独特の風味が特徴 古くから伝わる健康食品
テンジャン(味噌)は、コチュジャン(唐辛子味噌)、カンジャン(醤油)と並び、韓国料理に欠かせない調味料の1つ。テンは「固い」、ジャンは伝統調味料の総称である「醤(ジャン)」を意味します。
大豆の粒が残るように粗めにつぶした見た目、若干くせのある独特のにおいが特徴で、沸騰すると香りが飛ぶとされる日本の味噌と違い、煮立てるほどに風味が強調されると言われています。
古くから重要なたんぱく源として食べられ、近年では抗がん作用など様々な効果が期待されている健康食品です。
テンジャンの製造手法と仕込みの時期
正確な歴史は分かっていませんが、中国の歴史書『三国志』の「東夷(とうい)伝」には、高句麗の醸造文化を称える記載があることから、三国時代(4世紀~7世紀中葉)には既にテンジャンが食べられていたと推定されています。韓国のテンジャン製造法は、大きく分けて、在来式(チェレシッ)と改良式(ケリャンシッ)の2つに分かれます。
伝統手法として知られるのが在来式で、自然発酵させた豆麹に塩水を加え一定期間漬けた後、豆麹のみをハンアリ(伝統甕)に移し、さらに熟成させて作ります。このとき豆麹が漬かっていた塩水はカンジャンとなります。
一方、改良式は、テンジャンとカンジャンが平行して出来る在来式と違い、最初からテンジャンのみを作る方法。豆麹に塩水を加えて混ぜ合わせたものを熟成させます。
日本でも寒仕込み味噌は味が良いとされますが、韓国のテンジャン作りも冬場が適期。中でも豆麹と塩水を合わせる仕込み作業は、昔から旧暦1月15日のテボルムの頃に行なうと美味しいジャンが出来上がると言われてきました。
伝統テンジャンは、表面に微細な空気穴を持つことから「息をする器」の別名をもつハンアリに仕込まれます。気温が上がり、ハンアリ内の発酵が進む日中は甕のふちまで盛り上がり、日没後はすっと下に沈んでいくテンジャン。季節の移ろう中で、ハンアリの中のテンジャンは上下運動を繰り返し、熟成に熟成を重ねていきます。
韓国味噌、テンジャンの種類
現在、大型スーパーなどで市販されているテンジャンには、「在来式」と書かれた伝統テンジャン、調味済みのチゲ専用テンジャン、大豆の代わりに麦(ポリ)で作ったポリテンジャンなどがあります。
また、テンジャンは原料や製法により実に多様な種類があると言われ、地方によってもその土地ならではのテンジャンが存在します。
最もポピュラーな韓国家庭料理のひとつでオモニの手料理的なもの。食堂での美味しい韓国料理の定番メニューとしても人気。韓国焼肉店でも、サイドメニューやサービスメニューとして良く出されます。
テンジャンビビンバ
テンジャンチゲをご飯にかけて食べるテンジャンビビンバ。コチュジャンではなく、お店ごとに工夫をこらしたテンジャンチゲもしくは合わせて味噌を入れて頂きます。味噌の香ばしさを味わる一品で、専門店もあります。
ジャンカルグクス
小麦粉を原料とする平麺を使った温かい麺料理。アサリなどの貝類を使ったパジラッカルグクス(あさり手打ち麺)やヘムルカルグクス(海鮮手打ち麺)が一般的ですが、江原道(カンウォンド)伝統の味噌カルグクスが食べられる店もあります。
テンジャンニョ(味噌女)とは?
テンジャンニョを象徴するアイテムのひとつ
韓国では2006年以降、「テンジャンニョ」という単語が流行語になりました。直訳すると味噌女!かなりインパクトのあるこの言葉は、「経済的に自立していないにもかかわらず、割高な外資系チェーンのコーヒーを好み、ブランドショッピングを楽しむ若い女性」を指し、彼女たちを皮肉る意味で使われています。
「テンジャン」という単語がついているのは、韓国語で「くそ、ちくしょう」という意味の「チェンジャン」とテンジャンの発音が似ているからという説や、海外ブランドで身を固めても所詮テンジャンのにおいに慣れた韓国人に過ぎないという説など、色々あるようです。
韓国ドラマのセリフでも時折登場する「テンジャンニョ」。韓国女性のスタイルの1つとして記憶しておくといいかも?!
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