「お給料から引かれる”保険料”…こんなに引かれるの???加入しなくていいなら、保険加入したくない…!」

復職した主婦層からはこんな声がよく聞こえてきます。

2020年5月に「年金制度機能強化のための国民年金法等の一部改正をする法律」(年金制度改正法)が成立し、社会保険の適用拡大が決まりました。

現在は保険加入対象の従業員が501人以上の企業に対して、4つの条件を満たす人に社会保険の適用義務がありましたが、この適用拡大決定で、3年後の2024年10月には保険加入対象の従業員が51人以上の規模の企業まで範囲が拡大されていきます。

今回は、2022年/2024年に控えている社会保険の適用拡大についてご紹介していきます。

「社会保険の適用拡大」の対象になる?チェック

まずは「2022年・2024年の社会保険の適用拡大によって、自分は社会保険に入らなくちゃいけないの??」というところが気になりますよね。

以下の4つすべてにあてはまる場合、社会保険の適用拡大対象になる可能性があります。

1.週の所定労働時間が20時間以上あること

2.雇用期間が2か月以上見込まれること

3.賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)であること

4.学生でないこと

※正規従業員、フルタイム従業員は多くの企業で加入対象です。アルバイト・パートでも、正規社員の4分の3以上週の所定労働時間や月の所定労働日数を働いている場合も加入対象となります。

それぞれもう少し具体的に見ていきましょう。

【2022年10月】社会保険の加入範囲が広がる!加入対象になるかチェックを
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

週の所定労働時間が20時間以上あること

週の所定労働時間について、基本的に契約上の所定労働時間によって判定されるため契約上にない急な残業や休日出勤等は含まれません。

また、たとえば「先月は週15時間勤務だったけど、今月は週22時間だった」という場合でもすぐに加入対象となるわけではありません。

実労働時間が2か月連続で週20時間以上になり、今後も引き続き20時間を超えると見込まれる場合には、3か月目から対象となります。

•賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)であること

月8.8万円の判定も所定労働時間と同じこと。基本給や手当によって計算されるので、残業代やボーナス、臨時賃金は含まれません。

臨時賃金には ①結婚手当や出産手当など一時的なもの ②ボーナスのように一定の期間を超えるごとに支払われるもの ③時間外労働や休日労働・深夜残業に対して支払われる割増賃金 ④最低賃金において計算に入れない皆勤手当や通勤手当、家族手当など が該当します。これらは月額8.8万円にふくまれません。

•雇用期間が2か月以上見込まれること

勤務期間が1年以上となっていたところが、2022年10月から2か月以上に変わります。

雇用契約期間が2か月以上であるとみなされるには、

・就業規則や雇用契約書、そのほか書面で契約更新がされるまたは更新される場合がある旨が明示されていること

・同一の事業所において同様の雇用契約に基づき雇用されている人が、更新などで1年以上雇用されていた実績があること

ただし、契約期間が1年未満であり、書類にも更新可能性を示す期間がなく、更新の前例がない場合は適用除外となります。

•学生でないこと

学生や生徒は適用対象外になります。ただし、休学中の人、夜間学部に通う人などは加入対象になります。


上記の4点を満たし、かつ、2022年からは保険加入対象の従業員が101人以上いる企業で働く場合は保険加入適用、2024年10月からは同従業員が51人以上いる企業で働く場合は保険加入適用となります。

たとえば、1つずつの事業所規模が小さく10~20人が所属する事業所であっても、法人番号ごとにカウントされるので、全事業所をまとめた人数で従業員がカウントされます。

これにより社会保険加入対象になる人は新たに65万人増え、国費への負担が430億円減り、事業主負担は1,590億円増えると言われています。

【2022年10月】社会保険の加入範囲が広がる!加入対象になるかチェックを
(画像=『しゅふJOBナビ』より引用)

社会保険の適用拡大のメリットは

•1.国保加入→社保加入に変わることで受けられる保障が増える

社会保険加入範囲が拡大することで、保険料が増える!と不安に思う人も多いのではないでしょうか。

保険料支払いが必要になる大きな出費があるぶん、以下のメリットもあります。

①厚生年金による補償(報酬に比例した年金の上乗せ給付)

全国民が共通して受け取ることができる基礎年金に加えて、社会保険に加入すると厚生年金がもらえるようになります。

健康保険による補償(病気や出産時の傷病手当金や出産手当金の支給)が受けられることになります。

病気やけが、出産などにより仕事を休まなければならない場合、収入が途絶えてしまいがちです。社会保険に加入することで傷病手当金や出産手当金として賃金の3分の2程度の給付が受けられます。

また、日常生活を送ることが困難な障害がある状態になった場合には「障害厚生年金」が、万が一死亡した場合には遺族に「遺族年金」が支給されます。

どちらも国民健康保険でも受けられますが、より手厚く保障してもらえます。

•2.社員やフルタイムパートの採用への影響が減る

社会保険料は労使折半のため、企業は保険加入対象条件を満たす人を採用するごとに負担する社会保険料が増えていきます。

そのため、社会保険料を支払わなくていい短時間労働者(パート・アルバイトで働く主婦層やシングルマザー、高齢者など)の採用に影響する可能性もあるのです。

適用範囲が拡大されることで人件費の差がうまれにくくなり、社会保険料を理由にフルタイム/パートのどちらかを選択することが減るとされています。

ほかにも、社会保険に加入するメリットも。こちらの記事にまとめているので併せて読んでみてください。

まとめ

今回は、2022年/2024年に拡大予定の社会保険加入の範囲についてご紹介しました。

この改正で社会保険加入対象になる人はとても多くなるはずです。

保険加入の条件は、それぞれ従業員数を確認するほか

1.週の所定労働時間が20時間以上あること

2.雇用期間が2か月以上見込まれること

3.賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)であること

4.学生でないこと

を満たすことが必要です。

反対に、社会保険に加入しない方法はこれを満たさないようにすること。

もっとも調整しやすいのは週の所定労働時間ではないでしょうか。

もし従業員が50人未満の企業を選んでも、事業拡大にあわせて社員が増えたら対象になっていきます。

社会保険に加入してしっかり稼ぐか、社会保険に加入しない働き方をするか。

お仕事探しの前に考えてみることで、仕事の探し方にも変化が出てきます。

提供・しゅふJOBナビ



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