大阪・肥後橋。土佐堀川のほど近くの静かなエリアに、パリの街角を思わせる、ひときわ目を引くピンクの建物があります。あたりにはパンを焼く香ばしい香りが漂い、お店の人とお客さんが交わす元気のいい挨拶も。ここは『Louloutte(ルルット)』。ハード系から惣菜パンまで数々のパンを取り揃えているパン屋さんです。
ドアを開けると焼きたてのパンがずらっと並んでいます。パリのカフェで流れていそうなアコーディオンの調べが耳に心地よく、また、店内を見渡すとフランスのアンティークが。
まるでパリのブーランジェリーにいるような気分で、落ち着いてパンを選べそう。
フランスで、個性的なパンと出合うようなショートトリップ感覚
お団子のようなかわいらしい見た目のパンは「ポンポン」。表面をカリッと焼き上げ、中はもちもちとした食感。好きなだけ食べられるところも、誰かと気軽に分け合えるのもうれしいですね。
ころっとかわいらしいサイズ感の「クリームパン」は、ブリオッシュ生地とクリームのバランスが絶妙。お子さんのおやつにもぴったりです。
イベリコ豚の入っている「チーズイベリコ豚」はハード系の生地とお肉の脂がほどよくマッチ。ボリュームたっぷりなのに、気軽に食べられる一品です。
バリエーション豊富で、具だくさんの「サンドイッチ」も思わず手が伸びてしまいますね。オフィスでのランチにぴったりではないでしょうか。
こだわりの材料や天然酵母で体にも優しく
材料の小麦は北海道産「はるゆたか」やフランス産を使っています。そして、このお店のパンの半分くらいが天然酵母で作られているそう。
天然酵母で作った食パンは、噛み締めると弾力があるのに柔らかく、ほどよいサイズ感で食べやすい。フランス産のジャムをつけて食べると最高なのだとか。特におすすめは、フランスから輸入しているジャムや蜂蜜。「クレモンティーヌ」という甘いみかんのジャムは、なかなか他では入手できない、とても珍しい品だそうです。
こちらは、こちらのお店の看板商品ともいえるパン。大きく焼いて¥1/1gで量り売りしている「pain Louloutte(ルルット)」です。どんな食事にも合うほか、オリーブオイルと塩だけで食べても十分おいしいのだとか。
パリの思い出とともにあるお店
『Louloutte』 のオーナーシェフは、2007年から4年間、単身フランスでパンの修行をしていた中岡里有子さん。帰国後2013年にブーランジェリー『Louloutte』 をオープン。
また、魅力的なアンティークの数々は中岡さんがフランス滞在時に蚤の市などで買ったもの。
このお皿はなんと14世紀のものなのだとか。そんなアンティークのお皿にごく自然にパンが盛られているのも、このお店の魅力です。
パンを焼くオーブンもフランス製です。フランスでの修行時代、このメーカーのオーブンとともに働いたのだと中岡さんは語ってくれました。働いていたのは『グルニエ・ア・パン』と『デュ・パン・エ・デ・ジデ』。「働きたいブーランジェに運よくトラバーユビザ(就労ビザ)を取得し、働くことができました」。
当時、『デュ・パン・エ・デ・ジデ』のオーブンは、中岡さんには大きすぎて、扱いにくかったそう。
「でも、しがみつくようにして働きました。ただでは帰れない、自分で何かを得てから帰るという気持ちがありましたから。そうやって働くことで信頼を得られたときは、本当にうれしかったです。それこそがフランスの思い出です」と語ってくれました。当時、そのお店で販売員をしていたマダムとはいまも交流があるそうです。
そんな『Louloutte』に足を運ぶのはほとんどが常連さんです。名前で呼び合い、会話を交わしながらパンを選んでもらうのがいつもの光景。また、大阪のレストランにパンを卸したり、近くのイタリアンレストランに頼まれてパンを作ったこともるそう。中岡さんの仕事に、大きな信頼が寄せられていることが伝わってきます。
将来は「焼き立てのパンを、ジュースやワインと一緒にパンを楽しめる店があるといいなと思って」と目を輝かせる中岡さんは、エネルギッシュでこちらも元気をもらえます。
最後に、「中岡さんにとってパン作りとは?」と聞いてみたところ、「パンは人生そのものやね」と即答。「パン作りって長年やっていても、いつも新たな発見があるんです。ちょっとの工夫で味がおいしくなったり。だから本当におもしろい」。聞いていたスタッフの方は笑いながら「中岡さんが集中しているときに話しかけると、怒られるんですよ」とこっそり教えてくれました。
大阪で、フランスを味わえるパンをぜひ食べてみてください。
■お店情報
住所:大阪市西区江戸堀2-3-17
電話:06-6136-7277
営業時間:平日8:00〜18:30、土曜日8:00〜18:00、日曜日:8:00〜17:00
定休日;月曜日、火曜日
※売り切れ次第終了
※取材当時の内容です。
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