ドラマ・映画と幅広く活躍する俳優の磯村勇斗さん(28)が、7月30日(金)に放送がスタートされたWOWOWオリジナルドラマ「演じ屋」に、女優の奈緒さんとともにダブル主演を果たします。依頼された役になりきる職業=演じ屋が、演じることで人々の心は救えるのかという斬新な設定の物語で、「社会問題に立ち向かっているところがこのドラマの魅力」と、すべてを失い、演じ屋に巻き込まれながらも魅了されていく主人公トモキ役の磯村さんは語ります。
その放送を記念して、磯村さんにインタビューを実施しました。社会派のテーマも扱う「演じ屋」というドラマに参加して得た学びをはじめ、視聴者の反響を集めた「情熱大陸」で吐露した俳優業への悩みは、現在はどう変化したのか。「俳優という仕事にゴールはないし、正解もないと思うんです」と語る若手実力派に、さまざまなお話をうかがいました。
社会問題に切り込む作品の魅力
――演じ屋という設定が斬新で面白いドラマですよね。主演が決まった時、どこに魅力を感じましたか?
磯村勇斗(以下、磯村):おっしゃるように演じ屋という題材が新しくて、面白いなと僕自身もまず最初に思いました。それから台本を読み、演じ屋が何と戦っているのかを考えた時に、社会に紛れている闇の部分、普段見えないものと戦っている点がいいなと思いました。社会問題に立ち向かっているところがこのドラマの魅力だと思います。
またそこに登場人物各々の家族問題が重なっていく、いわゆる自分の居場所みたいなものを見つけるドラマになっていたので、台本を読んだ時点でものすごく好奇心がそそられました。
――もともとこういう社会的なテーマに関心があったのですか?
磯村:そうですね。社会的なことに関しては、だいぶ前から関心があったので調べたりもしていました。以前、自分で映画を監督をした際にも社会問題をテーマにしていたので、このタイミングで今回「演じ屋」のお話をいただけたのはよかったです。
――いくつかのテーマもありますが、ご自身が一番視聴者に推したいテーマは何でしょうか?
磯村:いろいろあるのですが、見捨てない心、諦めないことですかね。彼トモキも死のうと思っていたところを、アイカ(奈緒)に助けてもらうんです。人がどこか一歩踏み外してしまいそうな時に手を差し伸べてくれる救いみたいなものが、演じ屋という疑似家族を通して届くのではないでしょうか。しっかりと問題に向き合うということ、目をそらさないということが大事だなと思いました。
磯村勇斗が考える『居場所』
――以前のコメントで「僕自身も今の『居場所』はどこなのかを考えてしまいました」と言われていましたが、何か答えは見つかりましたか?
磯村:最近思うのは俳優という仕事はとても孤独で、特にこういうご時世なので、ファンのみなさんの声が分かりやすく届かないんですよね。舞台挨拶をしても無観客で、そういうことが続くと、なかなか直に言葉が聞けないんです。そう考えた時、自分の居場所というものは、どこかの誰かの心の中にあればいいのかなと思うようになり、役や作品をずっと好きになっていてくれたら、それが自分の居場所なのかなと。目に見えるものではないけれど、しっかりと見てくださった人の心に刻まれる俳優でいたいと思うんです。それこそが居場所だろうと。
――それで孤独な感情も解消されるのでしょうか?
磯村:解消はされないかもしれないです。でも俳優って、ずっと孤独なものだと思うんです。役と向きあっている時はひとりなので、それを少し和らげることができるみたいことはあると思う。今は孤独だけれど、ちゃんと作品という居場所があるなら、少し孤独が和らぐのではないかと思います。
――磯村さんと言うと最近でも話題になったドラマ『珈琲いかがでしょう』や、映画『東京リベンジャーズ』、劇場版『きのう何食べた?』など、毎回違う役柄も注目だと思いますが、毎回挑戦でしょうか?
磯村:そうですね。どの役も絶対同じということはあり得ないので、その都度いただいた役に一生懸命向かい合って生きるということを大事にしています。