「今は働く日数・時間が限られるからパートで働きたいけど、ゆくゆくは正社員として働きたい!」
「今の職場でもっと長く働きたい、正社員になりたい」
子どもの成長とともに時間に余裕が出てきて、ゆくゆく正社員になてもっと働きたい!と考えている方も多いのではないでしょうか。
そんな希望がある方におすすめしたい、社員登用制度。求人情報にも「社員登用あり」の文言をよく見かけますよね。
今回は、社員登用制度についてくわしくご紹介していきます!
社員登用制度とは?
まず、社員登用制度とは?実態と仕組みを確認しておきましょう!
社員登用制度とは、パートやアルバイト、派遣社員、契約社員などの非正規雇用から、正社員に雇用形態を変更して働くことができる制度のことです。
ただし「〇年働いたら正社員になれる」という制度ではありません。
社員登用試験に合格することで正社員になることができるという制度なので、自発的に「社員登用を希望したい」と希望しなくてはいけません。
•社員登用制度を設けている会社/設けていない会社もあります
厚生労働省の調査によると、非正規雇用者を正社員として登用する「社員登用制度」を設けている企業は73%。
社員登用制度はすべての企業にあるわけではありません。
制度を設けている場合、求人情報や企業ホームページの採用情報に記載をされていることがほとんどなので、これからお仕事を探す場合は必ず求人情報を確認するようにしましょう。
•社員登用制度=正社員登用ではない場合も
また、もし社員登用制度があっても企業によって内容も異なります。
たとえば、パート・アルバイトから契約社員になることができる場合でも、社員登用制度としている企業もあるためです。
制度を利用して正社員を目指す場合は、採用選考中に確認をしておくことをおすすめします。
•社員登用されるための選考方法も企業により様々
正社員になるための選考方法も企業によりさまざま!
部長等からの推薦をもらって人事面接を経て社員登用される企業もあれば、書類選考や筆記試験など採用選考試験を設けている企業もあります。
また、パート・アルバイトとして働く人のうち「正社員として活躍できる実力がある」「無期雇用でずっと働いてほしい」と認められた場合、会社から正社員にならないかと持ち掛けられるケースも珍しくありません。
学生アルバイトでも、就職活動の時期に正社員にならないかと声を掛けられてそのまま正社員として就職した、という声もありますよね。
•同じ会社で社員登用制度を利用したい場合、まず相談を
今働いている会社でキャリアアップのために社員登用制度を利用したいと思っている方は、まずは上司や人事に相談してみましょう。
社員登用試験を受けるための案内をしてもらえます。
正社員登用を利用するメリット・デメリット
「でも、ゆくゆく正社員に!なんて言ってないで、最初から社員の求人に応募して働いた方が良いのでは…?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
社員登用制度を利用するからこそのメリットや、反対に、注意しておいたほうがいいところはあるのでしょうか?
•社員登用制度を利用するメリット
正社員登用制度の一番の魅力は、正社員として働く前に会社のことを知る機会が持てること!
企業文化や組織の仕組み、業務内容、人間関係など会社の実情を時間をかけて知ることができます。
•仕事を覚えやすい
また、仕事を覚えやすいという面もあります。
正社員は即戦力採用であることが多いため、いくら未経験歓迎の求人でも、研修が終わったらすぐにひとり立ちをすることが求められます。
転職をしてすぐは、自分の仕事だけではなく、周りの社員の名前を覚えたり、どんな仕事をしているか、所属のチームや部署、会社全体の動き、グループ会社全体はどんなことをしているか…など、とにかく最初に覚えることがたくさん!
