たっぷりの玉子とだしで溶いた「じん粉」入りの生地を専用の銅鍋に流し入れ、その中に明石タコを入れて焼き上げたものを、黄金のだし汁につけて食べる明石焼き。ふわふわトロトロの食感と、たこの歯ごたえが抜群の相性です。そんな明石焼きの魅力とオススメ店「ふなまち」「てんしん」「泉屋」を、明石在住トラベルライターがたっぷりお伝えします♪

明石焼き(玉子焼き)とは

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(画像=まき 「泉屋」、トリップノートより引用)

明石には沢山の美味しい食べ物がありますが、中でも明石焼きは大人気!3年ごとに「広報あかし」で募集される「明石のたからもの」で2017年に1位。2020年の味のジャンルでも1位を獲得。2016年に開催された全国のご当地グルメを通じたまちおこしの祭典「B-1グランプリスペシャル」では、明石焼き(玉子焼き)をふるまった明石市が「行きたいまち、住みたいまち、応援したいまち」としてゴールドグランプリを獲得しました。

明石市ふるさと納税の返礼品にも、揚げ板付きの明石焼き銅鍋や冷凍あかし玉子焼きなどが用意してあり、全国にその名が知られています。地元民には「玉子焼き」と呼ばれて親しまれていますが、約30年前から、明石のまちをアピールするために「明石焼き」「あかし玉子焼き」と呼ばれるようになりました(この記事では分かりやすいように「明石焼き」と表記します)。

明石焼きの歴史は江戸時代末期にまで遡ります。当時明石の地場産業の1つだった明石玉(模造珊瑚)の製造過程で接着剤の一部として使われていたのが玉子の白身なのですが、余った黄身と明石で獲れるタコを合わせて作られたのが玉子焼きの始まりなのだとか。明石玉は大正時代中期までは、かんざしなどとして作られていそうですよ。

明石焼きの美味しさの秘密

タコ

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(画像=まき 「泉屋」、トリップノートより引用)

もちろん使っているのは明石で獲れたたこ!潮流の速い海域で鍛えられた太くて短い足が特徴です。海老や蟹を餌にしているため、明石たこの茹で上がりは小豆色になります。明石焼きの具はシンプルにタコのみですが、そのコリコリした歯ごたえは抜群で、タコの旨味が生地にも行き渡ってとても美味しくなります。

じん粉

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(画像=まき 魚の棚商店街「座古海産」の商品(500g320円)、トリップノートより引用)

明石焼きの生地に使われる「じん粉」は浮き粉とも呼ばれ、小麦粉のデンプンを精製したもの(麩を作る過程で分離した澱粉)で、加熱してもかたくならず小麦粉だけで作るよりも柔らかくふんわり仕上がります。小麦粉との配合はお店によってそれぞれです。

だし汁

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(画像=まき 「泉屋」、トリップノートより引用)

昔は何もつけずに食べていたそうですが、あまりの熱さに火傷をする人が続出!敢えて常温や冷たいだし汁につけると、温度が下がって食べやすくなるため、添えられるようになりました。

提供されてすぐに食べると、口に入れた瞬間は大丈夫でも、噛みしめると中が熱々で驚いてしまいます。地元民でも1口目は「熱っ!」と言ってしまうほど(笑)。ほとんどのお店でだし汁はお願いすると追加サービスしてもらえますので、ご遠慮なく♪

薬味と味変

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(画像=まき、トリップノートより引用)

シンプルにだし汁だけで食べるお店もありますが、薬味として葱や三つ葉が添えられたり、もとからだしに薬味が加えてあったりします。まずはそのまま。次にだしをつけて、そして薬味を加えて味わいの変化を楽しんでくださいね。塩やソースが卓上に置いてあるお店もありますよ。

たこ焼のルーツと明石焼きとの違い

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(画像=PIXTA たこ焼き、トリップノートより引用)
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(画像=PIXTA たこ焼き、トリップノートより引用)

諸説ありますが、大正時代に明石市在住の向井清太郎さんが屋台で明石焼きを売り始め、行列ができるほどの評判になりました。それを大阪の業者が見学に来て、後に大阪でたこ焼きとして売り出されたため、たこ焼きのルーツは明石焼きだと言われています。

