ある日突然やってくる…葬儀・告別式

年を重ねるにつれ、親しい人の死に接する機会が多くなるのは、人間の逃れられない運命。その別れの儀式を映画やドラマで目にすることはあっても、実際に韓国で体験したことはないという人も多いのではないでしょうか。

韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

韓国の葬式は、葬儀専門の式場や病院地下に設けられた葬儀場で行なわれることが多く、期間もお通夜・告別式を中心に2日間行なわれる日本に対して、韓国では3日間行なわれるなど、日本とは多少異なります。韓国の葬式の流れや参列する際の注意点などをご紹介します。

三日葬とは?

韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

韓国の葬式は大半の場合、故人の死後3日間にわたって「三日葬(サミルチャン)」が行なわれます。3日3晩、喪主や故人の家族は葬儀場で弔問客を迎え、食事をふるまいます。ここでは、一般的な三日葬の手順についてご紹介します。

1日目

韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

・臨終となれば新しい服に着替えさせ、白い布や布団をかぶせます。遺影の両脇にロウソクを立てて、お香をたきます。 ・喪中や忌中と書いた紙を自宅の門や入り口に貼ったり、謹弔と書いた提灯を門の前につるします。 ・故人の友人、知人、同僚など故人と交友関係があった人に知らせます。 ・葬式に関する連絡・案内・弔客録・死亡申告・埋葬許可申告・喪費の出納記録などを担当する人を決めます。

2日目

韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

・死身をきれいに洗い寿衣(スイ)を着せます。 ・故人の口に水にふやかした生米を入れます。 ・亡くなって24時間過ぎれば、棺に安置します。この時、死体が動かないように回りに白い紙や麻布を入れ、 故人の信仰によっては数珠、十字架、聖書を入れたりもします。 ・棺の前に屏風を立て、その前に黒いリボンをかけた故人の写真を置き、その両側にロウソクを立てお香をたきます。 ・喪服を着用し、故人の配偶者・直系子女・8親等以内の親族まで正装し、弔問客を迎えます。喪主は、黒のスーツに喪章を腕に巻くのが一般的ですが、昔は麻布の喪服にずきんをかぶり胸や頭に麻布で作ったリボンをつけていました。

3日目

韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

・簡単な祭祀(チェサ)と告別式をし、棺を家から運び出しますが、棺を運ぶ時は頭から出なければなりません。 ・火葬の場合、埋葬地まで葬儀車で棺を運び、墓穴に棺を下ろします。喪主は棺の上に土を3回ふりかけた後、平たく土をならし、土を盛り上げてお墓を作ります。 ・お墓の前に霊座を設け簡素なお供えをし祭祀をした後、家に帰り、魂を家に迎える祭祀を行ないます。

葬式後

韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

葬式の3日後、お墓の前にお供えをして祭祀を行ない、最後に喪服を脱いで葬儀を終えます。故人が父母・祖父母・配偶者の場合、100日後に脱喪祭(タルサンジェ)を行ないますが、49日目に行なう人も多いです。

【韓国の葬式文化】韓国の墓地・埋葬

韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

韓国では昔から「風水地理」という土地の気運を重視する学問が発達していたため、気運のいいところに家を建てたり、墓地を決めたりすると事業が成功し、子孫が繁栄すると信じられてきました。また、儒教精神の強く残る韓国では、火葬を身体の毀損行為とする儒教の教えもあり、土葬が主流でした。

しかし、人口増加による土地不足で墓地に対する考え方が変化。近年は、土葬ではなく火葬を行ない、先祖代々の土地ではなく、納骨堂や霊園に納めたりする家庭が増えています。

もしものときに知っておきたい、韓国の葬儀・告別式のマナー

日本とは異なることが多い韓国の葬式。服装や香典といった、参列に関するマナーなどをご紹介します。

参列の有無

韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

日本の葬式は比較的故人と関係が近い場合のみ参列しますが、韓国では「悲しいときこそ、そばにいてあげたい」と思う心情からか、友人や知人の親戚といった、自分とつながりが薄い人の葬式にも参列することがあります。

例えば、会社の同僚の親・兄弟が亡くなった場合は、葬式に参列します。しかし、それ以外の祖父母や親戚が亡くなった場合は、参列の有無は関係性によって異なり、香典だけを渡しても構いません。また、遠方で葬式が行なわれる場合は、主催者側で手配された貸切バスに乗っていくこともあります。

参列の日・時間帯

三日葬の場合は、2日目にお通夜・3日目に告別式が行なわれます。二日葬の場合は、1日目がお通夜・2日目が告別式になります。

葬儀場には、各自が可能な時間に訪れることができ、親族が24時間待機しているため、夜中や夜明けに訪れることも可能です。日本同様、故人と関係が深い場合はお通夜・告別式ともに出席します。