パート・アルバイトとして任される仕事は、ほとんどがルーティンワーク(定型業務)です。
まずは決まっている業務を確実に覚え、組織や仕事の流れになじんでからでれば、人間関係や周りの環境はそのままに正社員として仕事の幅を広げることができます。無理なくステップアップをすることができるのです。
•働き続けることもできる
もし、正社員登用制度に応募して不採用になってしまっても、そのままパート・アルバイトとして働き続けることができるので次の機会にチャレンジすることも可能です。
他社に転職を考えている場合でも、パートから他社に正社員として転職をするより、自社で正社員になってから他社に転職する形をとると転職の成功率も上がってきます。
転職の場合、失敗したら職を失ってしまうこともありますが、社員登用であれば石橋を叩きながらキャリアアップしていきたい人にもおすすめなのです。
•採用されやすい傾向がある
また、なによりもパート・アルバイトとして勤務している実績により、一般的な就職活動に比べて社員として採用されやすい傾向があります。
パート・アルバイトから正社員求人に転職しようとする場合、スキルや経験の面で正社員転職者と比較され不利になることがあります。
その点、業務内容を理解し必要なスキルを身に着けていれば、転職者を採用するよりも即戦力として期待できるため採用されやすくなるのです。
•社員登用制度を利用するときの注意点
では、社員登用制度を利用するときの注意点はあるでしょうか。
「社員登用あり」と求人情報や採用ホームページに掲載していても、実は社員登用の実績がない会社もあります。
また、社員登用のハードルがとても高く、頑張ってもなかなか報われない会社も存在します。
制度があるから、と期待して入社したのに利用ができなかったとなれば残念な結果になってしまいますよね。
社員登用の実績はあるか、社員登用制度を利用するための条件があるか、あらかじめ確認しておくことがおすすめです。
また、派遣社員として就業している派遣先で「社員にならない?」と声を掛けられることもあるでしょう。
その場合、必ず派遣元会社に連絡・相談することが必要です。
派遣契約期間中に派遣先会社と雇用契約を結ぶことは契約違反になり、違約金を請求される場合もあります。
トラブルを防ぐためも、派遣期間中は必ず派遣会社に相談を入れ、社員登用に応じるとしたら派遣の契約期間が終了してからにしましょう。
パート・アルバイトから正社員になるメリット・デメリット
パート・アルバイトから正社員になるメリット、デメリットも確認しておきましょう!
「正社員になって収入は増えたけど、続けられない」という声もあれば、いざ正社員になってから「思っていたのと違った」という後悔の声も、多く聞こえてきます。
それは、収入以外のメリットやデメリットを検討せずに”正社員になろう”とゴールを決めてしまうから、のように思います。
後悔のないキャリアアップになるように、それぞれの良し悪しを確認して選んでいきましょう!
•正社員として働くメリット
パート・アルバイトから正社員になる何よりのメリットは安定感です。
・収入が安定する
・社会保険や雇用保険加入など、福利厚生が受けられる
・解雇されにくい
・社会的な信用がある
というメリットがあります。
・収入が安定する
正社員として働く場合、多くの企業では月給制(毎月の基本給)が決められています。
パート・アルバイトは時給制なので、シフトには入れる日数や時間が変わればその月の収入に影響が出ますよね。
カレンダー通り営業する企業に勤めていれば年末年始や夏休み、ゴールデンウィークがある月には出勤日が減り、収入が減ってしまいます。
正社員はその点収入が安定します。
また、パート・アルバイトでは何年働いても時給はほぼ上がりません。
正社員も年功序列制度はほぼ見なくなってきましたが、勤続年数やキャリアにより給与が増える傾向があります。
評価制度やボーナス、インセンティブ制度、退職金などで収入が増えることもあります。
厚生年金保険に加入できれば老後に受け取れる年金額にも期待できます。
・社会保険や雇用保険など、福利厚生が受けられる
社会保険や雇用保険はパート・アルバイトでも条件を満たしていれば加入することができますが、保険料は労使折半(会社と労働者が半々で金額を支払う)ことになっているため、企業によってはパート・アルバイトはギリギリ加入しない範囲までで就業時間を調整することもあります。
保険のほかにも、住宅手当、家族扶養手当、慶弔手当、予防接種や健康診断など、正社員のみが対象になっている福利厚生を受けられる場合もあります。
・解雇されにくい
派遣社員や契約社員は有期雇用で契約となっているため、契約期間が満了したら働き続けることができません。
その点、正社員は無期雇用契約なので、契約終了を考えずに長期視点で働くことができます。
また、日本の法律では無期雇用労働者が解雇されにくくなっています。横領や法律違反などよほどのことがない限り、即時解雇とはなりません。
・社会的信用が高まる
正社員は給料が安定しているため、社会的信用が高い傾向があります。
たとえば、賃貸を借りるときにもパート・アルバイトより審査が通りやすかったり、クレジットカードやローンの審査が通りやすくなります。
また、上記の4点以外にも、やりがいのある仕事を任せてもらえたり、仕事の範囲が広がって知識や経験が増えるという良い面もあります。
•正社員として働くデメリット
「デメリット」というほどではないかもしれませんが、人によっては正社員で働くことに不都合がある場合もあります。
たとえば、
・異動や転勤がある
・残業や休日出勤がある
・責任が増える
・年収次第では損になることもある
という面があります。
