大地に響く伝統芸能「農楽」

ケンガリ(小鉦)・チン(銅鑼)・チャンゴ(杖鼓)・プッ(太鼓)などの打楽器やテピョンソ(ラッパ)を鳴らしながら楽しく踊り、練り歩く農楽(ノンアッ)。農民たちが豊作を祈願したり、収穫を祝ったり、時には仕事の疲れを癒すなど、朝鮮半島の人々の生活と深く関わりながら発展してきた伝統芸能です。地域や目的に従い、クッ・メグ・風物(プンムル)・プンジャン・トゥレ・コルクンなど多様な名前で呼ばれています。

農楽という言葉は、文字通り「農民の音楽」や「農業をするときに使用する音楽」という意味です。世界的にも知られているサムルノリは、農楽を元にしてできた新しい現代音楽で、あの激しいビートは、農楽なくしては生まれませんでした。

基本構成

基本的に野外で行なわれることが多い農楽ですが、芸能として劇場内で行なわれることもあります。サムルノリとの大きな違いとして観客参加や、雑色(チャッセッ)と呼ばれる道化の役割をする人の存在があげられます。

ココをチェック!

1.飛んで・走って・回って?!

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

農楽のおもしろいところは、動きにあります。立ちながらの演奏形態であるため、歩いたり、走ったり、飛んだり、跳ねたりと大忙し。陣形を組みながら、全員が動きをあわせたかと思うと、またバラバラで動きはじめます。陣形を組みながらの動きは、上から見ると花が開いたり・閉じたりするようにも見え、近くで見るのはもちろんですが、動きを楽しみたい人は、高いところに登って見るのもオススメです。

2.あなたたちは、だあれ?

農楽の後列には、演奏を盛り上げる雑色(チャッセッ)と呼ばれる人たちがいます。楽器を持たずに、それぞれが扮装し、その人物を演じます。代表的なものとしては、昔の貴族階級である両班(ヤンバン)や鉄砲手(テポス)と呼ばれる猟銃を手に持った猟師などがあります。この雑色も地域によって異なるので、要チェックです。

3.観客は見てるだけ?NO!

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

人々の生活から生まれたこともあり、人が楽しんでこその農楽。「私は踊れないよ~」、「伝統芸能とか習ったことがないし…」。いやいや、そんなことは誰も気にしない!形などは関係なく、自分の気のむくままに踊るのが朝鮮半島流。見てるだけ~は卒業して、あなたも一緒に楽しみましょう!

農楽の使用楽器とそこに秘められたヒミツ

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

プンムルの楽器はもともと、神を呼びいれ、雑鬼を追い出すための楽器であったため、人々の精神をたかぶらせる呪術的な機能を持っているといわれています。また、自然との関係は深く、主な楽器である、ケンガリ・チン・チャンゴ・プッは自然に関する音や形を表しています。

ケンガリ

ケンケケ ケンケケ。全体をリードする 音は空に轟くような雷を、形は星を表す小さいドラ。甲高く鋭い音は、まさしく雷の音に類似しています。全体を指揮し、音や動きなどにメリハリをつけるリード楽器。左手に楽器を持ち、右手に木製のバチを持って強弱をつけながら演奏します。

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

チン

ボーンボーン。包み込むように鳴り響く 音は静かな場所に吹き抜ける風を、形は太陽を表す金属製のドラ。低く余韻の長い音が魅力。リズムのポイントだけを叩くので一見、簡単そうに見えますが、実は他の楽器の音を包み込む重要な役割を担っています。農楽では、左手に楽器を持ち、右手にバチを持って演奏します。

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

チャンゴ(チャング)

ドンタタクタクン。細かいリズムをきざむ 音は空からしとしと降る雨を、形は人を表す打楽器。木をくりぬいた砂時計型の筒の両面に馬や牛などの動物の皮を張った太鼓。左側はバチを使用せず、素手で叩かれることもあります。2つのバチを使用する独特なもので農楽では、紐で体に固定して演奏します。

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

プッ

ドンドンドンドン。大地を揺らす 音はもくもくと湧き上がる雲を、形は月を表す太鼓。演奏全体における基本のリズムを叩きます。基本のリズムを叩くことによって全体の音を和らげる役割も担っています。農楽では、紐を肩から吊るし骨盤付近で固定して演奏します。