主な違いは次のとおりです。

  • 明石焼きは小麦粉の他にじん粉が入っていますが、たこ焼きはじん粉が入っていません。
  • 明石焼きは玉子が多めに入って黄色く仕上がりますが、たこ焼きのほうは黄色味は少ないです。
  • 明石焼きを作る器具は銅製ですが、たこ焼きは鉄製です。
  • 明石焼きは平たくて丸いですが、たこ焼きは球体です。
  • 明石焼きの具はタコのみですが、たこ焼きはタコの他、紅生姜や葱などが加わることも。
  • 明石焼きは菜箸で3回程度ひっくり返しますが、たこ焼きは千枚通しで何度もひっくり返します。
  • 明石焼きは揚げ板に乗せますが、たこ焼きは舟に盛り付けます。
  • 明石焼きはだし汁につけて食べますが、たこ焼きはソース・かつおぶし・青のりなどをかけます。

明石焼きの作り方

それでは、実際にどんな風に明石焼きが作られているのかご紹介していきましょう。

まずは、熱伝導率の良い銅板を強火で熱してから、生地を溢れるくらいまで流し入れて1つ1つの穴に明石タコを投入。

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(画像=まき 「ふなまち」、トリップノートより引用)
【明石】地元民が教える「明石焼き(玉子焼き)」美味しさの秘密とオススメ店3選!1.jpg
(画像=まき 「てんしん」、トリップノートより引用)

しばらくして縁の部分がプクッと膨らんできたら「菜箸」で銅鍋の向こう側から手前へと筋を付けます。菜箸を両手に持ち、縁をクルッと丸め込むようにして上下を返します。全体に固まってきたら、はみ出た縁が下になるようにまたクルッと上下を返します。ひっくり返すのは最小限にして3回まで!

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(画像=まき 「てんしん」、トリップノートより引用)
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(画像=まき 「てんしん」、トリップノートより引用)

周りはカリカリにしすぎず、あくまで柔らかくトロリと仕上げるのがポイントです。火が通るのをジッと待つ時間が必要で、形が綺麗になるよう手早くひっくり返すのが職人技ですね。

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(画像=まき 「てんしん」、トリップノートより引用)
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(画像=まき 「てんしん」、トリップノートより引用)

焼けたら揚げ板を銅鍋にかぶせて、空中で手首を返してクルリと移し替えます。銅鍋をそっと外すと、平たくて丸い玉子焼きが整列しています。だし汁を添えて召し上がれ!

明石焼きオススメのお店

明石市内には約70を超えるお店があり、それぞれに材料や道具にこだわって、作り方や味に違いがあります。

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(画像=まき 「きむらや」の外観、トリップノートより引用)
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(画像=まき 「松竹」の外観、トリップノートより引用)
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(画像=まき 「一休」の外観、トリップノートより引用)

例えば「本家きむらや」は老舗で、メディアによく取り上げられるので観光客に人気があり、「松竹」は駅に近いため利便性が良く、独特の香ばしさと味に魅かれて地元に根強いファンが沢山います。筆者は近所にある「一休」の玉子焼きを子どもの頃から食べ慣れているので、今でも定期的に食べたくなります。

明石市民の台所「魚の棚商店街」でオススメの明石焼き店「たこ磯」や「あかし多幸」などは別記事でご紹介していますので、よろしければご覧くださいね。

「玉子焼きを食べるならこの店!」というお気に入りが地元民にはそれぞれあり、お店ごとに個性が光っていてオススメを挙げればきりがないのですが、そんな中から厳選して幾つかご紹介しようと思います。

ふなまち(20個650円)

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(画像=まき、トリップノートより引用)

地元民にもダントツで1番人気のお店ではないでしょうか。筆者は市外から明石に訪れる友人にこちらのお店をオススメしています。タコは弾力がありながら柔らかく、抜群のフワフワ食感の生地と相まって、アッという間に食べ終えてしまいます♪生地自体にしっかり味がついているので、だし汁につけなくてもじゅうぶん美味しいですよ。