服装

韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

弔問客は、通夜の場合は服装にこだわらないため、地味な色目の普段着でも構いません。告別式は黒のスーツやスカート、黒い靴を着用するのが望ましいでしょう。女性の場合、素足は避けて、ストッキングや靴下を履くこと。また、派手なかばんやアクセサリー、濃い化粧も控えましょう。

昔は、男性は白または黒のパジチョゴリにトゥルマギ(韓国固有の外套)、白い靴下とゴムシン(ゴム靴)を身につけ、女性は、白のチマチョゴリに白い靴下とゴム靴でした。

香典の金額と相場

韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

香典のことを韓国では「賻儀金(プウィグム)」と言います。香典袋は別途購入して、事前に準備することがマナー。文房具店やコンビニで購入できます。すでに「賻儀(プウィ)」と印刷されているので、 封筒の後ろに名前(あれば会社名)を記入します。 ただし、葬儀場に準備されている白い封筒を使用してもマナー違反にはなりません。受付の際に封筒をもらい、封筒の後ろに名前を書いて渡します。

香典の相場は3万ウォンからで、取引先や会社の同僚など面識があれば5万ウォン、親しい間柄であれば7万~10万ウォンと言われています。

受付

葬儀場に行くと受付があるので、香典を渡します。他の人の分を預かっている場合もここで渡します。簡単にお悔みの言葉を述べて、芳名帳に記帳をします。 お悔みの言葉を言わずに、深めのお辞儀をするだけでも大丈夫です。また、ふくさも必要ありません。 ※葬儀場によって、受付がなく香典入れの箱だけ置かれている場合もあります。また、焼香を先、受付が後の場合もあります。

焼香の仕方

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

1.線香をたてます。お焼香ではなく線香の場合が多いです。 2.遺影に向かってクンジョル(ひざをつく深いお辞儀)を二礼、起立した状態で1礼お辞儀をします。キリスト教の信者はクンジョルをせず、立ったまま行なうお辞儀で済ますことが多いです。 3.喪主と遺族に向かってクンジョルを一回行ない、慰労の言葉をかけます。

通夜振る舞い

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

お通夜では焼香を済ませた後、別室で集まった人たちが故人について語り合います。この時、日本の通夜振る舞いと同様、食事とお酒がふるまわれます。時間は決まっておらず、空いている席に座ると、手伝いの人たち(親戚の女性が担当することが多い)が食事を運んできてくれます。

ジョンやナムル、キムチなどのおかず(パンチャン)の他に定番は「ユッケジャン(牛肉のピリ辛スープ)」。なぜユッケジャンが多いのかというと、大きい鍋で大量に作ることができ、時間がたっても味が変わらないため。また、ユッケジャンの赤い色は悪鬼を追い払うと信じられているため、昔は牛肉が高価だったので、少しでも良い食べ物を出そうとしたため、などの理由が挙げられます。

今では病院や斎場で葬儀が行なわれることが多いため、専門業者が食事の手配をしますが、以前は家の庭で葬式が行なわれることも多く、家庭料理がふるまわれていたそうです。

塩(お清め)

韓国でも葬儀に参列して帰ってくると、家に入る前に塩をかけます。塩で体を清めるのは、年配の人であればあるほど必ず守る習慣です。

【韓国の葬式文化】「哭」の儀式

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

泣く儀式で、故人が息を引き取った後から葬儀の期間中の朝夕に行なわなければならず、喪服を脱ぐ時まで続けられます。

昔は、葬儀の期間が長いと喪主が大変なため、泣くのを代理で行なう代哭制もあったといわれています。現在は、「哭」の儀式をあまり目にする機会はないですが、田舎などの地方では今なお続けられている地域もあるようです。

故人を見送る儀式、葬儀・告別式

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(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

以前は、家庭で行なわれていた葬式。それがいつしか、葬儀専門の式場や病院地下に設けられた葬儀場で行なわれ、埋葬方法も土葬から火葬へと変化してきました。また、喪服の貸し出しや入棺後の祭祀を担当するサービスもあるなど、複雑だった葬式も簡略化され、遺族の負担も減ってきています。

時代の変化とともに葬式の形式も変わってきましたが、今も昔も韓国人の故人に対する礼儀や誠意を尽くす心、そして謙虚な姿勢は変わっておらず、今後も継承されていくのではないでしょうか。

【韓国の葬式文化】国家葬

「国家葬」とは、国家や社会に大きな貢献のあった人の葬儀を政府が執り行います。2009年時点では、同年に亡くなった金大中(キム・デジュン)元大統領は「国葬」、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は「国民葬」のように2つに分けられていましたが、2011年に「国家葬」に統合されました。

韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

制度変更後に「国家葬」が執り行われたのは、2015年、金泳三(キム・ヨンサム)元大統領でした。ちなみに「国民葬」は元大統領や政治家などが対象となるのが慣例で、「国葬」は金大中元大統領以外では、朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領がいます。

韓国のお葬式
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
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提供・韓国旅行コネスト

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