今や韓国国内での酒類消費量No.1!韓国ビール(メッチュ)とは?

韓国のお酒と言えば焼酎(ソジュ)やマッコリが有名ですが、実際に韓国内でもっとも消費されているのはビールです。

韓国のビール事情
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

韓国産ビールの価格は1,700ウォン程度(缶ビール、350ml)、アルコール度数は4.5~5%程度。コンビニをはじめ、スーパーなどで手軽に購入できます。 飲食店では生ビール、瓶ビールで提供されるのが主で、クラフトビールや輸入ビールも人気で専門店もあります。

韓国語でビールはメッチュ(맥주、麦酒)と言い、韓国旅行でよく使うフレーズのひとつは「メッチュ ジュセヨ(맥주 주세요,ビール下さい)」ではないでしょうか?

韓国ビールにはどんな銘柄があるのか?韓国社会でのビールはどんな存在なのか?韓国ビールの様々に迫ります!

韓国ビールの代表メーカーと銘柄

OBビール

OBビールの前身は1933年創業の昭和麒麟麦酒。代表商品はCASS(カス)、実にビール市場のシェア40%に迫る圧倒的な人気を得ています。

またカスチョロム(카스처럼)という言葉があるようにソメッ(焼酎とビールを混ぜて飲むこと)にも欠かせない庶民のお供。

サントリーのプレミアムモルツ他、海外ビールブランドの提携販売やクラフトビール、発泡酒なども手掛ける韓国を代表するビールメーカーです。

韓国のビール事情
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

CASSフレッシュ (ラガー:4.5%) 1994年発売開始。100%非熱処理工法で作られ、爽やかな清涼感が特徴

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

OBプレミア(ラガー:5.2%) 2015年発売開始。ドイツ産のオールモルトを使用した深い味わいと香りがウリ

ハイト真露

ハイト真露の前身は1924年創業の真泉醸酒商会で焼酎製造からスタート、1933年にビール製造のために朝鮮麦酒株式会社が設立されました。

韓国のビール市場はハイトとOBの2強ですが、近年はOBのCASSが優位。ところが2019年に発売されたTERRA(テラ)が大ヒット。カステラ戦争と呼ばれビール市場の勢力図が書き換えられる新たな時代に入ろうとしています。

焼酎会社のイメージが強いハイト真露ですが、hite(ハイト)の他には100%麦で作られたMax(メクス)や黒ビールのstout(スタウト)などの商品があります。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

TERRA(テラ) (ラガー:4.6%) 2019年発売開始。豪州の100%清浄麦芽と発酵過程で出た炭酸を使用。素材へのこだわりが特徴

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

hite (ラガー:4.5%) 1993年発売開始。すべての製造工程を零下で行うエクストラゴールド(2017年~)で喉ごしとスッキリ感がアップ

ロッテチルソン飲料

Kloud(クラウド)(ラガー:5.0%) 2014年発売開始。ビール発酵原液に水を混ぜない製法で、まろやかな泡とほろ苦い味わいが特徴

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

1950年創業のロッテグループ系列会社。サイダーやコーヒー、お茶などでお馴染みの総合飲料メーカーで、酒類は焼酎チョウムチョロンが代表商品として有名です。

Kloud(クラウド)はロッテ飲料がビール市場に初めて参入したことで大きな話題となった商品。2015年に発売されたOBビールのOBプレミア同様、「薄味の韓国ビール」のイメージを覆すべく登場した商品で、Kloud以降、韓国ビールが多様になったと言えるでしょう。

【TIP】韓国ビールのモデルがイケメン俳優の訳

2020年の各ビールブランドのモデルは、 TERRA(テラ)がコン・ユ、Kloud(クラウド)がパク・ソジュンなどイケメン俳優が名を連ねています。 hite(ハイト)の歴代モデルはカン・ダニエル、ソン・ジュンギ、ヒョンビン、ハ・ジョンウ、クォン・サンウなど。 CASS(カス)の歴代モデルはキム・ウビン、キム・スヒョン、イ・ジョンソク、イ・ミンホ、チョ・インソン、チ・チャンウクなど。 いずれも劣らぬイケメン勢揃いです。 ビールの広告に登場することで、「スター」と認定されると言っても過言ではないでしょう。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

一方で、焼酎のモデルはほとんどが女性。それはなぜか? 焼酎は男性のお酒だから、ビールは度数も低く、爽やかな飲み口なので、女性をターゲットにしているからというのが、広告モデルの性別がくっきり分かれている理由のようです。

そのため、 Kloud(クラウド)発売時に女優のチョン・ジヒョンがモデルになった時はビール業界がざわついたとか、つかないとか…。 しかし、ビールが女性のお酒、焼酎が男性のお酒というのも、もはや時代にそぐわなくなってきました。

そうした世相を反映してか、CASS(カス)は近年、ミシュランの三ツ星シェフゴードン・ラムゼイや料理研究家のペク・ジョンウォンを起用。有名料理人が認めたビール、というイメージを印象付けています。広告モデルの変遷も興味深いところです。

「韓国のビールは味が薄い」の理由は?

