今春、話題を集めたドラマ『俺の家の話』では、長瀬智也演じる中年レスラーが父親の介護と向き合う姿が何度も映し出された。ドラマほど劇的ではないにせよ、老いた親と向き合うのは、「あなたの家の話」かもしれない。まだ元気な親でも、介護やさらに死後に向けての準備は必要だ。週刊SPA!編集部の40代女性記者が、親と「終活準備」を実際にやってみた。
40代女性記者が実践。親と「終活準備」を実際にやってみた
40代も半ばになり、親の老いを感じる機会が増えた。夜な夜なネットフリックスで韓流ドラマを楽しむ程度には、気力旺盛な両親だが、昨年末には、76歳の父親が腰の手術で入院。70歳の母親も「膝が痛い」と時折こぼしている。「終活は親が元気なうちに」と、数か月ぶりに帰省した。
まずは唐突にならないよう「去年、手術したとき医療保険でいくら返ってきたの?」と水を向ける。そこから加入している医療保険や生命保険、営業担当者の連絡先を聞き出しファイルにまとめ、年金関係の書類とともに簡易金庫に保管した。
こうなると「あれもこれも」と気になってきたのか、霊園や葬儀屋の資料もどこからか持ってくる父親。我が家は、互助会には入っておらず葬儀社の共済保障に加入しているので葬式代の心配はいらないこと、霊園には管理費を毎年払っていることなど、知らなかった話が明らかに。
母からは「私は無宗教の葬式をしたい、読経不要」、父からは「俺は戒名が欲しい!」と具体的な葬儀プランも伝えられた。聞いてみないとわからない意向があるものだ……。
家族の身の回りを整える機会に
だが、介護についてはほぼノープランの両親。地域包括支援センターについては「あれは認知症が進んだ人が行くとこでしょ」程度の認識だった。そこで「早めに申請をして要支援認定されたら、補助金で介護リフォームできるよ!」と言うと、「それはお得だ」と前向きになってくれた。
そしてスマホ、利用しているサブスクサービスについては、ログインIDやパスワードをまとめた。
しかし預金先や具体的な資産について話を向けてみると、そこはやんわり保留に。借金こそないものの、具体的な預貯金の額を娘に明かすには抵抗があるのか、今後、整理しておくと告げられた。
近年、実家付近では、住民の高齢化が進んでいる。つい先日も向かいの家の一人暮らしの女性が心筋梗塞で救急搬送された。しかし、近隣住民が誰も遠方の家族の連絡先を知らず、家族に知らされるまで数日かかったという。我が家でも、両隣と民生委員に私の連絡先を共有しておくことを確認した。
そして最後に母からは、「ドラマ(『俺の家の話』)みたいにアンタが先に逝くことだってあるでしょ。万一に備えて、仕事先や友達の連絡先をまとめておくように」とブーメラン返しの課題を出され、この日は終了。近いうちに友達やSPA!編集部の連絡先も教えておくことになりそうだ。
以上、これが私の家の話だ。実際に話してみれば、モヤモヤが少し解消された気がする。皆さんの家の話は、どんな内容になるか?