・異動や転勤がある
そもそも支社等がなく転勤がなかったり、地域限定社員や一般社員になれる場合は除きますが、
全国規模の大企業の場合は、正社員であれば異動や転勤になる可能性があります。
金融業界などでは不正防止等のために一定期間で店舗やエリアを変わることもありますよね。
転勤は出費もかかりますし、子どもの生活にも大きくかかわります。
また、正社員は希望する仕事にずっと取り組める可能性はあまり高くありません。
会社の中で人手が足りない部署があれば異動もあり得ますし、慣れた仕事をずっと続けたり、苦手な仕事を断ることもできません。
・残業や休日出勤がある
社員は週5日、1日7~8時間勤務と、長く会社に拘束されることになります。
人員不足の日や、トラブルが起こった場合は休日出勤をする場合も。
また、パート・アルバイトが帰ってお店を閉めてからシフト作成や入金管理をすることもあり、残業が多くなることもあります。
有給休暇を取得しずらくなった、遅刻や早退の相談がしにくくなったという声もあります。
・責任が増える
パート・アルバイトをとりまとめる立場となることが多く、目標やノルマがあったり、部下のマネジメントが増えたり、仕事内容や責任も増えます。
自分の失敗を自分で解決できるのはやりがいもありますが、やはり多くの場合、仕事が増えて責任が重くなったのでストレスも増えた、という声も聞こえます。
反対に「雑務が増える」という声もあります。電話対応をしたり、会議が増えたり、実務をしている時間が減ってしまうこともあるようです。
・年収次第では損になることもある
オフィスワークや販売・接客業などではあまり影響がないのですが、専門性の高い業務の場合、派遣やフリーランスで働いたほうが収入が多いこともあります。
そのような場合、正社員になって責任が増えただけで収入は減ってしまった、ということもあります。
上記のメリット・デメリットを知り、自分の希望する働き方と合うか?を考えてからお仕事を探すようにするといいですよ。
正社員に登用されるための準備をしよう!
では、正社員として登用されるために今からできることを確認していきましょう!
パート・アルバイトで働いている職場で正社員になろうとする場合、
正社員登用制度があっても、登用してもらえるかは上司や周りの社員、人事などの評価がとても大きく影響してきます。
どんな人が、正社員に登用されやすいのでしょうか?
•パートから正社員に登用されやすい人
重要なのは「正社員になっても活躍してくれそうだ」と周りに思ってもらえることです。
以下の3つのポイントに気を付けてお仕事に取り組みましょう!
•1.主体的に仕事をする
まず、まじめに働くことは第一です。
担当している仕事に手を抜かない、ミスをしないことをまずはこころがけましょう。
もしミスをしてしまっても、社員に解決を任せっぱなしにせず、なぜミスをしてしまったか、次同じミスをしないためにはどうしたらいいかを考え、報告ができると仕事への姿勢を評価してもらえることもります。
また、周りの動きをよく見て先回りをして仕事をすることも必要です。
人手が足りていないところがあれば積極的に手伝うようにして、仕事の幅を広げておくことものちのち役立ちます。
業務上知りえた情報を外部に漏らさない、不平不満を口にして人の事ばかりをきにしない、企業の顔をして責任のある言動がとれるといった点も重視されます。
責任感をもって仕事に取組み、安心して仕事を任せられると思ってもらえるように取り組みましょう。
これらができると「仕事に積極的に取り組んでくれる、信頼できる人だ」と思ってもらえるようになります。
•2.コミュニケーションを積極的にとる
一緒に働く人や、他部署の人なども含めて、積極的にコミュニケーションをとりましょう!
接客・サービス業であればお客様から「〇〇さんは今日はいないんですか?」と言われるくらい顔と名前を覚えてもらったり、
社員同士で「〇〇部の●●さんね!」とすぐわかってもらえるよう、様々な人と関わっておきましょう。
また、仕事の報告・連絡・相談の腕を磨いておくのもおすすめです。
忙しい社員や上司は、要点がまとまっていてわかりやすく報告・連絡・相談をしてくれる部下に対して好印象をもつことが多くあります。
正社員として働くようになると、社外の人と関わったり、部下を持ったり、パート・アルバイトをとりまとめたり、コミュニケーションを円滑にとれることは必要不可欠です。
正社員になって週5日・フルタイムで働いてもらうとしたら、周りの社員やパート・アルバイトから応援してもらえるか?ネガティブな声が出ないか?というところは上司もとても気にするところです。
•3.会社への貢献を意識する
会社はボランティア団体でもなければ、サークル活動でもありません。仕事をして、お金を稼いで、そのお金で自分たちのお給料が支払われます。
どんな仕事をして、どんな影響を周りに与えることができると、会社に良い効果をもたらすことができるのか、考えながら働いてみましょう。
パート・アルバイトの立場から会社への貢献をする!ということはなかなか機会が訪れにくいものですが
シフトに協力したり、より働きやすくするための改善案を出したり、売上が上がるようアイデアを出すなど、できることは意外とありますよ。
正社員を採用するということは、保険料を払ったりお給料を払ったり、パート・アルバイトの雇用にくらべてお金がとてもかかります。
採用する側は、高いお金を払ってでも採用する対価があるだろうか、を考えています。
どんな仕事でも任せられて、ずっと会社にいてほしい!と思ってもらえるような存在を目指すことで、社員登用される確率もぐっと上がるはずです。
パート・アルバイトから正社員登用されやすい仕事は?
