賃貸住宅とは異なり、持ち家にはさまざまな税金がかかります。住宅ローンの返済額だけを考えて家計の収支を計算していると、税金の支払いで思わぬ出費が生じるかもしれません。新築住宅を建てる際、住宅ローンを利用すると住宅ローン控除が受けられます。住宅ローン控除が終わった後の繰り上げ返済を考えているのなら、税金の支払い分も考えて計画的に資金を貯めていきましょう。

新築後にかかる税金の種類 

住宅の引き渡し前には、売買契約書や住宅ローンの契約書に貼付する印紙税がかかり、登記や抵当権の設定の際には登録免許税がかかります。これとは別に、住みはじめてから必要になる税金があります。はじめに、新築後にかかる税金の種類について見ていきましょう。

不動産取得税

不動産取得税は、土地や建物を取得した際にかかる税金です。こちらは地方税となっており、支払う時期は取得した土地と建物のある自治体によって異なります。新築の場合、不動産取得税には軽減措置が取られ、建物部分は固定資産税評価額から1,200万円(長期優良住宅の場合は1,300万円)を差し引いた後、3%を乗じた金額が不動産取得税となります。

この軽減措置を受けられる建物は、マイホームまたはセカンドハウス(毎月1日以上居住の用に供するもの)であること、課税床面積が50平方メートル以上である必要があります。住宅用の土地部分については、4万5,000円か、「(土地1平方メートル当たりの固定資産税評価額×2分の1)×(課税床面積×2)×3%」のいずれか低い方が不動産取得税額です。

この軽減措置を受ける場合には、土地の取得から3年以内に建物を新築すること、また建物部分での軽減措置の要件を満たしていることが条件となります。

固定資産税と都市計画税

固定資産税と都市計画税も、新築した住宅と土地がある自治体に支払うものです。毎年1月1日時点での所有者が納税義務者となり、春ごろに税額が通知されます。固定資産税の標準税率は「課税標準額×1.4%」、都市計画税は「課税標準額×0.3%(最高)」です。この課税額に対して、それぞれに軽減措置が取られます。

軽減措置は、住宅用地の固定資産税の場合、土地の200平方メートル以下の部分は「課税標準額×6分の1」、200平方メートルを超える部分は「課税標準額×3分の1」です。建物部分は、固定資産税額が一般住宅で3年間、長期優良住宅で5年間が、それぞれ2分の1になります。都市計画税の軽減の特例措置として建物の200平方メートル以下の部分で「課税標準×3分の1」、200平方メートルを超える部分は「課税標準×3分の2」の額です。

10年間で支払う税金の額は?東京都のAさんの場合

ここからは、東京都に住んでいるAさんが新築住宅を取得した場合を仮定し、10年間に支払う税金の額を計算していきます。土地の課税標準額は路線価に準じて計算され、建物の課税標準額は「再建築価額×経年減点補正率」で算出。路線価とは、道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格を地図上に示したもので、国税庁のサイトから全国の路線価を確認することができます。

建物の再建築価額とは、現時点で同じ建物を建てた場合の価格を算出したものです。新築住宅の場合、自治体の調査員が調査を行い、各種建築資料を参考にして再建築評価額を算出します。経年減点補正率は、建物が古くなり損傷が出てきた場合、評価を減点するための基準です。土地も建物も、評価額は原則3年に1度見直されます。

これらを前提に、東京都のAさんが、2019年4月に土地面積140平方メートルへ新築住宅を建てた後、10年間で支払うおおよその金額を見ていきましょう。