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(画像=まき、トリップノートより引用)
【明石】地元民が教える「明石焼き(玉子焼き)」美味しさの秘密とオススメ店3選!1.jpg
(画像=まき、トリップノートより引用)

店内は活気に溢れ、お持ち帰りの電話予約もどんどんかかってきますが、3つの銅鍋をフル稼働させて次々と焼き上げていきます。

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(画像=まき、トリップノートより引用)
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(画像=まき、トリップノートより引用)

行列は必至で、「このあたりからの待ち時間は、2時間かかります。」という立て看板から並んで本当に2時間かかります。でも待つ価値はありますので、お時間に余裕をもっていらしてくださいね。

店内はテーブル席が2つで、席数は約8席のみですので、必然的に相席になります。平日はお好み焼き(400円~)、そば焼き(400円~)、モダン焼き(500円~)、オムソバ(550円~)などありますが、日曜日と祝日のメニューは玉子焼きのみ。JR明石駅・山陽電車明石駅からは徒歩で20分弱かかります。無料駐車場が5台あります。満車でしたら徒歩約5分の所に幾つかコインパーキングがあります。

てんしん(玉子焼き15個550円/特上玉子焼き15個580円)

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(画像=まき 特上玉子焼き、トリップノートより引用)
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(画像=まき 玉子焼き、トリップノートより引用)

先代がアレンジした、じん粉が使われていないのにフワフワな玉子焼きが食べられます。葱が添えられる昆布とかつおのだし汁も美味しく、ついだし汁だけ飲んでしまいます(笑)。

特上玉子焼き(写真左下)と玉子焼き(写真右下)を並べてみました。特上玉子焼きには玉子が1個余分に混ぜ込んであるそうです。玉子焼きのほうが、ふんわりやわらかく仕上がっています。

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(画像=まき、トリップノートより引用)

たこの大きさによって時間を見極めながら丁寧にゆがいているのが印象的で、一番良い状態でお湯から引き上げられます。

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(画像=まき、トリップノートより引用)
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(画像=まき、トリップノートより引用)
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(画像=まき、トリップノートより引用)

大きめに切ってありますが、たこの柔らかさはピカイチ!地元の二見で獲れるたこを使用しているそうで、浅瀬のために身があまり締まっていないのだとか。

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(画像=まき、トリップノートより引用)

食べきれないぶんはお持ち帰りをお願いすると容器に詰めてもらえます。

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(画像=まき、トリップノートより引用)

明石焼きの他にはお好み焼き(480円~)、そば焼き(500円~)、モダン焼き(600円~)、野菜焼き(530円~)など多くのメニューがありますが、常連客に人気があるのがお好み焼き。お好み焼きだけで7種類あり、下の写真はぶた焼き(480円)です。

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(画像=まき、トリップノートより引用)
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(画像=まき、トリップノートより引用)

キャベツがたっぷりで、表面はカリッとしていますが口に入れるとフワッとした食感。空気を含ませながら生地を混ぜているのが美味しさの秘密なのかも。テーブルに置いてある甘口と辛口のソース、かつおと青のりをお好みでトッピングしましょう。

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(画像=まき、トリップノートより引用)
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(画像=まき、トリップノートより引用)

アットホームな雰囲気で、先代の奥様や娘さん、長年勤められている従業員のかた全員が親しみやすく、再訪が楽しみになるお店です。だし汁やお茶のおかわりが欲しい時にはさりげなく声をかけてくださいます。先代からの「味とおもてなしは変えない」という精神が常連客の心をガッチリ掴んでいます。明石の西部、山陽電車東二見駅のすぐ近くにあります。無料駐車場は4台分です。

泉屋(玉子焼き20個650円/特上玉子焼き20個700円)

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(画像=まき 特上玉子焼き、トリップノートより引用)
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(画像=まき 玉子焼き、トリップノートより引用)

赤い揚げ板が食欲をそそりますね。たこの弾力が特徴的な玉子焼きです。こちらのお店のだし汁はかつおのみでとってあり、香りと風味が良く後味はすっきりしますよ。