では、これからお仕事を探す場合、どんなお仕事なら正社員登用されやすいのか?が気になります。
パート・アルバイトを経て正社員になりやすいお仕事はどんな職種でしょうか。
厚生労働省の調査によると、登用制度の有無を問わず、過去1年間で正社員登用をした割合が多いのは、以下の業界です。
・医療、福祉業界…60%
・不動産、物品賃貸…53%
・製造…52%
また、同調査で「今後正社員登用制度を積極的に活用したい」と考える企業のうち
・医療、福祉…78%
・宿泊業…73%
・飲食サービス…73%
・生活関連サービス…72%
と高い数値になっています。
これらの業界を選ぶと、正社員になりやすいといえそうです。
参考:厚生労働省 労働経済動向調査 2020年2月の概況
社員登用の選考試験、志望動機はどう書く?
社員登用の選考試験においても少し触れておきます。
冒頭でもご紹介したとおり、社員登用の選考試験は企業によって様々です。
書類審査や筆記試験、面接など採用選考を行うところもあれば、人事や上司との面談だけで選考されるケースもあります。
もし周りにパート・アルバイトから社員に登用されている人がいたら、話を聞いておくといいですよ。
事前に選考フローを確認しておけば準備もできるので、社員登用制度を利用したい場合はできるだけ早めに上司や人事に相談しておくことをおすすめします。
•志望動機の書き方
面接や書類選考がある場合、よく志望動機を聞かれます。
すでにパート・アルバイトとして働いていて正社員登用制度を利用する場合、働く側としては「収入が安定するから」と頭をよぎるのですが、会社が聞きたい志望動機はそうではありません。
すでにパート・アルバイトとして勤めている実務上の体験を踏まえながら、以下のポイントを書くと良いでしょう。
・職場での現在の役割、仕事
・社員登用試験を受けようとする理由
・今後どのような仕事をしたいか、働いていきたいか
・正社員として働くことへの意気込み
できるだけ経験を活かし、即戦力になれる人材であることをアピールしましょう。
具体的な数字(金額や達成した数字など)を入れて説明ができると相手も理解しやすくなります。
また、応募書類の提出(履歴書など)を求められることもあります。
写真は基本的にスーツ、またはオフィスカジュアルでしっかりした印象を持ってもらえるようにしましょう。
•面接で聞かれやすいこと
・パート・アルバイトではなく、正社員として働きたい理由 ・正社員としてどんな仕事がしたいか
・正社員になると、現在とどのような違いがあると思うか
・正社員でないとできない仕事はどのようなものがあると思うか
また、正社員になるにあたっての不安や疑問点を聞かれることもあるようです。
ほかにも、通常の採用面接と同様に、過去の職歴や自己PR、強みや弱みなど面接の定番の質問を聞かれることも多いようです。
まずは箇条書きでもいいので正社員として働きたい理由を書き出し、自分の経験やスキル、考えを見直してみましょう。
まとめ
今回は、社員登用制度についてご紹介しました。
パートから社員になりたい!と考えるなら、知っておきたい「社員登用制度」。どの職場でも社員登用を行っているわけではありません。
パート・アルバイトからお仕事を覚え始めると、仕事を覚えやすかったり、職場の環境や仕事の流れを知った上で正社員になるかどうかを考えることができます。
今すぐにはフルタイムで働けない…という方も、まずはパートからお仕事をして、時間や環境が許す状況になったらキャリアアップをするという道を選ぶこともできます。
いずれその道を選べるようにしておくためにも、パートとして働いている間は以下の点に留意してお仕事をしてみることをおすすめします。
・主体的に仕事をすること
・コミュニケーションを積極的にとること
・会社への貢献を意識して仕事に取り組むこと
「〇〇さんが社員として長く働いてくれるなら心強い!」と思ってくれる人が多いほど、チャンスは増えるものです。
いつかの選択肢を増やすためにも、ぜひチャレンジしてみましょう!
提供・しゅふJOBナビ
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