積極的に現状の共有を行うようにしましょう。

質問されたことに対してそのまま返すは危険なことも

社内の人・社外の人とのやり取りなど、立場によって返答が異なる場合もあります。いくら仲が良い・お世話になっている人であれど、距離が近すぎることはある意味危険なことでもあるのです。

例えば……

A社「うちは、業界的に厳しいから毎日大変だけど、御社は好調そうですね?」
自分「いやいや、そんなことはないですよ。実はうちも業績が悪く、私の給与も大幅に下がってしまいまして……」

「いややそんなことない」で留めて置けば良いものの、給与が下がったという情報は具体的すぎます。お金の話はとくにデリケート。A社の方がまずなぜ業績を聞いてきたのか? その理由は様々です。例えば、他に付き合いがある会社と自分の会社、どちらに今後の依頼をお願いをしようか、と検討している可能性もあります。もう一つの会社の方にも同じ質問をして「おかげさまで」と答えられたら、「こちらの方が業界的に勢いがあるのかな」と錯覚してしまいますよね。

世間話のような軽い会話ほど、裏に真意が隠されているかもしれません。
このように、あえて自分たちの会社を“厳しい”と表現して、相手の会社の業績を読み取ろうと質問をしてくることはビジネスシーンではよくあります。何も考えずそのまま答え続けていると、自分だけではなく会社にも悪影響を及ぼす危険があるのです。注意しましょう。