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

ソゴ

トントントントン。コンパクトでクルクルまわる 直径約20cmの小太鼓。小さな太鼓で手に持って叩きます。農楽では、一般的に列の後方で回りながらなど身軽に演奏し、音を出すよりも雰囲気を盛り上げる役割を担っています。

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

テピョンソ

ピリリーリリ。お?どこかで聞いたような 日本のチャルメラによく似た管楽器。管にリードをさして吹く楽器で、高く強烈な音色です。昔は軍隊の勝利を知らせる楽器としても使われていました。農楽では、リズムにあわせて民謡などを吹いたりもします

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

農楽に欠かせない小道具・技芸

サンモ

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

白色の紐がきれいな円を描く 白く細長い紐のついた帽子。首を使って回しているように見えますが、膝の屈伸を利用して回しています。左右交互に回したり、仲間とあわせて回すなど様々な技があります。

ヨルトゥバル(キンサンモ)

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

そんなに長いのに回せるの? サンモよりも長い紐がついた帽子。ヨルトゥバルという名前は、韓国語で数字の12をヨルトゥルと言いますが、紐が両手を広げた長さの12倍になるということに由来しています。

ボナ

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

あんなもの、こんなものも回します 先が尖った、長さ約30cmの木であらゆるものを回す技術。ボナ(皿回し)で主に回すものとして、円盤型のようなチェッペギや白磁の茶碗などがあります。

ソウルおよび近郊で公演の演目に「農楽」が盛り込まれているスポット

韓国に来たら、本場の農楽を聞いてみませんか?ソウル市内や地方で農楽を楽しめるオススメのスポットをご紹介します。

韓国民俗村

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

なかなか野外では見ることのない農楽が、韓国民俗村では野外公演場で毎日11:00、15:00に繰り広げられます。

貞洞劇場

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

貞洞劇場は韓国古典の名作を土台に、伝統舞踊や様々な伝統楽器の演奏が目白押しの公演。演目は毎年異なりますが、農楽が登場することもあります。

国立国楽院 土曜名品公演

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

伝統的なパンソリや民俗舞踊だけでなく、現代人にも馴染みやすい創作音楽など幅広いプログラムを週代わりで楽しめる!

地方で行なわれるお祭りでは、農楽はつきもの!

その土地ごとに根付いている農楽や、様々な芸が競われる大会を楽しんでみたい人にはコチラ!

安東国際タルチュムフェスティバル

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

毎年9月末頃から1週間ほど安東(アンドン)で行なわれる、仮面踊りの安東国際タルチュムフェスティバル。地方の農楽が一堂に会した競演大会が行なわれることも。

安城男寺党バウドギ祭り

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

韓国の重要無形文化財である男寺党(ナムサダン)。新羅時代以降、朝鮮半島各地を旅し、大衆に娯楽を提供した流浪芸人集団です。現在でも受け継がれている演技の中でも、オルム(綱渡り)やトッペギ(仮面劇)などが有名です。

男寺党の誕生の地である、京畿道安城(アンソン)市で毎年9月頃に開催されるフェスティバル。風物競演大会は、子どもから大人までが出場し、大統領賞を目指して互いの実力を競います。

その他の祭り

仁川富平風物(インチョンプピョンプンムル)大祭り 毎年5月末頃仁川(インチョン)市で開催。伝統芸能の体験や、全国各地からの農楽隊が大集結! ホームページ:bpf.or.kr(韓・日・英・中) 全州大私習(チョンジュデサスップ)ノリ 毎年6月頃全州(チョンジュ)市で開催され、農楽部門では国務総理賞を競います。 ホームページ:jjdss.or.kr(韓国語)

みんなが一緒に楽しむ、それが農楽

農楽(ノンアッ)・風物(プンムル)
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

農村の都市化や過疎化、サムルノリの流行によって、時代とともに変化を続けている農楽。しかし、時代は変わっても受け継がれているものは、「演奏者も観客も、みんなで一緒に楽しむ」という精神です。

演じ手が演奏によって心をあわせ、彼らが作った空間に観客も参加し、人間同士の一体感が生まれる伝統芸能、農楽。地方によって異なるスタイル、楽器たちが奏でる3拍子の独特のリズムを1度聴いたら、虜になってしまうことでしょう。

提供・韓国旅行コネスト

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