韓国のビールは苦味が少なく、炭酸を感じるスッキリとしたのど越しが特徴です。ゆえに「味が薄い」と言われ、時には「まずい」という不名誉な評判も。

韓国ビールは日本ビールと同じ、麦芽とホップが主原料です。違いは酒税法。日本では麦芽比率が約50%であるものをビールと定義しているのに対し、韓国では麦芽比率10%以上であればビールとされます。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

しかし、韓国の酒税法の改正は1999年のこと。それ以前は麦芽比率が66.7%と定められていたので、法の改正とは関係なく、現在まで約60~70%の麦芽比率を維持しているとは各ビールメーカーの弁。 ちなみにこの酒税法改正の背景には韓国での日本の発泡酒人気が絡んでいるとか。

いずれにしても、韓国のビールは麦芽を使っていないから味が薄い、まずいという噂が立ってしまったのは、酒税法改正の影響が少なからずあるようです。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

そもそも、苦みが強くコクがある味より、軽くて喉ごしのよいスッキリとした味が韓国の消費者の好みであり、ビールと焼酎と混ざ合わせる爆弾酒文化の影響が今日の韓国ビールの味を作ってきた要因であり、OBとハイトの二社独占でビールの商品開発に多様性が乏しかったという見方が有力です。

韓国社会におけるビール事情の変遷

韓国国税庁の統計によれば、1966年の酒類消費に占める割合はマッコリ73.7%、焼酎14%、ビール5%と続いていたのが、2014年にはビールが58.7%、焼酎25.9%、マッコリ11.6%と約50年で大きく変化しています。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

最初の大きな転換は1988年のソウルオリンピック、ビールの消費が一気に増加しました。現在の定番商品が相次いで登場したのは90年代、1993年にhite、1994年にCASSが発売されます。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

IMF通貨危機による不景気でビールの消費は落ち込んだものの、2002年の日韓共催ワールドカップの頃には再び人気を盛り返します。

2010年代に入ると輸入ビールが隆盛を誇ります。特に日本のビールが大人気、2009年から2019年まで輸入量1位の人気でした。韓国の消費者にPRするためのポップアップストアなども話題を呼びました。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

飲食店の看板でも日本ビール取り扱いをPR

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

人気エリアでのPR活動

2010年代のもう一つのトピックは、酒税法改正により小規模醸造所の設置基準が緩和されたことにより、いわゆるクラフトビールがブームになりました。専門店も増加すると同時に、コンビニやスーパーなどでも手に入るようになり、既存のメーカーだけでなく、多様な韓国産ビールが味わえるようになりました。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

韓国クラフトビールを牽引した梨泰院のMagpie Brewing

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

ソウルのシンボル漢江(ハンガン)のクラフトビール 製造元:7brau

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

観光地の名前を関したクラフトビール製造元:ARK

こうした輸入ビールやクラフトビールに対抗すべく、韓国ビールにKloud(クラウド)やOBプレミアなどの新商品が続々と登場したのも2014年、2015年頃。韓国ビールにも苦味やコクのある味のブランドが増えていきます。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

また2017年以降には発泡酒も登場。ハイト真露のFiLite(フィルライト)に続き、OBビールのFiLGOOD(フィルグッド)が発売されるや価格の安い発泡酒は存在感を増していきます。

発泡酒と同時期にノンアルコールビールも各メーカーから発売されます。ノンアルコールだけでなく、低カロリーなども登場。酔わない、体によいなどが求められるようになり、消費者の嗜好は多様化。強いお酒を好むというイメージが強かった韓国の飲酒文化の変化の表れと言えるでしょう。

【TIP】韓国ビール思い出写真館CASS&hite

近年は新商品が続々と登場し、多様性を増す韓国ビールですが、30年近く韓国ビール市場の両翼であったCASSとhiteのちょっと懐かしいパッケージを見てみましょう。

CASS(カス)

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2004年頃。フレッシュの文字もハングルで書かれているのが新鮮

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2005年頃。100%非加熱処理という製法をアピール

hite(ハイト)

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2000年頃。大自然がある!ビールがある!という壮大なキャッチコピー

