女性起業家の活躍は、SNSでも頻繁に目にするところです。その反面、女性の廃業率の高さも、さまざまなメディアで報じられています。
好きなことを仕事にしていくということは素敵な話ではありますが、確実に売り上げを上げつつ、長く続けていくための秘訣はどんなところにあるのでしょうか。
『あなたの「好き」をお金に変える35のビジネス・レシピ』 (中島萌未著、マネジメント社)より、女性が起業する上で知っておくべきビジネスの考え方を紹介します。
月商5万円が146万円に変貌した理由
かつての自身について、発信力もカリスマ性もコネもない、売れないお料理教室の先生であったと評している著者。マクロビオティックやローフード、グルテンフリー食など、さまざまな資格を取得して料理研究家として独立を果たします。しかし、料理教室を運営し始めたものの、月の売り上げは5万円程度だったとか。
その売り上げから料理教室の材料費や会場費などを差し引いたら、赤字になることもしばしば。扶養の範囲内でアルバイトを掛け持ちしつつ、料理の試作をしたり、画像をブログに掲載したりと、自分でできることは何でもやっていたと言います。
しかし、自力でいくら頑張っても、売り上げは上がらず、お客さまが来てくれない日々が続きました。そんな著者に掛けられたのが、「スーパーのパートでもしたら?」と心配する夫の一言だったのです。
「もうスーパーのパートとかしたほうが、よっぽどいいんじゃない?」私が夫にそう言われ続けていたのは、今からほんの2年半前のことでした。(2ページより引用)
そこで、著者は活躍している女性起業家のSNSを手当たり次第に調べてみます。すると、彼女たちの後ろには、ビジネスを教えてくれる先生が存在していることに気付きます。自分にはビジネスの勉強が足りなかったと感じた著者は、すぐに起業塾に入り、「正しいビジネス戦略」を学びます。
そして、入塾後3カ月にして、月商5万円から146万円に伸ばすことができました。現在では、そのノウハウを伝える起業塾を主催するまでになった著者。その秘訣を、ぜひ知りたいものです。
自分の「好き」を貫き通す
もとは月商5万円ほどしかないお料理教室の先生だった著者ですが、仕事として成り立っていなかったとしても、幸福度はとても高かったそうです。それは、好きな仕事をしていたからという一言に尽きるでしょう。
ワガママは一つの才能であり、そこに価値がある。しかし、大切なことは、そのワガママを貫き通すことにあると著者は語ります。
好きなことをシゴトにして、経済的な自由、お金の自由を手に入れている先生たちはみんなもっともっとワガママです。このワガママというのは「自己中心的」という意味ではなくて、自分自身が「好き」だと思うことを貫き通す強さのことだと、私は思っています。 (16ページより引用)
好きなこととはいえ、継続していくのは大変なことですが、貫き通す強さを兼ね備えたワガママは、やがてお客さまからの信頼に変化。その姿勢や生き様に対して共感を得ることができ、自然にお客さまが集まってきてくれるようです。
例えば、著者は起業塾に入ってから、料理教室のラインナップを変更しました。1レッスン3000円から4000円程度のお手頃な値段で単発開催していた内容を、3カ月全6回、33万円の継続レッスンにシフトチェンジ。
3000円でレッスンをしていたところから30万円のレッスンをするということに対して、一部の同業者から懸念の声が上がりました。しかし、著者は周りの目は気にしないで自分のやりたいことをやりきるという姿勢に徹することにします。そのほうが、お客さまの役に立てるレッスンになると信じていたからです。
結果として、多くの顧客を獲得し、全6回のレッスンは成功。自身の想いに共感してくれる人たちと出会うことができました。
想いをブログなどにぶつけて発信していく。すると、必ず共感・共鳴してくれるお客さまの反応が出てくると著者は言います。
信じたことを貫き通す、良いワガママをやりきる勇気は、ビジネスの成功において大事な考え方であると言えそうです。
「お客さまの問題解決」に自分の「好き」を掛け合わせる
結果が出ていない女性起業家は、決して売れていないわけではない。しかし、「どんな問題解決をしてくれる人なのか」お客さまに伝わっていないだけなのではないかと著者は言います。
ビジネスはけっして「商品」ありきではありません。あなたがお客さまの問題を解決するためにできること、それがあなたの「商品」になり、ビジネスとなるのです。(53ページより引用)
自分が好きなこと、とはいうものの、それだけではビジネスの本質を捉えていません。ビジネスとは「顧客の問題解決」にあり、問題を解決した分だけ売り上げも上がっていくのです。
顧客を主役に据えて、その問題を解決できることと、自分が好きで得意なことを掛け合わせてビジネスの軸にしていくが重要。まず、自分の「好き」と「得意」だけが詰まった、独りよがりなビジネスをしていないか検証する必要がありそうです。
そして、すべての人をお客さまの対象にする必要はないと著者は言います。20代30代の女性が解決したい問題と学生が解決したい問題では全然違ってくるものです。
お客さまの層を明確に絞り、その人たちに向けた情報発信をしていく。顧客の年齢、職業や性格など、どういう人なのか具体的にイメージしておくと、夢中になってくれるお客さまが現れるのだと言います。
手当たり次第ではなく、たった一人のお客さまを振り向かせることを想定することで、選んでもらえるようになるのかもしれません。