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2006年頃。Hが小文字に! 非加熱処理を赤字で強調

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

2014年頃。ロゴが一新!ブリュワリーをイメージさせるデザインに

韓国ビールにあう韓国グルメ

どんな食べ物とも相性のよいビールですが、韓国ではいわゆる食べ合わせ(궁합、クンハッ)に意外にこだわる傾向があり、ビールにあうのはコレという食べ物があります。

韓国チキン

韓国でビールのつまみといえばこれしかない!と、ほとんどの人が口を揃えて支持する定番のおつまみがチキン。チキンとメッチュ(ビールの韓国語)を意味する「チメッ(チメクとも)」という言葉があるほど。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

韓国チキンは日本人をはじめ外国人にも人気で、今や韓国グルメの代表メニューに昇格しています。

コルベンイ(つぶ貝)の和え物

つぶ貝をにんじん、きゅうりなどの野菜と酢コチュジャンで甘辛く和えたもの。添えられた素麺と混ぜて食べます。昔ながらの味ですが老若男女問わず人気メニュー。

主にお酒のおつまみなので、飲み屋で食べられます。乙支路(ウルチロ)にはコルベンイ通りもあり、大衆的な雰囲気は味わいがあります。

乾きもの

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

1匹1,000ウォンのノガリ(スケトウダラの幼魚の干物)から、イカやビーフジャーキーやナッツなどの盛り合わせまで様々。

ホプ(ビアホール)や飲み屋屋台、バーなどでもビールのお供の定番です。

ピザ

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

ビールのおつまみのニューフェイス。「チメッ(チキン+ビール)」の次なる黄金の組み合わせとして、 「ピメク(ピザ+ビール)」という言葉も登場しました。もともと韓国で人気のピザ。ピメクという言葉と共に、ピメク専門店も現れました。

韓国ビール文化いろいろ

生ビールの注文は容量で

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

生ビールを飲食店で注文する場合、日本では大・中などの大きさで頼むのに対し、韓国は容量で注文します。 「500(オベッ)ハンジャンチュセヨ(500を一杯ください)」と、「ml」をとった数字で頼むのが韓国流。 ちなみに生ビールは韓国語で생맥주(センメッチュ)。

生ビールを確実に飲みたいなら「HOF(ホプ)」へ

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

日本ではたいていの飲食店で楽しめる生ビールですが、韓国では韓国式ビアガーデン「HOF(ホプ)」で飲むのが確実。最近は生ビールを出すお店も増えましたが、普通の飲食店では意外に「生」がないこともあります。

ビールと焼酎を混ぜる「爆弾酒」またの名を「ソメッ」

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

韓国ビールの味が薄いと言われる理由に、「爆弾酒」を楽しみたいから、という説がまことしやかに流れています。

「爆弾酒」とは、種類の違うお酒を混ぜる飲み方のことで、ビールに韓国焼酎を入れた「爆弾酒」を「ソメッ(ソジュ(焼酎)とメッチュ(ビール)の略称) 」と言います。焼酎は強すぎるけど、ビールだけなら酔えない、そんな人に好まれます。

韓国ビールはペットボトルでも販売

日本ではペットボトルのビールが一般的ではないので、韓国でペットボトルのビールを見て新鮮に感じたことはありませんか?

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

日本では賞味期限が短いことを主な理由にあまり利用されていませんが、韓国では1.6リットルの大容量ペットボトルビールがあります。実は諸外国でもよくあるタイプ。

ちなみに出前(韓国語でペダル)文化が発達している韓国では、チキンの出前を頼む際に生ビールも出前可能。ペットボトルに入れられてやってきます。

韓国の外飲みはコンビニも含

韓国コンビニの店先に簡易イスとテーブルがセッティングされているのを見たことはありませんか?誰でも利用できますが、とりわけ中高年男性が軽く一杯、時には昼からビールなどのお酒を楽しんでいる姿を見かけます。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

季節がよい時には若者からお年寄りまで手軽な道端ビアガーデンがコンビニの店先で繰り広げられています。

野球観戦にはビール

球場内外はもとより、競技中もビールの売り子がやってくる韓国野球。野球観戦はもちろんですが、球場内には飲んだり食べたりピクニックのようなムードが流れます。ビールのお供の人気NO1はチメッ(チキンとビール)。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

マウンドのグリーンと黄金色のビールはよく似合う

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

韓国でもビールサーバーを背負った売り子さんがお馴染み

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球場前には屋台がいっぱい

ビールの泡はクリーム?

泡のないビールが主流だった韓国で2010年代の始め頃、クリーム生ビールと呼ばれるきめの細かい泡をウリにしたビールが流行しました。

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

何のことはない普通のビールですが、泡を作らないのが主流であった韓国の生ビールの中ではニューフェイスとしてまたたく間に人気を得ました。その名残で、今でもメニュー表に「クリーム生ビール(크림생맥주、クリムセンメッチュ)」とあるお店も多くあります。

また本物の甘い生クリームを載せた「生クリームビール」などという変り種ビールも登場しました。

提供・韓国旅行コネスト

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